内縁関係で認められること、認められないこと
一般的な法律的な手続き、婚姻届を役所に届け出た夫婦を「法律婚」というのに対して、内縁関係の夫婦は「事実婚」といわれています。婚姻届は提出していないが、同居し、生計同一関係にあるという事実的な関係から呼ばれているものです。
この「法律婚」と「事実婚」、大きな違いは内縁関係の間では相続権がないという点、内縁の妻は夫の相続財産を受け取ることはできません。もし夫に相続人が一人もいない場合に、内縁の妻が「特別縁故者」として相続財産を受け取ることができる場合がありますが、これ以外で内縁の妻に財産を残したい場合には、遺言を残す必要があります。
またこれもよく知られていることですが、内縁関係の夫婦から生まれた子供は、母親の籍に入ることになります。父とその子供の親子関係は認知をしないと発生しません。この認知をすることで事実婚から生まれた子供も相続人になることができます。
一方で認められている権利もあります。それは社会保障においては内縁関係でも被扶養者となったり、配偶者と認められるていること。例えば、健康保険では被扶養者として保険証を発行してもらうことができ、また年金や労災では保険金の受取人となることができます。
認められないことについて話が戻りますが、もう一つ。それは医療における同意書等にサインできないこと。病院などでは検査や治療のうち、場合によっては命に関わるような場合、本人と親族から同意書にサインを求めます。これは何かあったときの訴訟リスクを避けるためですが、内縁関係にある人はこれにサインをすることはできません。特に親族がいる場合には、内縁関係にある人の同意では、後々親族から訴訟を起こされるリスクがあり、医療機関側としては絶対に回避したいリスク、当然といえば当然のことかもしれません。
夫婦の形の有り様は当事者が決めること。上記で記載したこと以外にもメリット・デメリットがありますが、それをどう感じるかも当人同士の問題。ただし、日本の家族観という面では、まだまだデメリットの方が大きいんでしょうね。
2018年08月09日 14:12