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長時間労働が疑われる事業所への調査結果から思うこと

産寧坂(20180811)
厚生労働省が、平成29年度中に行った長時間労働が疑われる事業所への監督指導の結果を公表しました。

実施対象となった25,676事業所に対して、違法な労働時間を確認できた事業所は11,592か所で全体の45.1%、約半数という結果。ここでいう違法とは、
➀労働時間に関する労使協定(36協定)で定めた時間を超える時間外勤務
②そもそも労使協定を締結してない
といったケースが該当します。

個人的な感覚として、労使協定を結んでいない事業所はまだまだ多くあります。経営者の中には、法定労働時間を超える労働をする場合には労使協定が必要であることを知らないという人も少なくありません。そういった現実を考えると、今回発表された数字は、氷山の一角のように思えます。

また、実際に労使協定を結んでいても、形骸化している企業も少なくありません。残念ながら私が以前働いていた企業でも完全に守られていたかといえば、否定せざるを得ません。業務の事情によっては、労使協定で定めた制限を超えざるを得ない場合もあります。長時間労働者は企業側の責任だけではありません。人によっては生活残業という収入を得るために自らの意思で長時間勤務をするケースもあります。違法残業をゼロにするというのは、現実的には不可能に近いといえるでしょう。

厚生労働省が指導監督を行いその調査結果を公表すること自体は、一定の抑止効果があり、必要なことだとは思います。とはいえその数字が実態を表していないというのも現実。必要なことは、企業や経営者の利益のみのために、労働者の長時間勤務が行われていないかということを精査することではないかと思います。労働者が自主的・主体的に仕事をする上で、一律に制限を掛けるというのは難しい、むしろ非効率的な一面もあるように思えるのですがどうでしょうか。

そう考えると、裁量労働制やいわゆる高プロといった制度・働き方はその運用が労働者の意思で行われるのであれば、現実的な働き方なのかもしれませんね。


2018年08月11日 13:55
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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