何のために導入される制度なのか
2020年といえば東京オリンピック、7月の猛暑が想定される中での開催となります。この対策として政府が検討しているのが「サマータイム制度」。ある期間だけ時計の針を1~2時間進めて、実際より早い時間から活動しようとするもの。これによって、例えばオリンピックのある競技の開始が8時とすると、今の時間でいえば実際には6時から開始となります。もちろん、オリンピック競技に限らず、私たちの生活すべてが1~2時間ずれることになります。
政府が導入のメリットとして強調するのは、オンピックの猛暑対策だけでなく、導入によってもたらされる経済効果。明るいうちに仕事が終わることによってアフターファイブが長くなり、その分経済活動が活発になるだろうという筋書きです。
でもこの制度、元SEとしてはとんでもない影響をシステム業界に与えるものです。というのはサマータームを導入するとき、通常の時間に戻すときの2回、1日が24時間でない日が発生します。例えばサマータイム期間を7月1日~9月30日とし2時間ずらす場合、7月1日は午前2時から始まり、9月30日は午後26時で終了することが想定されます。この時間を跨いで時間の計算をするような場合、この2時間を加減算する必要がでてきます。例えば勤務時間や金利計算のシステム等では何らかの対策が必要です。日付同様、時間もシステムにとっては切っても切れない情報、どれほど影響があるのか、それを把握するだけでも膨大な作業となります。
システムだけでなく、そもそも生身の人間の体内時計への影響はどうなんでしょうか。1日24時間は変わらないものの、生活のリズムが変わることによるマイナス面もあるように思えるのですがどうでしょう。
そもそもオリンピックの猛暑対策ということだけであれば、単に競技の開始時間を早朝にすれば済むこと、世の中のすべての時計を進める必要があるのでしょうか。政府はこのサマータイムをオリンピック前後の数年間だけとも言っていますが、であればなおさら混乱するだけのような気がするのですが。
※写真は三千院境内にて(京都市左京区)
2018年08月21日 06:39