「故意か誤解」どちらにしても問題です
障害者の雇用数を中央官庁が「水増し」していた問題、この国の中央官庁や官僚の方々は何を考えているのでしょうか。
そもそもこの問題となっている「障害者雇用率制度」とは、身体障害者や知的障害者の人が常用労働者となることができるよう、常用労働者の一定割合以上の障害者を雇入れるよう制度化されたものです。今年4月時点の雇用率は、民間企業で2.2%、国・地方公共団体が2.5%、都道府県の教育委員会で2.4%となっています。民間企業で対象となる事業とは、従業員が45.5人以上の企業。この45.5人の企業の場合で1人、障害者を雇用することが求められます。また、この雇用率が未達の場合、従業員100人以上の企業では、不足人数に応じた納付金が徴収され、逆に超過して雇用している、あるいは障碍者雇用のために作業設備の設置や整備をした企業には報奨金が支給されます。
今月28日の朝日新聞夕刊によれば、27の国の行政機関で障害者雇用数として水増ししていた人数の合計は3460人とのこと。その弁明として「故意か誤解によるものかは今の段階では把握できない」だそうです。仮にも国の行政機関、本来なら率先して、法定雇用率以上の障害者雇用をしていても当たり前の立場にあるところで、こともあろうに水増しされていたとは、あまりにも残念です。故意などとは言語道断、誤解であっても変わりありません。そもそも誤解というのは、法律の解釈を間違えていたということでしょうが、法律を相手に日夜仕事をしている官僚の皆さんが、解釈を間違えるというのはちょっと恐ろしい気がします。
でも、28の行政機関がすべて「誤解」なんてことは考えられません。少なからず恣意的な行動が含まれているいなければこんな横並びは起きないでしょう。水増しした障害者数を除くと雇用率は半減で当然のことながら未達状態。これでは民間企業に対して雇用を促すことはできません。また障害者に人に対しても大変失礼な行為です。この問題がこれからどういった展開を見せるのでしょう。もしかすると、都道府県でも同じことがあるのかも、と考えるとまさに「底なし沼」です。