マンションの窓ガラスが割れたら誰が費用を負担するの?
先日の台風でマンションの窓ガラスが割れた、という人はいるでしょうか。そのとき、誰が費用を負担することになるのでしょう。
そもそも窓ガラスが台風の風の力のみで割れることはまずあり得ません。割れる一番の理由は、風に飛ばされたものがガラスに当たって割れるというケース。いずれにしても、自然災害、不可抗力によって生じた損害ということになります。では、この割れた窓ガラスってマンションでは誰の所有物なんでしょうか。
マンションではよく専有部分と共有部分という表現が使われます。その名の通り、専有部分というのは区分所有者に属するものであり、共有部分は区分所有者全員に属するものです。では窓ガラスはどちらか、ということですが、国土交通省が作成している標準管理規約(単棟型)の第7条にはこのように記載されています。
第7条第2項の三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
ということは共用部分であり、割れた時の費用は管理組合では?と思うかもしれませんが、それはちょっと勇み足。標準管理規約にはその後にこういう条文があるのです。
第14条 区分所有者は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス(以下この条、第21条第1項及び別表第4において「バルコニー等」という。)について、同表に掲げるとおり、専用使用権を有することを承認する。
簡単に言えば、窓ガラスは区分所有者に対して専用に使用することができるとしています。考えてみれば自分の部屋の窓ガラスを隣部屋の住民が使うことはなく、自分だけが使用するものです。よって専用使用権という権利を認められているのです。共用部分ではあるけれど、専用使用権が認められている。では何かあったときの費用は一体誰が負担するのということになりますが、もう少し標準管理規約を読み進めるとこんな条文があります。
第21条 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
ここでいう「通常の使用に伴うもの」に含まれないものとしては、大規模修繕などの計画的に管理組合が主体となって行う工事や、第三者の犯罪行為による破損とされており、自然災害は含まれないとされています。よって、台風の風が原因で窓ガラスが割れた場合、その修繕費用は個人で負担するということになります。
個人で負担するとなった場合でも、火災保険に風災補償が付いていればガラス窓の破損を補償してもらうことができます。マンションに住んでいる人だけでなく、戸建ての人も一度加入している保険に補償が付いているか確認してみてはどうでしょうか。