専業主婦の国民年金保険料の勘違い
以前、厚生年金と健康保険の新規適用手続きをしたときのこと。ある社員の方からこんな質問を受けました。
「今度からうちの嫁はんの国民年金保険料が僕の給料から天引きされるって言われたけどホンマですか?」
このような類の質問、新規適用の時だけでなく、個人ごとの加入手続きの際にも時折受けます。厚生年金の加入者の被扶養者である専業主婦は国民年金保険料を払う必要がありません。かといって、配偶者である夫の給料から天引きされることもありません。厚生年金保険の保険料率は、新入社員でも、独身・既婚者でも、会社の社長でも皆さん一律で標準報酬月額の18.3%(労使折半)。全員一律なんです。
では、誰が被扶養者である専業主婦(国民年金では第3号被保険者といいます)の保険料を負担しているのか、というと厚生年金保険加入者全員でということになります。加入者と企業が支払う18.3%の保険料の中には、加入者本人の厚生年金保険、国民年金とその被扶養者である専業主婦の国民年金の保険料が含まれているのです。言い方をかえれば、社会全体で負担しているということです。
実際には、集められた厚生年金保険料の財布から、専業主婦である第三号被保険者の人数に応じた保険料が按分され、国民年保険の財布に移し替えられています。知らないところで保険料が支払われたことになっているのですが、この仕組みはあくまでも専業主婦である第3号被保険者のみ。学生や同じ専業主婦であっても自営業者の妻である場合、これらの人を国民年金の第1号被保険者といいますが、保険料は自分で支払わなければなりません。この違いが何かと問題とされるのですが、サラリーマンの妻の内助の功として、第3号被保険者の仕組みは維持されています。
近年、厚生年金被保険者の加入条件としてパートタイマーのハードルが徐々に引き下げられています。厚生年金に加入することで自分自身の厚生年金を確保できるということがメリットですが、一方で第3号被保険者を減らすという側面もあります。ただ、子育て世代や介護などで仕事に就けない専業主婦にとっては必要な制度、ただ無くせばいいということにはならないと思います。