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特定派遣業の切り替え期限が過ぎましたが

相国寺(20181004)

このブログでも何度も取り上げたことのある特定労働者派遣業の廃止、経過措置であった3年間の期限である9月29日を過ぎました。

 

当初この影響が大きいのではないかと言われたのがIT業界、私も顧問先の切替業務を請け負いましたが、知っているいくつかのIT企業では結局切替をしなかったところもあります。切替をしなかった理由としては、届出制から許可制となったことでその条件が厳しくなったということの他に、切り替えなくてもなんら事業に影響がないという面もありました。その大きな理由はIT業界独特の契約形態によるものです。

 

IT業界と建設業界には共通項があります。それは、「多重下請け構造」となっていること。SIerといわれる大手企業から仕事が一次、二次、三次請けといった具合で業務が多重請負による企業からの技術者によって開発されることは珍しいことではありません。派遣業法では多重派遣は禁止されているにもかかわらず、こういった多重下請けができる理由、それがSES(システムエンジニアリングサービス)契約と言われるものです。

 

このSES契約は、SIerの要員不足を補うために、中小のIT企業がシステムエンジニアを常駐で提供する契約で準委任契約がその基本となっています。SES契約の原則は2つ。

➀発注元(SIer)の社員による指示を受けない→指示を受けると、「派遣契約」となってしまう

②成果物に対する責任を負わない(事務の処理をすることが契約の主旨であるため、成果が上がらなくても報酬を得られる)

つまり、➀が前提になっているSES契約で自社の社員をSIerに常駐させているので、派遣業の許可はいらない、特定派遣業の切り替えをしなくても影響がないというのが、冒頭の理由です。

 

しかし、実際には上記の2つの原則は形骸化しています。特に①が守られている現場はレアケースといっても言い過ぎではありません。もしかして本当に見直さなければならないのは特定労働者派遣業の廃止ではなく、SES契約の在り方ではないかと思います。SES契約が「派遣」される労働者にとって長時間労働や、派遣先で厳しい業務の遂行を指示されるという温床になっています。もちろん、SES契約をメインにしている企業でも本来あるべき形で労働者を常駐させている企業、受け入れているSIerもあり、SES契約のすべてが悪いということではありません。ただ、絶対数として守られていないことが多いということです。

 

もしかして、今回の切替に真剣に取り組んだ企業は法令遵守の意識が高い企業だったといえるかもしれません。

 

 

2018年10月03日 07:05
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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