いよいよ70歳への具体的な議論が始まる
22日、安倍首相が「70歳雇用」についての法改正を指示したとの報道がありました。
現在は2013年4月に施行された法律により60歳定年とし、その後本人が希望すれば65歳まで働くことができるようになっています。これを70歳まで引き上げるというのが今回の目的。世の中が高齢化し、また健康な高齢者も増えている中で、安倍首相の言う「高齢者の希望、特性に応じて多様な選択肢を許容する方向で検討したい」という考えも一理あります。
また、少子高齢化が今後も進んでいく状況で、労働力不足を解消する働き手として、その経験や技術は貴重なものです。体力的に問題がなければ引き続き働くことを望む人がいて、それを必要とする企業があれば決して改悪とは言い切れません。でも一方で気になることもいくつか。
一つ目は、現時点では変更しないといっている年金開始年齢。定年年齢と年金開始年齢は今まで連動して引き上げられてきた経緯があります。今回もすぐにとはいかないまでも、いずれは年金開始年齢の引上げがその背後に隠されているように思えます。少なくとも現在でも一定の収入があれば年金が減額される「在職老齢年金」の仕組みが何らかの形を変えて併用されるはずです。定年年齢の引上げと年金が全く別問題とは考えられないだけに、今後どうなるのかとても気になるところです。70歳年金開始とすることで国の負担を軽減したいというのが本音ではないでしょうか。
それともう一つ、少子高齢化で新たに社会に入ってくる人は今後どんどん減少していきます。が一方で非正規雇用として働いている人が全被用者の4割近くいるというのも現実。もし、高齢者が正社員としての待遇で引き続き残るとした場合、非正規雇用の人達の仕事の場や待遇の向上、正規化への機会を奪ってしまうことにはならないでしょうか。少なくとも同時に議論してほしいものです。
現在の平均寿命は、男性が81歳、女性が87歳。仮に70歳定年となったとしてもなお11~17年の余生が平均として残されていることになります。これを「まだ」、あるいは「たった」と感じるかは人それぞれ。人それぞれであるならば、健康面や精神面の一定条件が求められる職業は別として、いっそのこと定年という仕組み自体が不要なのかもしれませんね。