休職期間中の社会保険料はいるの、いらないの
経営者さまやサラリーパーソンの方とお話しをしているとよく聞かれることです。
「休職期間中って社会保険料ってどうなるんですか?」
先日も、顧問先の社員さんが両足を骨折をされてリハビリも含めて向こう3カ月間ほど休職となるとのことで、同様のお電話を受けました。有給休暇を使用しなければ当然給料は支給されません。ちょっと大変な事態であることは間違いないのですが、残念ながら社会保険料は1円たりとも変わりません。休職前と同額の負担が休職期間中も必要となります。これは休職期間中は資格を喪失したわけではないため引き続き負担義務を負う(昭和26.3.9保文発619号)という考えによるものです。
社会保険料には「随時改定」という仕組みがあって、給与に大きな変動があった場合に保険料を引き下げる(もしくは引き上げる)ようになっています。よく聞かれるのがこの「随時改定に該当して、ゼロにはならないまでも、せめて下がるのではないの?」ということですが、休職期間中にはこの条件を満たすことがないのです。ではこの随時改定の条件とは、
➀固定的賃金の変動があったこと
②継続した3月間のいずれの月も報酬支払基礎日数が17日以上あること
③3月間の報酬の平均による標準報酬月額と、従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差があること
このすべての条件を満たす必要があり、少なくとも休職期間中はこの①と②を満たすことができないためです。よって、健康保険料と厚生年金保険料は引き続き休職前と同額を支払う必要があり、会社によってさまざまですが一般的には休職している社員から相当分を会社の口座に振り込んでもらい、事業主負担分と併せて支払うといった方法が取られています。ただし、雇用保険料や所得税の負担はなくなります。
病気やケガによる休職期間中、給与の支払い有無にもよりますが、健康保険の傷病手当金や労災保険の休業補償給付によって一定の補償を受けることは可能です。全額補てんとはいかないまでも、おおよそ7~8割は賄うことができます。もちろん、請求しなければ受けることができませんので、該当する場合には会社の総務部門に相談されることをおススメします。