就職内定率から好景気と判断してもいいのか
昨日16日、厚生労働省から10月1日現在の就職内定率がプレスリリースされました。
そこについていたサブタイトルは、「~大学生の就職内定率は77.0%と、調査開始以降同時期で過去最高~」。超氷河期といわれたリーマンショック後の平成22年の57%と比べるとその差は20%、その時々の経済状況にも大きく左右されますが、生まれた時代でこれだけ大きな差が出るとそれぞれの時代に就職活動をした人達からすると、この数字の差は単純な問題ではないのでしょう。
ただ、例年何度も発表されるこの数、率だけが発表される訳ですが、単にこれだけで「景気が良くなっている」「企業の採用状況が引き続き上向いている」とは単純には言えません。そもそも同世代の人口は毎年確実に減少しています。同じ数の求人数であれば自ずから就職率は上昇します。また以前のブログ(内定率の怪、表面の数字だけでは判断できません(2018.5.21))にも書きましたが、就職率を求める際の分母は、あくまでも就職を希望する人であり途中で就職を諦めた人の数は入っていません。統計上やむを得ないのかもしれませんが、率だけでなく前提となっている数字、卒業予定者数や内定者数、企業の求人数やその年の退職予定者数なども公表される必要があると思います。
プレスをよく見ると、就職希望者の他、「進学希望者」「自営業」「家事手伝い」等を含む卒業予定者全体に対する内定率も掲載されていますが、その率は61.3%。ただしこの数字は当年分のみで過去との比較が掲載されていません。実はこの数字の方が就職率を正確に表すと思うのですが、当年分しか公表されないのはたまたまなのでしょうか。
もっとも大切なことは表面的な数字である「率」ではなく、その中身。今後採用した側の企業が新卒者をいかに有効に活用していくかということです。入社後3年で3割が退職するミスマッチがこの「率」には含まれているものをどう減らすか、が重要だと思うのですが、いかがでしょうか。
☞「平成30年度大学等卒業予定者の就職内定状況(10月1日現在)を公表します」~厚生労働省のプレスリリースはこちら