退職時に必要なお金は千差万別
ファイナンシャルプランナーの仕事で個人の方から、ライフプランの作成のお仕事をいただくことがあります。そんなときによく受ける質問、あるいは示さなければならないポイントが「退職時にいくら資産が必要か?」です。
定年退職時、退職金も含めた資産はその後の老後を過ごしていくための原資となります。家賃収入や自営業などで年齢に関係なく相応の収入が見込まれる場合を除いて、サラリーパーソンの人にとってはどれくらい準備しておく必要があるか、このままのペースを想定した場合にいくら準備できるかは重要です。
では老後に必要な資金はどれくらいになるのか、これは一人ひとりのライフスタイルや保有する資産によって大きく異なります。例えば持ち家があれば家賃を準備する必要はありません。子供が全員独立していれば教育費の支出も不要になります。よってまず定年時にその人が、あるいはその家族がどのような状況になっているかを想定する必要があります。そして次に考えるのが60歳以降にどれくらいの支出が想定されるか、逆にどれくらいの収入が見込めるかです。
定年以降の支出はよく一般的に言われるのが、夫婦二人では月に現役世代時の7割程度、一人になった以降は5割程度。いつ以降一人になる、つまりどちらかが先立つかを想定するのですが、私は男女の平均寿命を用いて試算します。健康状態にも大きく左右されますが、65歳定年で想定すると、男性で約15年、女性が23年程度になりますが、長寿を見越して一律90歳までを想定する場合もあります。
次に収入、定年後に見込める収入の中心といえば「年金」。公的年金と私的に加入している年金保険などがあればこれも含めます。また退職金も一時金として加えます。公的年金は年金定期便を参考にすれば、今の年金制度が続くことが前提ですが、ある程度の金額を想定することは可能です。また、最近は離婚によって年金分割をするケースも多いため、この点は年金額を想定する場合には考慮しなければなりません。
退職時に必要な資産を簡単に表すと、「定年後の支出総額ー定年後の収入総額」となります。もし今のマネースタイルをこのまま続けてその金額が積み上がれば特に問題はありませんが、もし不足があれば見直しが必要になります。定年時に必要な貯蓄額というのもネットで検索すればいくつもでてきますが、そもそも千差万別な金額で一概には言えません。一度自分の今の生活、定年時の状況、老後の生活を想定して計算してみてはどうでしょうか。