IT業界で得たものとはなんだったか
かつて28年間いたIT業界、退職して2年が経ちました。時折、学校で就職関連のセミナーのご依頼を受けますが、そこで学生さんからよく聞かれるのが「IT業界で良かったこと、得たものは何ですか?」という質問です。
私の世代が就職活動をしていた頃、もう30年以上前の話になりますが、当時はITという言葉はありませんでした。就職専門誌などでは「ソフトウエア業」と一括りで分類され、まだ新しい業界であったためか「SE35歳定年説」といった考え方もあり、この業界に就職する人は「ちょっと変わった人」といった風に見られていた記憶があります。インターネットもなく、マイクロソフトオフィスもまだ発売されていません。ワープロ機能を持ったソフトといえば、ジャストシステムの「一太郎」「花子」がちょうと発売されたころで、入社した会社で先輩社員が使っているのを見て、その機能に驚いたものです。
さて、そんな業界は平成の時代にまさに大化けしました。今の世はあらゆるところにシステムが介在し、ネット社会となりました。私はいわゆるネットワークとかアプリケーションといったコンピュータそのものではなく、業務をシステム化する側の立ち位置で仕事をしてきました。そのほとんどが生命保険会社と社会保険の業務に関するもの、得たものは本当に大きかったと今でも思います。
「本来人がする業務をコンピュータにさせるにはどうすればよいのか」を考えていく訳ですが、そのためには業務を詳しく知る必要があります。ユーザーがどんな仕事をしているのかといったこと、生命保険や社会保険に関することをその道のプロであるユーザーと同じレベルで会話をする必要があります。そういった専門知識が知らず知らずのうちに身に付いていたのがIT業界で得た最大のモノです。
また、以前にこのブログでも書いたことですが、ある大手システムインテグレータのコンサルタントの方と1年ほど一緒に仕事をしたときに学んだことが、「いかに分かり易いプレゼン資料を作るか?」です。自社で学ぶ機会がなかっただけに新鮮でしたが、このときに学んだことが、独立した今、とても役立っています。
私の場合、ほとんどをユーザーの中に入りこんで仕事をする派遣型であったため、その環境の中で専門知識を得たことがやはり一番でしょうか。IT業界は幅が広いので一概には言えませんが、コンピュータだけでなく多くの専門知識を得ることができた、できると学生さんからの冒頭の質問に対して答えています。現役のSE、PGの方はどう思われますか。