同一労働同一賃金の具体的な範囲が決まりました
同一労働同一賃金の具体的な範囲が決まりました。
これは、厚生労働省の諮問機関である「労働政策審議会」で了承されたもので、安倍首相が推し進める働き方改革の目玉の一つです。今は多くの企業や職場では、正社員と非正社員の賃金にはその待遇に差があります。厚生労働省は平成28年12月に「同一労働同一賃金ガイドライン案」を作成しています。そこに書かれているポイントとして、「正規か非正規かという雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保し、同一労働同一賃金の実現に向けて策定するものである。同一労働同一賃金は、いわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの」というくだりにあるように、同じ仕事をする以上、職務遂行能力や業績、貢献度に差がない限り、同じ待遇にしよう、同じ賃金でなければならないとするものです。
違いを認めないものとしては、特殊作業手当・精皆勤手当・割増した時間外労働手当や深夜、休日手当・通勤手当や出張手当・食事手当や単身赴任手当などが該当します。また、食堂や休憩室・更衣室などの福利厚生施設や社宅の利用、慶弔休暇や病気休職などについても待遇差を認めないとしています。確かにこれらの手当等は職務評価や業績に連動するものではなく、労働力を提供したという結果によって与えられる金銭や恩恵とも言えます。そこに正規、非正規の差があるのは根拠がありません。「今までそうだったから仕方がない」で済まされていたのかもしれません。
これに対して違いを認めるものとしては、基本給や賞与といった、個人の能力や業績、勤続年数といった評価によって支給されるもの。これは当然のことでしょう、この差がある意味でモチベーションや競争による向上、その結果が会社の収益に繋がるものです。ここには逆に差を認めなければ、企業自体の競争力が落ちてしまいます。
これらのルールは、大企業と派遣社員には2020年4月から、中小企業には2021年4月から施行されます。以前に非正社員の待遇を引き上げて正社員と同一にするのではなく、正社員の待遇を引き下げて非正社員と同一にする動きがあると当ブログで取り上げましたが、指針ではこの方法は好ましくないという記載が盛り込まれています。非正社員を雇用する企業には、少なからず負担となる取り組みですが、採用難・労働力不足に悩む中小企業には積極的に取り組むことが、アピールポイントとすることができるかもしれません。