「資本金1億円超」の境界線がここにも
先週7日(金)の厚生労働省のホームページでこんなプレスリリースがありました。
「特定の法人による労働保険料等の一部の申告書の提出は、電子申請で行うこととします」
社会保険や労働保険に関する手続きは、書面によるものとe-Gov(イーガブ)からの電子申請で行うことができます。一部まだ電子申請できない手続きがありますが、昨日も西陣のハローワークに出向いたとき、待ち時間でふと見ていた案内板に、「急ぐ手続きはまず電子申請で、急がないものは書面で・・・」といったコメントを見かけましたが、厚生労働省も電子申請の利用を勧めています。
さて、今回「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則及び厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則」が改正され、電子申請が義務化されることになりました。毎年6月1日から7月10日までに行う労働保険料の年度更新に関する手続き(概算保険料申告書、増加概算保険料申告書、確定保険料申告書、一般拠出金申告書)がその対象で、平成32年4月から施行されます。ただし義務化されるのは「特定の法人」とされ、その対象は資本金1億円を超える会社や相互会社、投資法人とされています。
資本金1億円というのは、法人税法上でいう「大企業」と「中小企業」の分かれ目。今回対象となる1億円を超える企業は「大企業」とされている企業で、我々社会保険労務士が関わる企業にはあまり影響はなさそうです。資本金1億円以下の場合、法人税の税率や、減価償却、交際費の控除限度額などでメリットがあり、優遇を受けることができます。電子申請はメリットもありますが、中小企業にとっては負担も少なからずあり、義務化の境界線として1億円を基準としたのはそういった配慮からなんでしょうね。
もちろん中小企業であっても電子申請に利用は可能です。利用するには一定の費用とネットワーク等の環境が必要になりますが、手続きはそれほど難しいものではありません。関心のあるかたはこちらをどうぞ。