京の都と風水の関係
学生の頃、一般教養で京都市の歴史に関する講義を受講していました。真面目に出席していた数少ない一般教養科目の一つで、いまでも記憶に残っている話があります。
それは、京都と風水のこと。実は京都は風水を意識して作られた街であるということ。ご当地検定の先駆けとも言われている「京都検定」では必須の知識でしょうが、学生であったころの私にはまだ風水という言葉すら知らず、とても新鮮だった記憶があります。今日は少しその話を。
風水では「四神相応(ししんそうおう)」という考え方があり、東西南北にそれぞれ神を配置しその中を守っています。その四神とは東の青龍、西の白虎、南の朱雀、北の玄武が司っています。またこれらは地形とも関連していて、東の「川」は鴨川、西の「道」は五畿七道の山陽道と山陰道、南の「湖(海)」は巨椋池、北の「山」は船岡山や鞍馬山が当てはまり、これらを満たす土地として京都が選ばれ、平安京が建都されたといわれています。そしてもう一つ、風水で欠かせないのが鬼門。鬼が出入りする方角とされ、縁起が良くないとされていますが、この方向である北東には比叡山の延暦寺や鞍馬寺があり、結界の役目を果たしています。
そしてこの鬼門を守るもう一つのもの、それは京都御所にいる一匹の猿。猿と言っても生きている猿ではなく、木彫りの猿です。御所御所を囲む塀の北東角のちょっと奥まったところ、ここを「猿が辻」といいますが、この中に木彫りの猿が魔除けとして安置されています。そして京都御所と比叡山延暦寺を結ぶ線上にある、幸神社(さいのかみのやしろ)と赤山禅院(せきざんぜんいん)にも猿の彫刻が祀られており、猿が辻と同様に鬼門を封じています。都に鬼が入ってきて災いをもたらすことがないよう、古の時代から厳重に封じていたんですね。
ちなみに、猿が辻の木彫りの猿は金網の中に封じられています。もし京都御所に行く機会があれば覗いてみてはどうでしょうか。