内定者研修を実施しているときは要注意です
内定者に対して、事前研修あるいは入社前研修と題して定期的に研修を実施している企業があります。そんなときどんなことに注意すればよいでしょうか。
まず、この研修の企業側の目的としては大きく2つ。一つ目は定期的に出社してもらうことで内定先企業への帰属意識を持続させ、内定辞退を防止すること。内定者と定期的にコンタクトを取り、コミュニケーションを取ることで、自社内定後の他社からのアクションに対して何らかの対応を取ることができたり、あるいは研修を通じてモチベーションを保つことで、内定者が持ちがちな不安感を除くことができます。
二つ目は入社前に企業が最低限必要とする知識を身に付けてもらうこと。様々な経歴を持った、あるいは色々な学校に在籍している学生を内定者としている場合、その知識レベルには差があります。入社後の研修をスムーズに進めようとすれば、どうしても必要なレベルまで引き上げておく必要があります。そのため、入社前研修を行うことで例えば社内で必要なITスキルや、商品知識などを習得するといったことが行われます。
さて、こういった入社前に行う研修について注意しなければならないこと、それは「給料」の支払いが生じる可能性があることです。もしこの研修への参加が義務付けられている場合、あるいは任意であっても内容が二つ目の目的である、スキルの習得である場合、「業務」とみなされ給与の支払いが生じる可能性が高くなります。本来であれば入社後に仕事として行うものを繰り上げて実施している、とみなされるためです。企業の人事や研修担当者の方は、自社の内定者研修がどうなっているか確認してみましょう。
最後に、私も会社員時代に内定者研修の担当者であったことがあります。その際に必ず行っていたのは、その研修の意義と目的をはじめに内定者にちゃんと伝えておくこと。会社にとっては、給与の支払いの有無という法的な問題の一方で、内定者にとっては、その研修が何のためにあるのかという目的意識が重要です。この点についても忘れずに、内定者に伝えましょう。