個人事業者の従業員も対象です
安倍首相が推し進める働き方改革はいよいよ今年の4月から始まります。まず最初に導入されるのが有給休暇の取得の義務化ですが、最近こんな相談を受けました。
「うちは個人事業なので義務化なんて対象外でいいですよね。そもそも今まで有給休暇なんで与えていなかったし、従業員からも何も言われたことはないので」
実際にこういった個人事業者の方、あるいは個人事業者で働いている従業員の方は少なからずいるのではないかと思います。比較的小規模の事業所が多く、もし従業員が休むと営業そのものができないなどといった事情もあるようです。しかし、結論からいうと、有給休暇の権利は法人・個人事業者のいずれかで働いているかといった違いはなく、一定の条件を満たす労働者には一律に付与される権利です。「個人事業だから有給休暇はない」ということは大きな間違いということになります。
今までなかったとしても、本来権利を持つ従業員から請求があった場合には、事業者は付与しなければなりませんし、また今年の4月以降は請求されなくても年間5日を付与しなければなりません。この5日間の付与は義務化されており、違反した場合には事情主に罰金が課されます。なお年間5日の付与対象となる従業員は、年間10日以上の年次有給休暇が発生している人で以下の従業員がその対象となります。
➀勤続年数が6ヶ月が経過している正社員またはフルタイムの契約社員
②勤続年数が3年半以上経過している週4日出勤のパートタイマー
③勤続年数が5年半以上経過している週3日出勤のパートタイマー
今まで有給休暇について何の対応もしていないという場合には、今回の義務化に併せてまず有給休暇台帳を整備しなければなりません。これは従業員ごとに何日間の権利があり、いつ取得したか、あるいはいつ取得してもらうかを管理するためのものです。小規模な個人事業所では例えば繁忙期に一斉に取得されれば、それこそ営業できないという事態になりかねません。そのため、時期をあらかじめ指定して、順番に付与することは可能です。逆に今までそんなことはしなかったからといって今年の4月以降も放置すれば、一斉に取得を申請されてあたふたということになりかねません。
「いままで有給休暇なんで無縁」という個人事業主の方、早急の対応が必要です。