労働時間の上限がかわります
今年の4月から働き方改革によって労働時間の上限が変わることを知っていますか。
労働基準法では、労働時間の上限を原則として1日8時間、1週間で40時間と定めています(労働基準法第32条)。とはいえ、この時間では多くの企業やお店では事業が成り立ちません。そのため使用者と労働者の間で時間外労働や休日労働に関する協定を結んで、これを超える時間を労働時間と定めて就業しています。また、フレックスタイムなどの変形労働時間制を定めることによって閑散期・繁忙期には労働時間の凸凹を合法的に調整することもできるようになっています。
現在、この労使協定における時間外勤務や休日労働にも一定の制限は設けられています。が、それは法律としてではなく、厚生労働省の省令としてであり、かつ仮に違反したとしても罰則規定はありません。極論を言えば、「時間外労働としてもそれに見合う賃金をちゃんと支払っていればいいよ」という考え方です。
しかし今年の4月から、この上限が変わります。まず労使協定で定めることができる上限は、1ヶ月45時間かつ年間360時間とすることを法律で定めることで強制力を持つことになります。そして違反した使用者には罰則が課されることになりました。また、労使協定で特別条項を定める場合には、1ヶ月100時間かつ年間720時間となりますが、原則として定められている月45時間を超えることができるのは通算で6ヶ月までとなります。そしてもっとも大きな違いは、今までは特別条項の労働時間を計算する場合、休日労働である時間を含んでいませんでした。つまり、休日労働の時間は別枠とされていたのですが、今年の4月以降は休日労働の時間も含めて計算しなければならないとされています。この点は注意が必要です。
この改正は今年の4月からですが、中小企業では2020年4月から適用となります。それぞれ労使協定を作成・提出する際にはお気を付けください。