意外に知らない、労働に関する決まりごと
【1】残業や休日出勤をするには会社と労働者で協定を結び、届け出なければならない
法律では一部の例外を除き、労働時間は1日8時間・1週間で40時間までと定められています。とはいえ現実的には繁忙期などにはどうしてもこれを超える労働をせざるを得ないことがありますが、そんな場合であっても使用者は勝手に法定労働時間を超えて労働をさせることはできません。ここで必要なのが「時間外・休日労働に関する協定書」、通称36(サブロク)協定です。予め1日・1月・1年単位での上限となる超過勤務時間を労使で協定し、これを事業所の所在地を管轄する労働基準監督署に届け出をしておくことで、その範囲内において時間外及び休日労働が可能となります。みなさんの職場にこの36協定書はありますか。
【2】「管理職には割増賃金を支払う必要がない」には例外があります
労働基準法第41条では、管理・監督者には労働時間や休憩、休日に関する規定が適用されず、また時間外労働という概念がないために時間外や休日勤務についての割増賃金も発生しないことになっています。ひと昔前、あるファストフード店で、社員を何の権限もない「名ばかり管理職」とすることで割増賃金を支払っていなかったことが問題となりましたが、この規定を悪用したものです。ただし、管理・監督者であっても割増賃金の対象となるケースがあります。それは深夜勤務時間に対する割増賃金で、私の知る企業さまでもいくつか支払われていないところがあり、改善をアドバイスした経験があります。これは意外に見過ごされています。
【3】女性管理職には保護規定があります
前記【2】の規程は、管理・監督者であれば男女の差はなく適用されます。ただし、女性管理職にも適用される保護規定があります。それは産前・産後の就業制限に関する規定で、これは41条の規程よりも優先されます。もし、妊産婦である女性管理職から請求があれば、深夜労働だけでなく、時間外労働者や休日労働、出産や育児に有害な一定の業務に就かせることはできません。
いずれも「知らなかった」では済まされません。もし皆さんの会社でこれらが守られていないということがあれば、人事や総務担当者に確認をしたり、最寄りの労働基準監督署に相談されることをおススメします。
2019年04月23日 16:15