始業前の勤務は残業代の対象になるかもしれません
社会人の常識として、始業時間には業務を開始できるようにあらかじめ準備の時間を見越して出社するものです。どの程度の時間をそのための時間と見込むかは企業や人それぞれでしょうが、15~30分ぐらいでしょうか。でも中には始業時間より1時間、2時間前に出社して仕事をしている人もいる場合があります。通勤が楽とか、電話に邪魔されないとか、自分の仕事に集中できるなど理由はさまざまですが、さてこの時間は勤務時間として扱われるのでしょうか。
もし早出をしてもその後にすっとタバコを吸っていたり、会社で朝食をとっていたりと、おおよそ仕事とかけ離れた行為をしていたら、言うまでもなく業務には該当しません。しかし、業務をしていた場合には勤務時間とみなされ、始業後に通常どおり終業時間まで勤務した場合には、残業時間が発生する可能性があります。つまり「社員が勝手に始業時間前に出社しているのだから、勤務時間ではない」という会社の言い分は通らないことがあるのです。
その理由として、知っていながらその社員に何も言わなかった、例えば「業務があるなら事前に上司に相談して勤務時間を管理してください」とか、「原則として早出の勤務は認めません」と言わない限り、会社として黙認したことになってしまうためです。黙認した以上は勤務時間となり、残業手当の対象となる可能性が大きくなります。
会社は従業員の勤務時間を適正に管理する義務があります。残業については業務の状況に応じて、「会社からの指示による残業」、もしくは「本人からの申請と会社の承認による残業」かを条件として勤務させるのがベストな方法です。ヤル気があって早出をしている社員に対してその勤務時間の評価を全くしない、というのは社員のモチベーションにも関わります。会社も「社員が勝手に早く来ている」というのではなく、何らかの仕組みを考えるのがよいのではないでしょうか。
2019年05月03日 09:37