同居の親族は雇用保険に加入できるか
担当者 「この方と事業主さまとのご関係は?」
私 「娘さんです」
担当者 「同居されていますか?」
私 「いえ、別居されています」
担当者 「承知しました。では手続きさせていただきます」
さて、この質問の意図はなんでしょうか。ハローワークの担当者はまず資格取得となる人と事業主名を見て、「名字が同じなので親族の人なんだろうか?」ということで最初の質問をされました。そして私の回答が娘ということで次の「同居されていますか?」という質問となりました。これは、雇用保険の適用除外の一つとなりうる事項を確認されたものです。その事項とは「事業主と同居の親族は原則として被保険者となれない」というもの。もし「何かそれを証明できるものを?」と、さらに質問を受けた時の為に、私はこういった場合の手続きをする際には、それぞれの住民票をお預かりして持参していくようにしています。提示を求められたことはありませんが、もしものときのためです。
では、同居の親族は雇用保険に加入できないのか、というと必ずしもそうではありません。一般に次の条件を満たせば加入できます。
①業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること
②就労の実態が当該事業場における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。特に、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等、また賃金の決定、計算及び支払方法、賃金の締切、及び支払の時期等について就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、その管理が他の労働者と同様になされていること
③事業主と利益を一にする地位(役員等)にないこと
上記の要件を満たしているかを証明するために、「同居親族等の雇用実態証明書」を資格取得届と共に提出することが求められます。ここでは同居親族に近い年齢・職務・勤続年数の従業員と比較して、服務条件や賃金などが同じかどうかの確認が行われます。また、賃金台帳や出勤簿等の提出も併せて必要になります。
雇用保険にこのような制限があるのは、同居の親族には労働者としての性格がなく、解雇や失業という考え方自体がそぐわないためです。なお、同居の親族であっても社会保険(健康保険・厚生年金)については他の社員と同様に加入できます。
2019年05月09日 18:32