琵琶湖が深呼吸できなかった
京都府のお隣、滋賀県には近畿の水がめとも称される琵琶湖があります。滋賀県の面積の6分の1を占め、誰もが知る日本で一番広い湖。ここで例年起きるある現象が今年は観測されませんでした。
琵琶湖は我が家もまだ二人の子供が小さかった頃、よくバーべキューや泳ぎに出かけた場所です。またバス釣りでも有名な湖で、一時期ハマっていた時期には毎週のように通っていたところで、個人的に非常に身近に感じる湖です。そこで今年観測されなかった現状とは、「琵琶湖の深呼吸」と称される現象です。
これは、琵琶湖の北部で冬の強風や雪解け水で冷やされた上層部の水と深層部の水が入れ替わる現象です。冷たい水は重く暖かい水は軽い、この比重の違いで起きるもので、琵琶湖では例年春先に観測されてきました。これが起きることで表面の酸素を多く踏んだ水が深層部に行き届くことになり、湖底近くに住む魚類や植物が生きていくことができるという訳です。
今年起きなかった理由の一つとして考えられるのが、暖冬であったことで表面の水温が下がらなかったということ。例年に比べ冷たい風があまり吹かず、雪も少なかったことが影響しているようです。もっとも深呼吸が起きなかったのは琵琶湖全体の面積の20分の1程度の面積の範囲ですが、過去に例がないため今後どのような影響ができるか未知数とのことです。湖底では酸欠状態になれば一般的に生物や植物は生きていけない訳ですから、その影響が心配されます。
琵琶湖の北部は南部と比べ、自然が残り、美しい風景が多く見られる地域です。目に見える風景だけでなく、目に見えない深いところで起きている現象についても、少しは知っておくことも必要ですね。
2019年05月12日 15:25