「安全配慮義務」とは
これは事業者には労働者が安全かつ健康に働くことができるように配慮する義務があることで、労働契約法第5条には次のように定められています。
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」
「安全」という言葉から、もしかすると多くの人は、関係するのは工場や建設現場といったケガや病気のリスクの高い職場を連想して、事務職や接客業のような職場ではあまり関係ないと思われるかもしれませんが、これはすべての職場において求められるものです。事業者は労働者に対して働く場所を指定し、業務内容を指示し、勤怠を管理して事業を行っている以上、労働者に対して健康や安全に対して十分に配慮しなければならないのです。もちろんこの配慮義務には「心のケア」が含まれることはいうまでもありません。
では事業者にはどういった点について配慮しなければならないか、業種や職場によって異なりますが共通して言えることは次のようなことです。
①健康診断の実施
従業員に対して定期的な健康診断を実施し、必要に応じて作業内容の転換や労働時間の短縮などの対策を行うこと
②勤務時間の管理
長時間勤務の抑制、深夜業務就業者の健康配慮など、過重労働にならないよう労働時間の管理を行うこと
③安全衛生教育の実施
機械や有害物質を使用する場合、その有害性や取扱方法等に関する教育を行うこと
④設備等に対する危険防止対策
転倒・転落防止や、セーフガードの設置など安全装置や事故防止対策を行うこと
⑤快適で衛生面に配慮した職場の維持
オフィスや食堂、トイレ、休憩室などについて衛生面で必要な配慮を行うこと
こういった配慮義務を欠いたことによって労働者が病気になったりケガを負った場合、場合によっては企業に損害賠償義務が生じるといった判例もあります。するべきことを怠っていた、起きることがある程度予測できたのに、何ら対策がされなかったということがあると、安全配慮義務を怠ったと判断される可能性があります。
みなさんの職場でも安全配慮がされていないようなことありませんか。早めの対策を会社に相談しましょう。
2019年05月21日 20:23