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問題提起としてはいかがなものでしょうか

寂光院にて(20190605)
昨日、金融庁の報告書からこんな数字がピックアップされて報道されていました。
「老後の貯蓄、2000万円が必要」

夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では、平均毎月5万円が不足しており、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300万円~2,000万円になるというものです。テレビのニュースではやや説明不足もありましたが、金融庁の資料では、これはあくまでも平均的な数字であり、「不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる」と断りを入れています。さて、この数字をどう見ますか?

収入となる夫婦二人の年金受給額は、加入期間や得ていた給料によっても変わります。支出もどこでどんな生活を送ることになるのかによって大きく変わります。十人十色とも言える数字を断りがあるとはいえ「2,000万」という主旨、目的は何なんだろうと考えてしまいます。加えて、今後年金は減額され、企業が支払う退職金もピーク時より3~4割減少しているというマイナス面がピックアップされています。不安を煽っているようにしか思えませんがいかがでしょう。

もし、老後に備えての自助努力も必要ですよということであれば、具体的にいろいろな条件を入力することによって、少しでも個々の事情に近い金額を試算できるようなサイトなり、ツールを作成・公表すればよいのではないかと思います。これだけ多様化している時代に、標準的なパターンではあまりに実態に合わない人の方が多くなり、意味がありません。数字だけが独り歩きしているのが今回の報道のように感じますね。

報告書に基づく今回の問題提起にどういった意味があるのか、暗に「年金は将来にわたりどんどん減っていきますよ、投資型の金融商品などを使って準備してくださいよ」ということを言っているのでしょうか。保険料を天引きされるにもかかわらず、払った保険料分の年金も保証されないかもしれない若者世代にとっては、何とも納得できないことのように思えてなりません。
 

 

 

2019年06月05日 12:43
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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社会保険労務士
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一柳 賢司

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