どっちもどっち、そこはどうでもいい
「どっちもどっち、そこはどうでもいい」と。
その問題のきっかけになっているのは、今何かと話題の金融庁のあの報告書。老後までに2000万円の貯金が必要としたあれです。このブログでも早々に一度取り上げましたが、今回どっちもどっちと言いたいのは、永田町の人達の言動。どんな内容にせよ、行政機関が作成した報告書に対して、当初は一定の評価をしていたと思えばあっという間に手のひら返しのごとく否定する、受け取らないといきなり国民目線で批判を始める与党。一方でこれ幸いとばかりに「2000万円問題」と名付けて批判する野党、7月の選挙が近いというだけあって政争の具となっています。
そもそも、日本の年金制度では20歳以上の国民全員が加入する国民年金(基礎年金)と、サラリーマンが加入する厚生年金があります。国民年金は満額で779,300円、1ケ月あたり65,000円ほど。厚生年金は加入していた期間の報酬額と月数によって千差万別となりますが、平均で月額90,000~100,000円程度です。でもこの金額、国民年金は40年間払い、厚生年金も同様の期間でそれなりの給与を得ていた人の受け取る金額であり、さらに言えば加入できる制度にそもそも違いがありますよね。
自営業者や専業主婦といった人、国民年金加入者の半数近い人は国民年金にしか加入していません。現役時代の働き方や置かれている立場によって、加入できる年金制度が違う、年金受給額も大きな差が出るということは、制度上の仕組みとして肯定されています。先ほどの金額で言えば、仮に夫婦二人が自営業であった場合、受け取れる年金額は最高で13万円、とても年金だけで生活できる額ではありません。「2000万円問題」が出る以前からあったこの現実はどう考えられているのでしょうね。
公的年金だけで生活できるということを国が保障することは、現実的に無理がありますし、それはそれで不公平感があるように思えます。一定の自助努力はあって然るべきで、当初からそうであったはず。今の論戦を見ていると、理想と空論がぶつかっているようにしか見えないのですが、みなさんはどのように思いますか。
2019年06月15日 13:58