自損事故の時に健康保険は使えるか?
結論から言えば、健康保険の適応を受けることはできます。健康保険法では「労働者又はその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする」と定められています。また、健康保険法等の一部を改正する法律(平成25年5月31日公布)により、健康保険の給付範囲が見直され、健康保険及び労災保険のいずれの給付も受けられない事態が生じないよう、「労災保険の給付が受けられない場合には、健康保険の対象とすること」となっています。一言でいうなら、仕事中以外のケガについては健康保険が使えるということになります。
ただし、自動車保険に加入している場合、自損事故でも保険を利用できる場合があります。自損事故や搭乗者傷害特約を付けていると、一定の保険金を受け取ることができ、本来であればこちらから給付を受けるべきと言えます。よって、もし健康保険による給付が先に行われた場合には、自損事故に関する届出を健康保険側に提出することで、健康保険は損害保険会社にその費用を請求することになります。健康保険が、交通事故を起こして健康保険を使ったときに、その報告を求めるのはこのためです。
もっとも、健康保険も業務中の事故以外は何でも使えるということではありません。健康保険法第116条では、「自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は行わない」としています。よって自殺未遂や、飲酒運転などの道路交通法違反による事故によるケガといった場合には、健康保険を使うことはできません。
使える使えないより、何よりも事故を起こさないことが一番ですが。
2019年07月05日 16:02