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2020年9月の記事:ブログ(日々雑感)

「解雇」について知っていますか?

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会社(経営者)が、労働者との労働契約を終わらせる方法に、「解雇」という制度があります。しかしこの解雇という仕組み、労働者の生活の基盤を失いかねないコトだけに、そうそう簡単に使うことはできません。なぜなら、法律では次のように定められているからです。
「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして無効とする」(労働契約法第16条)

そのため、社会通念を欠くとされる次の様なケースでは解雇できません。
①労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり、療養のために休業する期間
②女性の産前産後休暇中
③労働者の国籍、信条、または社会的身分を理由とした解雇
④女性の妊娠、出産、育児、産前・産後休業を請求したことと理由とした解雇

さて、解雇には皆さんも一度は聞いたことああるかと思いますが、「普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」の三種類があります。このうちもっとも一般的に解雇と言えば、①の普通解雇を指します。この普通解雇が認められるのは、会社と労働者間で結んでいる雇用契約を継続して結んでおくことができないような事由が生じたとき。例えば、勤務態度が悪く改善の見込みがないとか、心身の故障によって、本来の労働力が期待できなくなったときなどです。

②の整理解雇ですが、企業の業績悪化などが原因で行われる人員調整、いわゆるリストラです。ただしこの場合、単に業績悪化だからといって最初にすることがこの整理解雇というのは認められません。以下の条件を満たすことが必要となります。
①整理解雇を行う客観的な理由があること
②解雇を回避するための必要な手段が講じられたこと
③整理解雇の対象となる労働者の選考基準が明確にされ、その運用が適正に行われること
④労使間で整理解雇についての協議が行われていること

最後に③の懲戒解雇ですが、これは労働者が予め就業規則などに定める懲戒事由に該当し、その処分として行われるものです。即日解雇ができる、あるいは退職金が支払われないなど、非常に重い処分であるため、どんなときに懲戒解雇に該当するのかを定めておく必要があり、処分の際にはその事由を明示する必要があります。

いずれにしても例外を除き、解雇を行う場合には30日前までに解雇の予告を行う必要があります。が、解雇予告手当を支払うことでその期間を短くすることができ、例えば25日前に解雇を行う場合には5日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。

 

 

2020年09月30日 17:36

給与計算の端数処理

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皆さんの会社では、給与計算をするときの大前提となる勤務時間はどのように計算されているかを知っていますか。

もし日々の勤務時間を計算する場合、1分単位でするのが原則です。よって14捨15入で14分以下の勤務時間は切り捨て、15分以上は切り上げて30分とするような端数計算はできません。もちろん、30分単位で勤務時間を計算するとの前提で、1分でも足りなかったらすべて切り捨てるといった方法は言語道断です。

賃金計算時に生じる端数の取扱いについては、昭和63年3月14日「基発第150号」によって、以下のように決められています。
1.遅刻、早退、欠勤等の時間の端数処理
・5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットするような処理は、労働の提供の無かった限度を超えるカットについて、賃金の全額払いの原則に反し違法である。
2.割増賃金計算における端数処理
・次の方法は労働者に不利となるものではないため、違反とは扱わない
①1ヶ月における時間外労働、休日労働および深夜業のそれぞれの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
②1時間あたりの賃金額および割増賃金に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること
③1ヶ月間における時間外、休日労働、深夜労働のそれぞれの割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、②と同様に処理すること
3.1ヶ月の賃金支払額における端数処理
①1ヶ月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うこと
②1ヶ月の賃金支払額に生じた1000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うこと

これを読めば一目瞭然ですが、日々の勤務時間について切り捨てはできません。が、労働者の有利となるような、例えば常に10分単位に切り上げるということであれば問題ありません。また端数処理ができるのは、1ヶ月間の労働時間の合計に対して行う計算過程で生じる端数処理と、賃金総額の端数取扱いのみが可能ということです。

もし皆さんの会社で、毎日の勤務時間で切り捨てが行われていれば明らかに違法となります。出勤簿に時間を記入するときに、当たり前のように30分単位に切り捨てをしていませんか?

 

2020年09月28日 19:05

採用面接で見たホッとする光景

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今日は午後から非常勤で人事部のお仕事をさせていただいている企業さまの採用面接に同席してきました。

今年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、採用活動のスタイルも大きく変化しています。こちらの企業も従来はもう少し早く薦めたかった採用活動ですが、なかなか学生との接点を持つことが難しい中で、ようやく採用担当者による一次面接となり、同席させていただいたという訳です。

一般企業とはやや異なる専門職採用のため、まだまだ学生も就職活動まっただ中という方ばかり。中には面接は当社が初めてという人もいて、緊張を少し和らげながらの面接に、サラリーマン時代のことを思い出しながら、私もいくつか質問をさせていただきました。

学生さんにとっては、大変な状況のなかでの就職活動。ご縁があるかどうかはともかく、面接が終わった後に「体に気をつけて頑張ってください」という担当者の言葉に「はい、ありがとうございます」と応えるやりとり。ちょっとしたことですがホッとする光景でした。

 

2020年09月25日 20:53

続・マイナンバーカードの普及率が発表されています(9)

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世の中のほとんどのニュースが、新型コロナウイルス感染症関連で占められるようになって半年近く、3月以降毎月内閣府のホームページでは、マイナンバーカードの普及率が、毎月更新されるようになっていました。
年月 交付率 前回からの増加率 1ヶ月あたり
平成29年3月8日 8.4% 0.6%
平成29年5月15日 9.0% 0.6% 0.3%
平成29年8月31日 9.6% 0.6% 0.2%
平成29年12月1日 10.2% 0.6% 0.2%
平成30年3月1日 10.7% 0.5% 0.16%
平成30年7月1日 11.5% 0.8% 0.2%
平成30年12月1日 12.2% 0.7% 0.14%
平成31年4月1日 13.0% 0.8% 0.2%
令和元年7月1日 13.5% 0.5% 0.17%
令和元年9月16日 14.0% 0.5% 0.25%
令和元年11月1日 14.3% 0.3% 0.15%
令和2年1月20日 15.0% 0.7% 0.23%
令和2年3月1日 15.5% 0.5% 0.25%
令和2年4月1日 16.0% 0.5% 0.5%
令和2年5月1日 16.4% 0.4% 0.4%
令和2年6月1日 16.8% 0.4% 0.4%
令和2年7月1日 17.5% 0.7% 0.7%
令和2年8月1日 18.2% 0.7% 0.7%
令和2年9月1日 19.4% 1.2% 1.2%

以前は2~3ヶ月毎の更新であったものが、毎月更新となったのはなぜか。新型コロナウイルス感染症に関する様々な対応が求められる行政官庁。にもかかわらず毎月更新されるようになったのは、もしかしてマイナンバーカードの交付率があることをきっかけに上昇したことにあるのでしようか?

そのあることとは、全国民に一律で10万円支給されたあの制度、「特別定額給付金」に起因するもの。当初マイナンバーカードを利用して申請すれば、郵送信用申請よりも早く受け取ることができると言われました。そのため、市町村窓口に交付申請が殺到したというニュースがありました。実際3月に15.5%であった交付率は、9月には19.4%と6ヶ月で実に4%も上昇しました。過去には1ヶ月あたりの交付率の上昇は平均で0.15~0.25%程度。これに比べれば倍以上の伸び率に、内閣府が毎月周知したい理由が分かる気がします。

現在はマイナポイント付与という特典があることから、もう暫くは交付率は伸びていくかもしれませんが、とはいえまだ国民の10人に2人弱しかもっていないカード、こうなると交付申請したら給付金を付与する位のことをしないと増えないのかもしれませんね。

 

2020年09月23日 18:27

応募者から提出された書類の返却は必要?

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企業で採用を担当している方に質問です。
「採用活動で応募者から提出された履歴書や成績証明書など、もし不採用者から返してほしいと言われたらどうしていますか?」

応募者から提出された書類はそのほとんどが個人情報とも言えます。もしプライバシーマークを取得している企業であれば、提出を受けた(取得した)とき、その書類を採用担当者分コピー(加工した)とき、あるいはそのコピーを利用後にシュレッダー(廃止)したときには、その経緯を常に記録しておかなければなりません。では、不採用者から返却を求められたときにはどうすれば、あるいはどうすべきなんでしょう。

結論から言うと、返却に応じる法的な義務はありません。個人情報保護法では、第19条で以下のように定められています。
「個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない。」

不採用となり、提出された個人情報が不要となったとき、法律では消去するように努めなければならないとされているだけで、義務ではありません。また消去と定められてはいますが、返却することは求められていません。「預かった個人情報をデータベース化していたり、何らかの形で複製していたら、これらを消去するよう努力しなさい。でも本人に返却する必要はありませんよ」ということです。

多くの応募者がいる企業では、一人一人に返却していては膨大なコストを手間がかかります。その点からしても取扱いに十分に注意した上で、処分することがベストとも言えます。ちなみに私が前職で採用担当者であったときには、学校の同意を得た上で、学校単位で纏めて就職担当者宛に返送し、各学校で学生さんに返還をお願いしていました。

個人情報ですから、その取扱いは慎重にする必要がありますが、社内で処分すればよく、返却の必要はないと覚えておいてください。

 

2020年09月18日 18:21

総合労働相談の相談員をしてきました

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今日(16日)は、京都府社会保険労務士会館で毎週水曜日に開催されている総合労働相談の相談員として出務してきました。

今年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、社労士会の研修会や研修会などがほぼすべて中止となる中、久しぶりの公務となりました。午前10時から午後4時まで、すべて電話による相談ですが、いろいろな相談に対して回答させていただきました。

内容については秘密保持もあり、一切ここで触れることはできませんが、少しはも問題解決のお役に立てたのではないかと思います。

年内にもう1回別の会場で相談員をする機会があるのですが、こちらは新型コロナウイルス感染症の状況によっては、中止となるかもしれないとのこと。感染拡大もなく、無事務められるといいのですが。

 

2020年09月16日 18:24

マイナンバーの取扱い、再度確認してみませんか

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マイナンバーが導入されて3年あまり、企業では社員のマイナンバーを管理していますが、その取扱いについて当初のルールを守っていますか。

 

企業は社員のマイナンバーについて「収集・保管・利用・廃棄・委託」を適正に行うことが求められています。マイナンバーは法律では「特定個人情報」とされ、一般の個人情報に比べてより厳格に取り扱うことが法律で義務付けられています。なぜならマイナンバーは行政機関や一部民間企業にある個人情報を結びつけることのできる唯一の番号であるためです。

 

企業では社員からマイナンバーを収集するにあたり、その利用目的を説明し、他の情報とは隔離された環境、施錠ができるキャビネットで管理したり、マイナンバー専用の外部から遮断されたパソコンや専用のUSBメモリなどで管理することが求められます。社内ではマイナンバーを取り扱える人を限定し、例え上司であってもむやみにその開示を求めることはできません。また、利用目的は「社会保障・税・災害対策」に限定されているため、これを社内で他の目的のために利用することは言うまでもなくできません。

 

さて、当初はこういった点について高い意識で管理されていたマイナンバー、少しづつ緩くなっていませんか。利用目的を告げずに新入社員から当然のように提示させたり、通知カードのコピーをファイリングしたものが担当者の机上に並んでいたり、業務委託先からの提供依頼に対して、メール本文にそのまま記載したりなど。

 

我々士業者も顧問先社員のマイナンバーを手続きの中で利用します。雇用保険の資格取得届や喪失届等はマイナンバーの記載がないと受け付けてもらえません。そのため、書類作成時にはその提示を求めるのですが、以前にはキャビネットに並んだファイルから何気なく取り出した社員名簿の中に書かれていたり、メールにそのコピーがパスワード等のセキュリティの対策なしに添付されていたりしたことがありました。都度「こういった管理方法にしてみませんか?」と説明して対応していただきましたが、現実にはまだまだ一般の社員情報と同様に扱っている企業も多いのではないでしょうか。

 

さて、皆さんの会社での取扱いは適正にできていますか?

 

2020年09月14日 14:15

業務中にスマホを触っていませんか?

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勤務時間中にスマホを触る、皆さんの周りにこんな人はいませんか? あるいは皆さん自身がついつい触ってしまうなんてことはありませんか。

そもそも勤務時間中は、就業規則などで業務を誠実に履行することが求められます。よって、あまりに過度に繰り返されるような場合には、注意を受けたり、服務規律違反で処分される可能性もあります。勤務時間中にはスマホを触らないようにし、就業規則で業務中のスマホ操作を禁止しておくのがいいかと思います。私の顧問先の多くでも就業規則で業務中の禁止事項の一つとして定めています。

また、もう一つ別の観点でも禁止すべき大きな理由があります。それは社内機密が容易に漏洩しかねないということ。写真を人知れず撮影することができ、画像やファイルをメールで送ったり、SNSに投稿することもできます。個人情報や社内機密を漏洩させれば、それはそれで処分の対象となりますが、そもそもそのリスクを軽減するためにも、勤務時間中という制限だけでなく、事務フロア内でのスマホ使用を制限することも求められます。

もっとも業務上の理由で使用することが求められることもあります。例えば何か調べ物をしたり、緊急で連絡を取る必要がある場合など。こういったケースのためには、業務用のスマホを備え、個人用との棲み分けをすることがよいのではないかと思います。

 

 

2020年09月11日 18:31

休業手当から控除できる?

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最近こんな質問を受けました。
「体業手当から税金や社会保険料を控除することはできますか?」

こちらの企業では今回の新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、5月から7月にかけて、輪番制で休業を行い、その間の給与については100%に相当する休業手当を支給されました。体業手当を支給されるのは創業以来初めてとのことで、例月の給与から控除している税金や社会保険料を同じように控除できるのか否かが明確でなく、当事務所にメールにて質問を受けたというものです。

労働基準法第11条では、「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対象として使用者が労働者に払うすべてのもの」を賃金と定めており、休業手当は賃金に該当すると解されています。よって給与同様に、所得税や住民税、各種の社会保険料を控除することについては何ら問題ありません。もちろん、税金や社会保険料算定の基礎ともなるということです。

さらに言えば給与と同じというこことで、例えば全額払いの原則や直接払いの原則と言った、いわゆる賃金支払いの5原則についてもそのまま適用されます。体業手当だからといって、分割して支給したり、月によって異なる日に支給するようなことはできないので注意が必要です。

 

 

2020年09月09日 17:47

採用担当者は誰がしますか?

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新型コロナウイルス感染症の影響は、企業の採用活動に大きな影響をもたらしていますが、そもそも皆さんの会社では採用面接は誰が担当していますか。

多くは人事や採用部門の社員が担当しますが、それ以外の部門に属する、いわゆる現場担当者といった社員が担当することも少なくありません。多くの人が担当することで、選考がより多角的な目で実施される反面、面接慣れしていない社員が選考に入ることで、評価にばらつきが出たり、採用部門が見て欲しい、確認して欲しいポイントから外れてしまうということが起こります。

そういった弊害を避けるためには、採用担当者間で事前に評価基準について意識を合わせておく必要があります。採用部門として見て欲しいところや、確認して欲しいポイントについて明示し、どのような評価をつけるのかといったことについて確認しておくことが求められます。

一方で、面接の場においては聞いてはいけないこともあります。私が採用担当者のころ、ある役員のサポートとして面接に同席したときのことです。その役員は身体的な特徴を話題にあげて、何度も必要以上にその点について意見を求めるということがありました。本来それはあってはならない質問だったのですが、その学生は後に選考辞退を申し入れてきました。直接的な理由であったかどうかはわかりませんでしたが、ある意味で当然のことでした。そのときの役員の言葉は「精神的なタフさを見たかった」とのことでしたが、面接担当者の言動は選考や内定辞退につながるということも意識しておく必要があります。

いずれにしても、ポイントを明確にすること、最低限のマナーを理解しておくことが必要です。

 

 

2020年09月07日 18:19
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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