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2020年の記事:ブログ(日々雑感)

アルバイトやパートでケガをしたら

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学生や主婦、フリーターといった人がアルバイトやパートでの仕事中、あるいは通勤途中にけがをして医療機関にかかったとき、健康保険を使いますか、労災保険を使いますか?

正解は「労災保険」です。労災保険は個人経営の一部の農林水産業を除き、すべての事業主が加入しなければなりません。また、対象となる労働者の正規・非正規、パート、アルバイトといった区別なく、労災保険の適用労働者となります。そのため、労災保険の保険料は、保険年度(4月~翌年3月)の1年間に支払った賃金総額に対して、労災事故の発生率を勘案した保険料率を乗じて決められています。

業務上のケガや病気で労災保険を使うことは、制度の主旨からも当然のことですが、労災保険を使うことは、労働者にとって大きなメリットがあります。病院でけがの治療を受けた時、健康保険では3割の自己負担がありますが、労災保険では自己負担はゼロ、全額保険で支払われます(療養補償給付)。また、病気やケガで働くことができず、賃金を受けることができない場合、健康保険では傷病手当金を受けることができますが、支給開始から1年6ヶ月という制限があります。これが労災の場合には、休業補償給付として期限なく支給されます。また、支給開始から1年6ヶ月を経過した時点で、一定の状態である場合には傷病補償年金として受給することもできます。その他、治癒した時に一定の障害が残ったときには、障害補償年金や介護補償年金が、不幸にも死亡した時には遺族補償年金や葬祭料が支給されます。

パートやアルバイトが業務上でケガをした場合、その事実を隠す意図で、その人が持っている健康保険で治療を受け、自己負担分を責任者が代わりに支払う、いわゆる「労災隠し」があります。これは絶対に認められません。明らかに違法であるとともに、労働者にとって著しく不利益になります。もし、事業主が労災申請に応じない場合には、自ら労働基準監督署へ申請することも可能です。

まずは、アルバイトやパートタイマーでも労災が使えること、知っておいてください。

 

2020年10月12日 07:08

定めておくことをおススメする社内規定とは

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社会保険労務士の仕事の一つに、社内規定の作成やその届出があります。私もこの3年で多くの企業さまの社内規定の作成・届出をしましたが、ではどんな規定を作成する必要があるかについて今日は少しお話ししたいと思います。

 

まず、会社の規則の柱となるのが就業規則です。国で例えれば憲法といってもいいでしょう。労働基準法第89条で常時10人以上の労働者を使用する事業所では、就業規則の作成と労働基準監督署への届出を義務付けています。この就業規則には必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」と、定めをする場合には記載しなければならないとする「任意的記載事項」があります。絶対的記載事項には、就業時間や休憩・休暇・休日や賃金に関する事項があります。このうち賃金に関する事項は、内容が複雑で記載すべき事項が多いため、別規定(賃金規定)として作成するケースがほとんどです。

 

ではその賃金規定ですが、多くの場合には支払日や支払方法、昇給の時期、賃金の細目やその細目ごとの計算方法、控除する費用などを規定しておきます。特に基本給や職能給の金額が細かく規定される場合には更に別表として一覧表を作成して、例えば給与テーブルといった形で規定したりします。通勤手当や扶養手当といった個々の条件によって支払額が変わるような手当についてもここで定め、支給基準を明確にしておくことでトラブルを防ぐことができます。

 

また義務化されている制度として、育児休業と介護休業があります。事業主は法律に規定による条件を満たすものがその取得を要求した場合、労働者に育児休業、あるいは介護休業を与えなければならないとしています。ただし、取得の要件がとても細かいため、就業規則では「要件を満たした場合には、育児休業あるいは介護休業規定の定めるところにより休業を取得することができる」としておき、別途規定を作成するのが一般的です。私が作成する場合にも、同様の対応をしています。育児休業規定および介護休業規定は厚生労働省のホームページから雛形を取得することができますので、これを参考とするのもよいかもしれません。

 

そして最後にもう一つ、私がご依頼を受けた際に確認するものに「出張規定」があります。これは企業によってその必要性は異なりますが、社員が日帰りあるいは宿泊を伴う出張をする場合、その交通費や宿泊費、あるいは一定の手当を支給する場合にはその金額に関する規定を定めておくのがよいでしょう。例えば指定席かグリーン席か、宿泊するホテルはいくらまでか、前泊した場合の手当はいくらまでか等、こういった事項がケースバイケースではトラブルの元となります。キチンと明文化しておくことをおススメしています。

 

さて、みなさんの会社にはこのような規定はありますか。その他にも会社によっては細かく規定してあるでしょう。必要に応じて目を通してみるのもよいかもしれませんね。

 

2020年10月09日 16:30

人事異動や転勤を拒んだら

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「人事異動や転勤を拒む社員への対応」、転勤の制度がある会社では、過去に1度はあるのではないでしょうか。そんなときどうすることができるのでしょうか。

転勤まではないものの、人事異動のない会社はありません。例えばある地域内で複数店舗で営業をしていれば、その店舗間の異動であっても人事異動と言えます。もし自宅から近い店舗から遠い店舗への異動となったとき、「自宅から遠くなるのでお断りします」と言われて拒否される可能性も無いとは言えません。あるいは「自分の希望しない仕事だからしたくありません」と拒まれることもあるかもしれません。

一般に企業ではこういった人事異動で起こる問題を想定して、予め就業規則等で「人事異動を命じられたときには、これに従わなければならない」といった旨を定めています。そのためもし拒んだ場合には、服務規程違反ということで、一定の処分をすることが可能になります。就業規則の懲戒規定にもよりますが、場合によっては退職を求めたりすることもできます。

もっとも、転勤を命じたことをきっかけに退職となっては、労使双方によってマイナスとなってしまします。転勤を命じる場合にはその理由や期待することなどを説明し、本人が納得して転勤できるようにすることもポイントとなります。

一方で正当な理由もなく、個人的なわがままで転勤や人事異動を拒否した社員をそのままにすることは、ごね得となり、決してよい効果を生みません。その点を勘案してもし拒んだ社員がいる場合の対応を検討しておく必要があります。

 

2020年10月07日 19:04

意外に知らない? ノーワーク・ノーペイの原則

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「ノーワーク・ノーペイの原則」って聞いたことありますか。

 

ここでいう「ワーク」とは皆さんが会社やパート・バイト先等で仕事をすること、「ペイ」とは事業者が給与を支払うことです。そこに「ノー」は付くと、仕事をしなければ給料の支払いはない、つまり皆さんが働くことによって労働力を提供しなければ、事業主は給料を支払う必要がないということです。

 

労働に対して給料を支払う、当たり前のことですが皆さんが会社に就職して、あるいはパートやアルバイトを始める際に、「雇用契約」を結んでいます。雇用契約とは「労働者は労働力を提供する、使用者はその対価として決められた給与を支払う」ということに労使双方が合意して成立する契約です。よって、予め決められた場所で、決められた時間に労働力が提供されないければ、例えば遅刻や病気などで欠勤した場合、使用者は欠勤控除といった手段で相当分の賃金を控除することができるのです。

 

私もいくつかの顧問先から給与計算業務を請け負っていますが、欠勤控除の対応はしばしばあります。その場合には予め算定してある対象者の1時間当たりの平均賃金に、欠勤となった時間数を乗じて控除額を求めています。給与明細には「欠勤控除額」の見出しをつけていますが、本人には対象となった日を備考欄に記載しています。

 

ところで、ノーワークでもペイとなるケースもあります。それは年次有給休暇を取得した場合で、この日は言うまでもなく控除することはできません。また、慶弔休暇や出産・産前産後休暇、介護休暇等は会社の就業規則の定めるところによります。一般に慶弔休暇は年次有給休暇と同様に出勤扱いとし、出産・産前産後休暇、介護休暇等は公的保険から給付を受けることができることもあり、無給としている企業が多いようです。ただし、企業によって異なるので、気になる人は就業規則を確認することをおススメします。

 

最後に少し話が逸れますが、使用者の責に帰すべき事由、あるいは使用者の命令による休業や自宅待機等の場合には、平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります。この場合にもある意味ではノーワーク・ノーペイの原則の例外と言えます。

 

2020年10月05日 16:04

いつか巻き戻しがやってくる?

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コロナ禍で気がつけばもう10月です。

今月1日からは、GOTOキャンペーンに東京発着が加わり、また一部に限定されていた海外からの入国が一定の条件はあるものの、全世界に拡大されました。今後は感染拡大防止を図りつつ、経済活動を元に戻していくことは避けられません。

ところでGOTOキャンペーンはいうまでもなく、一人10万円を支給する特別定額給付金、各地方自治体が独自に行っている給付金や補助金、雇用保険料を原資として給付されている雇用開発助成金など、新型コロナウイルス感染症によって、当初想定されていなかったお金としていったいどれくらい支出されているのでしょうね。もっとも支出は今年に止まりません。先日公表された来年度予算の概算要求額は105兆円。この中にも相当のコロナ関連の予算が請求されています。

取りあえず今は有事であり、国民全員に無償でワクチン投与をする予算などは納税者として納得のいく使い方です。ただ、有事だからと言って何でもかんでも取りあえずというのは後に大きなツケを回すことになります。受けた恩恵の数倍の巻き戻しがやってくる、そんな気がするのは心配のし過ぎなんでしょうか。

 

2020年10月02日 16:44

「解雇」について知っていますか?

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会社(経営者)が、労働者との労働契約を終わらせる方法に、「解雇」という制度があります。しかしこの解雇という仕組み、労働者の生活の基盤を失いかねないコトだけに、そうそう簡単に使うことはできません。なぜなら、法律では次のように定められているからです。
「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして無効とする」(労働契約法第16条)

そのため、社会通念を欠くとされる次の様なケースでは解雇できません。
①労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり、療養のために休業する期間
②女性の産前産後休暇中
③労働者の国籍、信条、または社会的身分を理由とした解雇
④女性の妊娠、出産、育児、産前・産後休業を請求したことと理由とした解雇

さて、解雇には皆さんも一度は聞いたことああるかと思いますが、「普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」の三種類があります。このうちもっとも一般的に解雇と言えば、①の普通解雇を指します。この普通解雇が認められるのは、会社と労働者間で結んでいる雇用契約を継続して結んでおくことができないような事由が生じたとき。例えば、勤務態度が悪く改善の見込みがないとか、心身の故障によって、本来の労働力が期待できなくなったときなどです。

②の整理解雇ですが、企業の業績悪化などが原因で行われる人員調整、いわゆるリストラです。ただしこの場合、単に業績悪化だからといって最初にすることがこの整理解雇というのは認められません。以下の条件を満たすことが必要となります。
①整理解雇を行う客観的な理由があること
②解雇を回避するための必要な手段が講じられたこと
③整理解雇の対象となる労働者の選考基準が明確にされ、その運用が適正に行われること
④労使間で整理解雇についての協議が行われていること

最後に③の懲戒解雇ですが、これは労働者が予め就業規則などに定める懲戒事由に該当し、その処分として行われるものです。即日解雇ができる、あるいは退職金が支払われないなど、非常に重い処分であるため、どんなときに懲戒解雇に該当するのかを定めておく必要があり、処分の際にはその事由を明示する必要があります。

いずれにしても例外を除き、解雇を行う場合には30日前までに解雇の予告を行う必要があります。が、解雇予告手当を支払うことでその期間を短くすることができ、例えば25日前に解雇を行う場合には5日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。

 

 

2020年09月30日 17:36

給与計算の端数処理

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皆さんの会社では、給与計算をするときの大前提となる勤務時間はどのように計算されているかを知っていますか。

もし日々の勤務時間を計算する場合、1分単位でするのが原則です。よって14捨15入で14分以下の勤務時間は切り捨て、15分以上は切り上げて30分とするような端数計算はできません。もちろん、30分単位で勤務時間を計算するとの前提で、1分でも足りなかったらすべて切り捨てるといった方法は言語道断です。

賃金計算時に生じる端数の取扱いについては、昭和63年3月14日「基発第150号」によって、以下のように決められています。
1.遅刻、早退、欠勤等の時間の端数処理
・5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットするような処理は、労働の提供の無かった限度を超えるカットについて、賃金の全額払いの原則に反し違法である。
2.割増賃金計算における端数処理
・次の方法は労働者に不利となるものではないため、違反とは扱わない
①1ヶ月における時間外労働、休日労働および深夜業のそれぞれの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
②1時間あたりの賃金額および割増賃金に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること
③1ヶ月間における時間外、休日労働、深夜労働のそれぞれの割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、②と同様に処理すること
3.1ヶ月の賃金支払額における端数処理
①1ヶ月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うこと
②1ヶ月の賃金支払額に生じた1000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うこと

これを読めば一目瞭然ですが、日々の勤務時間について切り捨てはできません。が、労働者の有利となるような、例えば常に10分単位に切り上げるということであれば問題ありません。また端数処理ができるのは、1ヶ月間の労働時間の合計に対して行う計算過程で生じる端数処理と、賃金総額の端数取扱いのみが可能ということです。

もし皆さんの会社で、毎日の勤務時間で切り捨てが行われていれば明らかに違法となります。出勤簿に時間を記入するときに、当たり前のように30分単位に切り捨てをしていませんか?

 

2020年09月28日 19:05

採用面接で見たホッとする光景

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今日は午後から非常勤で人事部のお仕事をさせていただいている企業さまの採用面接に同席してきました。

今年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、採用活動のスタイルも大きく変化しています。こちらの企業も従来はもう少し早く薦めたかった採用活動ですが、なかなか学生との接点を持つことが難しい中で、ようやく採用担当者による一次面接となり、同席させていただいたという訳です。

一般企業とはやや異なる専門職採用のため、まだまだ学生も就職活動まっただ中という方ばかり。中には面接は当社が初めてという人もいて、緊張を少し和らげながらの面接に、サラリーマン時代のことを思い出しながら、私もいくつか質問をさせていただきました。

学生さんにとっては、大変な状況のなかでの就職活動。ご縁があるかどうかはともかく、面接が終わった後に「体に気をつけて頑張ってください」という担当者の言葉に「はい、ありがとうございます」と応えるやりとり。ちょっとしたことですがホッとする光景でした。

 

2020年09月25日 20:53

続・マイナンバーカードの普及率が発表されています(9)

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世の中のほとんどのニュースが、新型コロナウイルス感染症関連で占められるようになって半年近く、3月以降毎月内閣府のホームページでは、マイナンバーカードの普及率が、毎月更新されるようになっていました。
年月 交付率 前回からの増加率 1ヶ月あたり
平成29年3月8日 8.4% 0.6%
平成29年5月15日 9.0% 0.6% 0.3%
平成29年8月31日 9.6% 0.6% 0.2%
平成29年12月1日 10.2% 0.6% 0.2%
平成30年3月1日 10.7% 0.5% 0.16%
平成30年7月1日 11.5% 0.8% 0.2%
平成30年12月1日 12.2% 0.7% 0.14%
平成31年4月1日 13.0% 0.8% 0.2%
令和元年7月1日 13.5% 0.5% 0.17%
令和元年9月16日 14.0% 0.5% 0.25%
令和元年11月1日 14.3% 0.3% 0.15%
令和2年1月20日 15.0% 0.7% 0.23%
令和2年3月1日 15.5% 0.5% 0.25%
令和2年4月1日 16.0% 0.5% 0.5%
令和2年5月1日 16.4% 0.4% 0.4%
令和2年6月1日 16.8% 0.4% 0.4%
令和2年7月1日 17.5% 0.7% 0.7%
令和2年8月1日 18.2% 0.7% 0.7%
令和2年9月1日 19.4% 1.2% 1.2%

以前は2~3ヶ月毎の更新であったものが、毎月更新となったのはなぜか。新型コロナウイルス感染症に関する様々な対応が求められる行政官庁。にもかかわらず毎月更新されるようになったのは、もしかしてマイナンバーカードの交付率があることをきっかけに上昇したことにあるのでしようか?

そのあることとは、全国民に一律で10万円支給されたあの制度、「特別定額給付金」に起因するもの。当初マイナンバーカードを利用して申請すれば、郵送信用申請よりも早く受け取ることができると言われました。そのため、市町村窓口に交付申請が殺到したというニュースがありました。実際3月に15.5%であった交付率は、9月には19.4%と6ヶ月で実に4%も上昇しました。過去には1ヶ月あたりの交付率の上昇は平均で0.15~0.25%程度。これに比べれば倍以上の伸び率に、内閣府が毎月周知したい理由が分かる気がします。

現在はマイナポイント付与という特典があることから、もう暫くは交付率は伸びていくかもしれませんが、とはいえまだ国民の10人に2人弱しかもっていないカード、こうなると交付申請したら給付金を付与する位のことをしないと増えないのかもしれませんね。

 

2020年09月23日 18:27

応募者から提出された書類の返却は必要?

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企業で採用を担当している方に質問です。
「採用活動で応募者から提出された履歴書や成績証明書など、もし不採用者から返してほしいと言われたらどうしていますか?」

応募者から提出された書類はそのほとんどが個人情報とも言えます。もしプライバシーマークを取得している企業であれば、提出を受けた(取得した)とき、その書類を採用担当者分コピー(加工した)とき、あるいはそのコピーを利用後にシュレッダー(廃止)したときには、その経緯を常に記録しておかなければなりません。では、不採用者から返却を求められたときにはどうすれば、あるいはどうすべきなんでしょう。

結論から言うと、返却に応じる法的な義務はありません。個人情報保護法では、第19条で以下のように定められています。
「個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない。」

不採用となり、提出された個人情報が不要となったとき、法律では消去するように努めなければならないとされているだけで、義務ではありません。また消去と定められてはいますが、返却することは求められていません。「預かった個人情報をデータベース化していたり、何らかの形で複製していたら、これらを消去するよう努力しなさい。でも本人に返却する必要はありませんよ」ということです。

多くの応募者がいる企業では、一人一人に返却していては膨大なコストを手間がかかります。その点からしても取扱いに十分に注意した上で、処分することがベストとも言えます。ちなみに私が前職で採用担当者であったときには、学校の同意を得た上で、学校単位で纏めて就職担当者宛に返送し、各学校で学生さんに返還をお願いしていました。

個人情報ですから、その取扱いは慎重にする必要がありますが、社内で処分すればよく、返却の必要はないと覚えておいてください。

 

2020年09月18日 18:21
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

ファイナンシャルプランナー
社会保険労務士
マンション管理士
一柳 賢司

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