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ブログ(日々雑感)

オフィスになくてはならないもの

南禅寺三門(20181108)

最初になぞかけです。

「皆さんのオフィスになくてはならいもので、誰しもが必ず利用するもの」と言えばなんでしょう。

 

解答は一つではありませんが、ここでの解答は「トイレ」。昔に比べれば、最近の新しいオフィスビルでは機能的にも衛生的にも進化しているトイレですが、さてそもそもこのオフィスのトイレについて、法律で決められていることがいくつかあることをご存知ですか。その法律とは「労働安全衛生法」。この法律は職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進することを目的とするもの。労働者にとって仕事のしやすい、快適なオフィスを作ろうというものです。そしてその規定の一つとして作られているのが「事務所衛生基準規則」。ここには事務所(=オフィス)に関する様々なことが規定されています。

 

そこで規定されているのが、トイレの設置基準。おもに以下のようなことが決められています。

➀男性用と女性用に区別して設置すること

②男性用大便所の便房の数は、同時に就業する男性労働者60人以内ごとに1個以上設置すること

③男性用小便所の箇所数は、同時に就業する男性労働者30人以内ごとに1個以上とすること

④女性用便所の便房の数は、同時に就業する女性労働者20人以内ごとに1個以上とすること

皆さんのオフィスはこの設置基準が守られているでしょうか。もちろんもしこれに違反すると罰則があり「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が事業主の課せられることがあります。トイレは労働者の健康管路の面で非常に重要なものであり、規則でその設置基準が定められているのです。そういえば、私が以前勤めていた会社の最初の東京事務所は男女兼用のトイレでした。10年ほど前の話ですが、今にして思えば問題ありだったんですね。

 

さて、この設置基準はある国家試験で問われます。皆さんの職場、50人以上の事業所にはその設置が義務付けられている「衛生管理者」の試験です。衛生管理者とは、「労働条件、労働環境の衛生的改善と疾病の予防処置等を担当し、事業場の衛生全般の管理をする者」として労働衛生を遵守・実践することがその仕事です。トイレの数を勉強する試験があるんですね。

 

皆さんのオフィスのトイレの数と従業員の比率、どうなっているか今日ちょっと数えてみてはどうでしょう。

 

 

2018年11月08日 14:18

インボイス制度をご存知ですか

南禅寺の紅葉(20181107)

昨夜、月例の京都府社会保険労務士会中支部の研究会に出席してきました。

 

今月のテーマは「 消費税改正の概要~軽減税率だけが改正ではない。 売上1千万以下でも申告納税が必要になるかもしれないその仕組みとは~」。来年10月1日から消費税が10%となり、また軽減税率も導入されることになっていますが、実は軽減税だけではない、もっと影響があることが意外に知られていないということでした。

 

その際たるものが、「インボイス方式」の導入。私も以前に参加したFPのスタディグループの研修会で多少かじってはいましたが、昨夜はプロである税理士の先生からの説明で「これは他人ごとではないぞ」と実感しました。「インボイス」、元は貿易用語で、納品書、送り状といった意味があります。通関手続きには不可欠な書類で、商品の納品明細書、請求書といった利用目的で交付される書類で、海外へ発送する荷物にはなくてはならないものです。消費税引き上げ後、平成35年10月1日から 「インボイス方式」が導入されることになっています。

 

消費税は、「仕入税額控除」といって事業者が預かった消費税から負担した消費税を控除して納税する仕組みとなっています。この仕入税額控除を適用するための条件として備え付けなければならないのが、帳簿及び請求書等(領収書、納品書、レシートなど)で、いわゆる「請求書等保存方式」と言われています。来年10月1日以降、軽減税率が適用されることによって、より適正に仕入税額控除額を計算できるようにする必要があります。そこで導入されるのが、このインボイス。平成35年10月1日からは、あらかじめ税務署長に申請して登録を受けた課税事業者が交付する「適格請求書」又は「適格簡易請求書」の保存が仕入税額控除の要件となるのです。

 

ここで大きな影響があるのは、原則として消費税の納税が免除される売上高が1,000万円以下の免税事業者。取引先から適格請求書を求められることは当然想定され、そのためには適格請求書発行事業者の登録を受けなければなりません。ただ、この登録を受けると売上高が1,000万円以下であっても、消費税の納税義務が免除されないことになるのです。平成41年までは経過措置が残ることになってはいますが、いずれ免税事業者はなくなることになるかもしれません。

 

我々士業者も無縁とは言えないこのインボイス方式、まだしばらく先のこととはいえ、周知が不十分なような気がしますね。これも財務省の作戦なんでしょうか。
 

 

2018年11月07日 09:48

休職期間中の社会保険料はいるの、いらないの

摩利支尊天堂(20181106)

経営者さまやサラリーパーソンの方とお話しをしているとよく聞かれることです。

「休職期間中って社会保険料ってどうなるんですか?」

 

先日も、顧問先の社員さんが両足を骨折をされてリハビリも含めて向こう3カ月間ほど休職となるとのことで、同様のお電話を受けました。有給休暇を使用しなければ当然給料は支給されません。ちょっと大変な事態であることは間違いないのですが、残念ながら社会保険料は1円たりとも変わりません。休職前と同額の負担が休職期間中も必要となります。これは休職期間中は資格を喪失したわけではないため引き続き負担義務を負う(昭和26.3.9保文発619号)という考えによるものです。

 

社会保険料には「随時改定」という仕組みがあって、給与に大きな変動があった場合に保険料を引き下げる(もしくは引き上げる)ようになっています。よく聞かれるのがこの「随時改定に該当して、ゼロにはならないまでも、せめて下がるのではないの?」ということですが、休職期間中にはこの条件を満たすことがないのです。ではこの随時改定の条件とは、

➀固定的賃金の変動があったこと

②継続した3月間のいずれの月も報酬支払基礎日数が17日以上あること

③3月間の報酬の平均による標準報酬月額と、従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差があること

このすべての条件を満たす必要があり、少なくとも休職期間中はこの①と②を満たすことができないためです。よって、健康保険料と厚生年金保険料は引き続き休職前と同額を支払う必要があり、会社によってさまざまですが一般的には休職している社員から相当分を会社の口座に振り込んでもらい、事業主負担分と併せて支払うといった方法が取られています。ただし、雇用保険料や所得税の負担はなくなります。

 

病気やケガによる休職期間中、給与の支払い有無にもよりますが、健康保険の傷病手当金や労災保険の休業補償給付によって一定の補償を受けることは可能です。全額補てんとはいかないまでも、おおよそ7~8割は賄うことができます。もちろん、請求しなければ受けることができませんので、該当する場合には会社の総務部門に相談されることをおススメします。

 

 

2018年11月06日 10:51

外国人労働者受け入れ拡大は、看取りの始まり?

摩利支尊天堂(20181105)

政府が外国人労働者の受け入れの拡大として、来年4月からの初年度に約4万人の受け入れを試算しているとのことです。

 

そもそも外国人労働者の受け入れを要望しているのは人材確保に悩む業界団体、それに応えようとする政府の取り組みとして入国管理法の改正を現在開かれている臨時国会で目指そうというもの。私も顧問先の経営者さまとお話しをしていると、いろいろな業界で人がいない、募集しても集まらないという話を聞きます。少子高齢化がさらに進めば、もっと深刻になってくる問題でもあります。

 

今回の外国人労働者の受け入れ拡大は、業種を限定し、かつ2つの在留資格を設けて制限をかけているようにも見えますが、問題は入り口ではなくて、そもそも国内で働きたくても働けない人材が有効に活用されているのかという疑問があります。おそらくこれだけの外国人労働者を受け入れるとなると、相当のコストが必要になるはず。そのコストをかければ活用できる人材がまだまだ国内にいるのではないかと思います。安易に外国人労働者の受け入れありきで人手不足を解消しようというのは、どうなんでしょうか。

 

また、ひとたび受け入れるとなると、企業だけの問題ではなくなってきます。特に今回の在留資格のうち「特定技能2号」とされている業種については、家族を帯同して在留することも可能となるため、地域社会にも大いに関係のある問題となります。与党は家族帯同となるために資格の認定条件を厳しくすることを検討しているようですが、検討すべき問題は受け入れ後にもあることは含まれているんでしょうか。

 

ただ、今回の対象となっている14業種については、なかなか人が集まらないという現実もあります。特に介護業界はこれからまずます人が必要になるのに担い手がいないというのは、他人事でないだけに深刻な問題です。その問題を外国人労働者に頼らざるを得ないというのは、もしかしたら昭和の時代にピークを迎え、平成の時代に後退が始まったこの国の老いていく姿を看取ってもらうことのように思えてしまいます。

 

個人的には少し複雑な思いでこのニュースを見ています。

 

 

2018年11月05日 05:00

共通項はあれど結末が同じにはならないために

南禅寺三門(20181104)

先月29日の朝日新聞朝刊にこんなタイトルの記事が掲載されていました。

「アムステルダム 観光客を抑制」

 

今世界各国が観光客誘致を掲げ、あの手この手で自国の観光資源をアピールし、観光雑誌のランキング上位に掲載されれば一段と観光客が増える。日本の観光庁も2020年に訪日観光客4000万人という目標を掲げて、様々な取り組みをしています。が、一方で観光地ではいろいろな問題が起きているという現実もあります。今回、オランダのアムステルダムでは羽目を外す外国人が目立ち、住民への影響を無視できなくなるなどの影響から、観光客の抑制に転換したということです。

 

新聞の記事を一部引用すると、「酒に酔って朝方まで外で叫ぶ外国人。路上に捨てられるゴミ。民家への破壊行為など。(途中省略)一部の観光客のマナーの悪さと市民生活への影響を問題視し、市は14年、観光客を抑制する方向に大転換した」というのが主旨。そのため、海外での観光客の誘致活動を止め、中心部でのホテルの新規建設の中止、貸自転車やツアーチケット店などの観光客向けの新規開店を原則禁止とするといった政策を進めているとのこと。アムステルダムの現状を直接目にしたわけではなく単純に比較はできないものの、抑制の原因となった事情は最近ここ京都市でも問題となりつつあることと似ています。

 

アムステルダムと同じ結末はあってはならないのですが、観光地といえども人がそこで仕事をしていたり、生活の場であったりします。とはいえ、文化も価値観も違う外国人観光客にはわからない部分も多くあるのは当然です。観光客を迎える側も「してはいけないこと」や「守ってほしいこと」をいろいろな手段で伝えることも必要です。宿泊先や交通機関、観光地などでチラシを配布するとか、スマホに一斉配信する仕組みを作るなど、知ってもらう努力もしなければならないのでしょうね。

 

「ここにある物を見てください。どんどんお金を使ってください。でも多過ぎるから一定以上は来ないでください」ではちょっと勝手のような気がします。

 

 

2018年11月04日 05:36

ふるさと納税の目的って何でしょうか

天寿案にて(20181103)

最近、ニュースや新聞報道で何かとふるさと納税に関するものを見かけますが、このことについて少し意見を。

 

ふるさと納税といえば、やはり最初に思いつくのがその市町村から送られる返礼品。どの市町村がどんな返礼品がもらえるかを検索できるサイトもあったり、あるいは送られた返礼品についていろいろと書き綴られたブログがあったりもします。誰しも納税(正確に言えば寄付金ですが)をすることで、その一部が返礼品として帰ってきて、また税金の負担が減るならば、少しでもいいものをもらいたいというのは分かります。でも、この制度の主旨はこういったことが目的だったんでしょうか。

 

少し適切な表現ではないかもしれませんが、自分と全くゆかりのない市町村へ返礼品の良し悪しで納税をする、市町村も少しでも多く集めるために地元とはまったく関連のない商品(米、肉、カニ)や換金性の高い商品を返礼品として送る。全体としてとらえれば税収は減り、コストは増える、ではその穴埋めは誰がしているのでしょうか。

 

こういった状況になることを想定していなかった国にもその責任があるのかもしれませんが、であれば早く制度を改めるべきかと思います。廃止までする必要はありませんが、例えば納税先を今まで住んだことのある市町村、あるいは災害等で被害を受けた市町村に限定する、返礼品は廃止し、寄付金控除のみにするといった具合です。

 

総務省が今年の7月に公表した資料の最終ページにこんな資料があります。

<返礼割合3割超の返礼品及び地場産品以外の返礼品をいずれも送付している市区町村で、平成30年8月までに見直す意向がなく、平成29年度受入額が10億円以上の市区町村>

国にも、名指しされている市町村にもそれぞれ意見はあるのでしょうが、こういった資料を発表するのであれば、やはり根本的に制度を見直すべきかなぁというのが、個人的な意見です。みなさんはどう思いますか。

 

 

2018年11月03日 18:07

マイナポータルに新コーナーが登場しています

コーヒーハウスにて(20181102)

不定期ですが当ブログでしばしば取り上げているマイナンバー制度。先月1日からマイナポータルに新コーナーが登場しています。

 

その新コーナーとは「就労証明書作成コーナー」。就労証明書とはその名の通り「就労していること(働いていること)の事実を証明する書類」です。利用目的は、市町村に保育園への入所申込をする際に添付が必要となるもので、申請者が働いている企業の総務や人事部門の担当者が作成します。今回のマイナポータルへの導入によって、企業担当者の作成と申請者の提出の際の手間が省力化できそうです。

 

今までは、企業担当者が申請者の居住する市町村から就労証明書を取り寄せ(あるいはホームページからダウンロードして)、手書きで作成し社印を押して申請者に手渡すという方法でした。これが、今後はマイナポータルに予め登録された市町村の様式を取得し(かんたん入手)、WEB画面上で入力(らくらく作成)し、プリントアウト後に社印を押して申請者に手渡します。申請者は会社から渡された就労証明書を写真に撮りデジタル化して、入所申込書に添付して電子申請(すすっと電子申請)することになります。かんたん入手、らくらく作成、すすっと電子申請というのが今回の売りです。

 

ただし、すすっと電子申請ができる市町村はまだ全体の3割ということと、電子申請に添付しても、改めて原本(紙の証明書)の提出を求める市町村もあるとのことで、結局は「紙」媒体が必要になるということは変わりません。これが、企業担当者がWEB画面上で作成し、電子印鑑を押印して申請者のマイナポータルに登録、あるいは市町村に提出するような仕組みができればより便利になるんでしょうね。今回の対応では、市町村ごとのホームページを探し、手書きするという点では便利になりましたが、今後の更なるバージョンアップを期待しましょう。

企業の人事担当の皆様、お見逃しなく!「就労証明書作成コーナー」のご紹介

 

 

2018年11月02日 16:25

11月は「年金月間」、11月30日は「年金の日」

秋の空(20181101)

恥ずかしながら私も社会保険労務士登録をするまで、11月が年金月間であることを知りませんでした。まして多くの一般の方々にはほぼ認知されていないというのが現実でしょうか。ご存知の方、いらっしゃいますか。

 

さて、年金月間の主旨は日本年金機構のホームページから引用すれば、「国民の皆様に公的年金制度を身近に感じていただき、公的年金制度に対する理解を深めていただくこと」とのこと。たまたま私も先月街角相談の相談員として年金についての相談を受けたり、FPとして最近ライフプランについての相談を受けた中で、あることが意外にも知られていないことに気がつきました。

 

それは、年金を受けることの理由の一つに「障害」があること。年金と聞くとどうしても「老後に貰うもの」というイメージが強く、また配偶者がなくなったら「遺族として貰えるものがあるのかも」というこちらは「かも」と考えている人が多いのです。そして「障害」で貰えることは「そうなんですか」とか「知らなかった」という反応が実に多いのです。あまり身近でないこともあるのかもしれませんが、国や年金機構のアピール不足もあるんでしょうね。

 

そこで、簡単な障害年金マメ知識をご紹介します。障害年金をもらう場合にポイントとなるのは3つ、➀初診日、②障害認定日、③保険料納付要件です。

➀初診日

障害の原因となった病気やけがで、初めて医師の診療を受けた日(初診日)のことです。障害年金はこの初診日において年金に加入していることが必要になり、加入していた年金制度によってもらうことができる年金の種類が異なってきます。国民年金に加入していれば「障害基礎年金」を、厚生年金に加入していれば「障害厚生年金」を受給することができます。(※ただし、初診日に20歳前または60歳から65歳までの年金未加入期間中でも障害基礎年金が請求できます)

②障害認定日

初診日から原則として1年6ヶ月経過した日のことで、この日もしくは65歳に達するまでに一定の障害状態であることが必要です。一定の障害状態についてはその部位に応じて基準が決められています。

③保険料納付要件

初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が全体の3分の2以上あること、または直近の1年間に保険料の未納期間がないことが必要です。保険料を納付していないにもかかわらず年金を受けることができるというモラルハザードを避ける仕組みです。

 

障害年金を受給するにはこの3つの条件を満たすことが必要です。障害の程度に応じて障害基礎年金は1,2級、障害厚生年金は1,2,3級と障害手当金に分かれ、年金額はその等級や配偶者の有無や子どもの人数などによって加算があるため、人それぞれ異なってきます。

 

もしかすると、請求すれば受給できるかもしれないのに制度を知らずして請求をしていない人がいるかもしれません。もしもという場合には近くの年金事務所に相談されていはどうでしょうか。

 

 

2018年11月01日 14:35

事業主さまの悩みのタネ~生活残業を減らす~

御所の紅葉(20181031)

現役のサラリーパーソンとして社員の勤務時間を管理していた頃には役員と、あるいは社会保険労務士となって事業主さまと話をするとよく相談されることに、「社員の無駄な生活残業を減らしたい、抑制したい」ということがあります。どの企業でも、いつの時代でも少なからず生活残業やダラダラと無駄な残業をして残業代を得る人が少なからずいます。でもこれを暗黙の了解として認め、放置することも決して良いことではありません。

 

もし同額の基本給を得ている2人の社員が、同じ量の仕事に対して定時内で終えて帰宅する人と、故意に残業をして残業代を得る人であった場合、経営者としてこの2人に対する評価の違いは明らかです。とは言え、労働時間としての実績を一方的にカットしたり、なかったことにすることもできません。ではどうすればよいか、事前にできることと事後にできることをそれぞれ考えてみます。

 

まず事前にできることとしては、残業の許可制です。終業時刻以降に残業が必要となる場合には事前に申請をし、管理職の承認を必要とすることで、本人の自由な意思による残業を制限をすることができます。その場合には、残業をする理由と終了予定時間を申請し、管理職がその妥当性を判断し承認することもポイントです。また、逆のケースで会社側が残業を必要と判断する場合もあります。この場合には「残業指示」として命じることです。いずれにしても会社が残業時間とその目的と成果を正しく把握しておくことです。

 

次に事後にできること、それは残業を含めた仕事の評価を賞与で査定する方法です。時間内で成果を上げている社員には言うまでもなくプラス評価として加算する一方で、生活残業やダラダラ残業をしている社員に対しては相当分の減額という手段で調整する方法です。賞与はあくまでも評価期間の会社の収益や労働者の勤務評価、職務評価によって支給されるもの。その点を明確に労働者に伝えることもできます。

 

ただ場合によっては「どうして生活残業が発生しているのか」という根本的な原因について調べてみる必要があります。そもそも賃金が低く、止むに止まれずしている可能性もあります。会社は生活残業と判断していても、実際に業務量が過剰になっている場合もあります。先ほどのような対応も取りつつ、労務管理として実態の把握に努めることが重要になります。

 

 

2018年10月31日 06:15

公的保険の次が私的保険

竹中稲荷神社(20181030)

ファイナンシャルプランナーが受ける相談で、意外に多い質問があります。それは、

「どんな保険に加入したらいいんでしょうか」

 

もっともなことです。そこが知りたいからそこファイナンシャルプランナーにご相談される訳で、この質問にしっかりお応えしなければいけません。私がこの質問を受けた時、まず最初にご説明することが一つ、それは「保険会社が販売している保険(私的保険)は、あくまでも足りない部分を補うもので、なにかプラスαを得ようとするものではありません」とお話ししています。

 

私も含め、皆さん制度の違いこそあれ社会保険に加入しています。万が一亡くなったとき、病気やケガで医療機関にかかったとき、治療中や治癒後も一定期間仕事ができずに収入を得られないときなど、100%補填はされないものの一定の給付を社会保険から受けることができます。最も身近な例でいえば、病院での会計で支払いが3割で済んでいるのは、残り7割が加入する健康保険から支払われているから。更にその3割も一定額を超えると「高額療養費」という仕組みで負担が軽減されるようになっています。こういった公的保険の仕組み、意外に知らないことが多いのです。

 

もしこういった仕組みを知らないと、何かあったときの準備のすべてを民間の保険でカバーしようということになります。これでは保障の重複となり、保険料のムダとも言えます。保険会社の生命保険や医療保険の加入を考える場合、まずは自分が加入している公的保険から受けることができる給付と、そこからいくら足りないのかを確認することがポイントです。よく雑誌やネットの見出しで、「40歳代で万が一の時は〇〇万円不足」といった記事を見かけます。間違いではありませんが、不足額はそれぞれが置かれている環境によって千差万別、一概にいくらとは言えません。特に死亡保障の場合にその不足額を求めるには実に多くの要素が必要となります。生命保険会社の営業員が、何の根拠もなく保険金額を見積もって作成してくる資料は私から言えば論外です。

 

もし、何かあっても貯蓄で賄えるほどの相当の資産があれば、強制加入となる社会保険は別として、生命保険や医療保険への加入は必要でないかもしれません。あくまでも足りない部分を補うのが私的保険であり、何かに乗じて収入を得るというものでもありません。よくよくその「足りない金額」を考えて加入を検討してみてはどうでしょうか。

 

 

2018年10月30日 07:47
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

ファイナンシャルプランナー
社会保険労務士
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