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ブログ(日々雑感)

アルバイトをしている学生さんへ

寺町商店街(20190713)
アルバイトをして小遣いや、生活費の足しにしている学生さんは多いかと思います。京都市は学生の街、企業側も貴重な労働力として学生を見込んでいます。実際に私の顧問先でも、多くの学生さんがアルバイトとして働いています。

アルバイトやパートを採用している事業者さんに確認すること、それは「賃金の割増率や、労働時間・休憩時間・有給休暇の付与などの労働条件は基本的には正社員と同じ待遇としていますか」ということです。例えば、アルバイトであっても1日8時間1週間40時間を超えて働けば時間外労働であり、22時から5時の間に働けば深夜労働として割増賃金を支払われることになります(36協定が届け出されている場合を除く)。6時間を超えれば休憩時間が与えられますし、週1日・年間48日以上働けば年次有給休暇を取得することができます。ただし、中にはアルバイトやパート労働者にはこういったことが無視されている場合があります。

一般にどんな職場であっても、新たに働くことになった場合には「雇用契約書」によって、労働条件を明らかにしておかなければなりません。正社員であっても、アルバイトやパートであっても同じです。また当初の労働条件が変更になった場合でも同様です。まず、アルバイトやパートとして働いていて、この雇用契約書を貰っていない人は、使用者に対して労働条件をはっきり明示するように求めることがポイントです。

もし雇用契約書によって明示された労働条件と実態が相違している場合、労働者は即時に労働契約を解除することができる旨が、ちゃんと法律で定められています。
【労働基準法第15条】
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

第2項
前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。


通常、労働者側から労働契約を解除する場合には、民法の規程により、14日前までにその申出をすることが必要ですが、上記の15条第2項の場合には即時に解除することができます。もし、明らかに労働条件が相違している場合には辞めるという選択肢もありかではないでしょうか。そこまではちょっという場合には、労働基準監督署に相談することも一つの方法です。

アルバイトであっても労働者であることは間違いありません。ちゃんと労働条件を確認し、不当な条件でないかどうか確認することも必要です。
   
2019年07月13日 13:19

採用応募者からの個人情報をどうしていますか

サッポロビール園にて(20190712)
企業で採用担当をしている方に質問です。
「皆さんの会社では、応募者から提出された個人情報をどうしていますか?」

応募者から提出される個人情報の代表といえば、履歴書や成績証明書などがまず第一に思い浮かびます。多くの場合、選考期間中は人事部門で管理され、縁あって採用となった人の分については、そのまま人事資料として管理されるのではないかと多います。では、不採用となった場合にはどうしますか。

個人情報保護法第19条では、「利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない」と定められています。あくまでも努力義務であって強制ではありませんが、不採用によって利用することがなくなったのであれば、可能な限り消去(破棄)することを法律では求めています。そのため、面接時に担当者に配布した資料に履歴書のコピーがあれば、面接終了後に回収し、人事部門で一括管理することでもれなく消去することができます。

もっとも、履歴書を本人に返還することまでは個人情報保護法では求めていませんので、仮に応募者から「履歴書を返してほしい」と申し入れがあったとしても、必ずしもこれに応じる義務はありません。企業にとっては何千人も応募者があって、一人ひとりに書留郵便などで返送していてはコストだけで馬鹿になりません。ただ、返却しない場合には予めその旨を応募時に告げておくことも一つの配慮と言えるかもしれません。

私が前職で採用担当をしていた際は、不採用者の応募書類は不採用通知とともに返却していました。多少のコストはかかるものの、社内に個人情報が残ることのリスクと天秤に掛けたとき、優先されるべきはリスクを無くすことでした。さて皆さんの会社ではどうでしょうか?
   
2019年07月12日 13:18

後期高齢者支援金を知っていますか

美瑛にて(20190711)
皆さんは後期高齢者支援金を負担していることを知っていますか。

「そもそも後期高齢者支援金って何?」という質問がありそうですが、その名の通り、健康保険制度の一つである後期高齢者医療制度に対する支援金のこと。現在75歳以上の人は、都道府県単位の広域連合で運営される後期高齢者医療制度という健康保険制度に加入しています。この点は、前期高齢者である60歳~74歳までの人は、国民健康保険や組合健保、協会けんぽに加入しているのとは大きな違いです。

この後期高齢者医療制度を支える財源は、国費が5割、加入者本人の負担が1割、そして残り4割を現役世代が負担することになっており、これを後期高齢者支援金といいます。そしてその負担は現役世代の人々が毎月支払う健康保険料の中に含まれているのです。さてどれくらいかといいますと、協会けんぽの場合、今年度の保険料率は全国一律で3.51%。京都府の場合、毎月徴収される保険料率は10.03%となっていますので、そのうち3.51%が前期高齢者納付金と後期高齢者支援金、残りの6.52%が現役世代の給付の為に充てられる保険料(基本保険料)ということになります。皆さんの給与明細に記載されている健康保険料のうち、3分の1が前期高齢者納付金と後期高齢者医療制度に充当されているのです。

現役世代の負担といえば、医療費でだけでなく、年金も現在支払われている年金を現役世代の保険料で賄う賦課方式という制度で支えられています。社会全体で支えるという前提で維持されている制度ですが、少子高齢化で負担される側とする側のバランスが偏ればどうなるかは言うに及ばすです。若い世代の人達に今以上の負担を背負わせないような仕組みを考えないと、その次の世代が育たなくなってしまうように思えるのですがどうでしょうか。
   
2019年07月11日 06:54

かんぽ生命の不祥事から思うこと

真如堂のあじさい(20190710)
かんぽ生命の保険販売で、顧客に不利益となる契約手法が明らかになり大きな問題となっています。

保険料の二重払いや、旧契約から新契約への「乗り換え」によって結果として保険料が上がることが説明されていない、病気などで新しい保険に加入できない無保険となってしまったなど、どれもこれもひどい話です。そのターゲットとなっていたのが高齢者であったり、あるいはその目的が職員の手当が減少しないようにするためだったとか、言葉を変えれば詐欺のような手法です。

でも今回の報道を見ていてふと思い出したのは、同様のことが以前には民間の生命保険会社でもあったこと。今から20年ほど前、保険会社は予定利率の高い契約、保険会社にとっていわゆる「逆ザヤ」といわれる契約を、予定利率の低い新商品に「乗り替え」を進めるといった営業手法を行いました。保険会社ではこの「乗り換え」を「転換」といいますが、問題になったのは顧客に取って不利益になることを告げずに、新商品のいい面だけをアピールして販売を進めたことでした。保険会社にとってはバブル期に販売した利回りの高い貯蓄型の養老保険を、利回りの低い新商品に転換すれば「逆ザヤ」が解消されます。保険会社の利益は契約者にとっては不利益、それがきちんと説明されないということが横行したのです。

このような経緯もあり、保険業法が改正され、保険契約者に対して不利益な事実を告げずに既存の保険契約を消滅させ、新たな保険契約の申し込みをさせる行為は禁止されました。また虚偽のことを告げたり、保険契約において重要な事項の説明を行わない行為も禁止されています。今回のかんぽ生命の販売方法は明らかにこれに反していると思えるのですが、いかがでしょう。

会社自体の利益や社員の給与を最優先にすれば、消費者のことは後回しになるのは、何も保険会社に限ったことではありません。世の中の弱肉強食の一面を見ているようで、複雑な思いになる今回の不祥事です。
   
2019年07月10日 06:55

内定者研修中にケガをしたら

北の大地(20190709)
今年も例年以上の早さで企業の採用活動が進んでいるようですが、内定式も終わると企業によっては入社前研修を始めるところもあります。さてこの入社前研修中に内定者がケガをしたらどうなるのでしょうか。

一般に労働者が業務中や通勤途中にけがをした場合、あるいは業務に起因して病気になった場合には労災(労働者災害補償保険)の適用を受け、補償を受けることができます。業務外の事由による負傷・疾病のときに使うことができる健康保険が原則3割負担であるのに対し、労災保険は自己負担がありません。また、保険料についても労働者が負担することはなく、全額事業主が負担しています。そのためか労災保険という保険があることを知らない人が少なからずいて、時折「労災ってなんですか」という質問を受けることがあります。

さて労災法の第1条には「業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びそ
の遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする」と書かれています。対象となるのはあくまでも労働者であることが前提です。

前置きが長くなりましたが、入社前研修を受けている内定者がこの労働者に該当するかという点が論点となります。その研修の形態や賃金の支払いの有無などにもよりますが、単に研修を受けるという目的だけである場合には労働者とは認められず、労災保険の適用を受けることはないというのが前例です。ただし、その理由が企業の安全配慮義務に欠けていたなど、企業側に責任がある場合には、企業から内定者への損害賠償といった問題が生じてくる可能性があります。

内定者研修を実施する場合、企業としては事故が発生しないように配慮するとともに、万が一のリスクに備えるなら損害保険などの備えをしておくのがベストな対策ではないでしょうか。
   
2019年07月09日 07:06

値上げの基準は「108分の110」

鴨川にて(20190708)
今年10月から消費税率が現在の8%から10%に引き上げられる予定となっています。過去に2度延期されましたが、いよいよ今回はよほどのことがない限り実際される見込みです。一方でほぼ全国で一定の割合で値上げが実際されることをご存知ですが。

それは多くの人が日常生活で利用する鉄道運賃。JRや私鉄各社、地下鉄などでほぼ一斉に料金が改定され、初乗運賃で10円程度引き上げられます。ちなみに私がもっとも多く利用する京阪電車では、初乗りが150円から160円に、出町柳~淀屋橋間で420円から430円に改定されます。

ところで今回の改定では一つの率がその上限となっています。それが「108分の110」、消費税の値上げ幅の分だけ運賃を改定するというものです。率にして1.852%で鉄道各社はこの範囲で値上げを実施することになっています。いわゆる「便乗値上げ」は上乗せしていませんということが明確になっていると言えるでしょうか。ただし例外もあり、経営難で苦しむJR北海道では、消費税も併せて約11%の値上げが予定されています。これだけの値上げとなると余計に利用客が遠のくような気がしますが、難しいところなんでしょうね。

そしてもう一つ大きく影響があるとすれば、郵便料金。こちらはハガキが1円(62円→63円)、封書で2円(82円→84円)引き上げられます。私が仕事で多く利用するレターパックもレターパックプラスが510円から520円に、レターパックライトが360円から370円となります。利用頻度が多いだけにこちらは結構影響がありそうです。

移動の足と、納品の手段で受ける増税の影響、じわりと効いてきそうです。
   
2019年07月08日 15:04

仕事の管理についてようやく一手を打ちました

サロマ湖の夕日(20190707)
先週1週間はいろいろなことが重なり、珍しくハードな1週間となりました。

今月10日〆の社会保険料の算定基礎届と労働保険料の年度更新の対応、10日支払いの給与計算業務、社労士京都府会理事会、資格喪失の関する各種届出、新しい顧問先との契約など。どの作業がどこまで進んでいるのか、何が残り、何が終わっているのか、頭の中はパニック状態、ちょっと危ない状況でした。

そこで、一区切りついた今日の午前中を利用して、各顧問先ごとと全体のタスクについて作業状況がわかるように、エクセルを駆使して管理表なるものを作成しました。今更ながらという感は否めませんが、ようやくできたというところでしょうか。使いながらブラッシュアップして、より使いやすいものにしていきたいと思います。

私の場合、一人で事務所を運営しているため、あらゆることをこなさなければなりません。基本的に紹介を前提として業務範囲を広げていますが、ゆっくりではありますが顧問先数もおかげさまで増えてきました。するべき毎が重なったときにどうやって対応するか、しっかり準備しておかなければと痛感しました。リスク対策として、万が一にも病気などで長期離脱となった場合、ある事務所に業務の代行をお願いできる体制は整えてありますが、常日頃の小さなリスク対策も大切です。

さて、今週はこの管理表を見ながら、追われることなくじっくりと進めていきたいと思います。
   
2019年07月07日 16:15

アルバイトから有給休暇を求められたら

嵯峨野竹林の道(20190706)
先日、顧問先オーナさまからの電話で受けた相談です。
「アルバイト学生から有給休暇の申出があったんですが、与えないといけないんですか?」

今年4月から年間5日以上の年休の取得義務化」が始まっていますが、そもそも年次有給休暇とはパートやアルバイトといった短時間勤務労働者にもその権利があるのか、という質問は良く受けます。実際にパートやアルバイトには有給休暇を与えていないという企業も少なからずあるように思います。では、その権利があるのはどういったときでしょうか。

パートとアルバイト、その言葉の違いこそあれ、労働者の定義としては同じです。曜日や時間に関係なく、正規社員よりも短い時間で働く労働者のことを指します。そして有給休暇の取扱いについて正社員と異なるのは、勤務する日数と時間。1週間に4日以下かつ週労働時間が30時間未満の場合、正規社員よりも少ないながら一定の有給休暇を取得することができます。ただし、年間の所定労働日数が47日以下の場合には有給休暇を取得することはできません。またパートやアルバイトであっても正規社員と同様に、週5日40時間以上勤務する場合であれば、正規社員同様の有給休暇を取得することができます。

ご相談を受けたこちらのケースでは、該当の学生さんは勤続2年、週3日のシフトに入っているとのことで、今年は6日の有給休暇を付与する必要があることをお伝えしました。義務化に該当するのは年間10日の付与に該当する労働者であるため、この学生さんについては義務化の対象ではないものの、やはり請求されれば付与しなければなりません。パートやアルバイトを使用している事情主の方、付与することは、よりよい職場環境の形成に繋がると考えて、積極的に取得してもらってはどうでしょうか。
   
2019年07月06日 16:45

自損事故の時に健康保険は使えるか?

光悦寺にて(20190705)
自損事故とは、例えば車を運転していて誤って電柱にぶつかっったり、バイクや自転車で転倒して、第三者には被害はなかったものの、自分自身がケガをしたり車などを壊してしまった事故のことです。こういった事故の時、健康保険って使える、使えない、どちらだと思いますか。

結論から言えば、健康保険の適応を受けることはできます。健康保険法では「労働者又はその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする」と定められています。また、健康保険法等の一部を改正する法律(平成25年5月31日公布)により、健康保険の給付範囲が見直され、健康保険及び労災保険のいずれの給付も受けられない事態が生じないよう、「労災保険の給付が受けられない場合には、健康保険の対象とすること」となっています。一言でいうなら、仕事中以外のケガについては健康保険が使えるということになります。

ただし、自動車保険に加入している場合、自損事故でも保険を利用できる場合があります。自損事故や搭乗者傷害特約を付けていると、一定の保険金を受け取ることができ、本来であればこちらから給付を受けるべきと言えます。よって、もし健康保険による給付が先に行われた場合には、自損事故に関する届出を健康保険側に提出することで、健康保険は損害保険会社にその費用を請求することになります。健康保険が、交通事故を起こして健康保険を使ったときに、その報告を求めるのはこのためです。

もっとも、健康保険も業務中の事故以外は何でも使えるということではありません。健康保険法第116条では、「自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は行わない」としています。よって自殺未遂や、飲酒運転などの道路交通法違反による事故によるケガといった場合には、健康保険を使うことはできません。

使える使えないより、何よりも事故を起こさないことが一番ですが。
   
2019年07月05日 16:02

手続きが簡素化されています

寂光院境内にて(20190704)
最近作成したある手続きについて、以前に比べて簡素化されていました。

それは、厚年年金・健康保険の標準報酬月額変更届、俗に「月変」といわれる手続きです。これは固定的賃金の変動によって従来の標準報酬等級に対して2等級以上の変動が生じたときに届け出るものです。固定的賃金の変動とは、例えば昇給や降給が該当しますが、もうひとつ、役員に就任したことによって大きく報酬がアップすることもその理由の一つです。

従来、役員に就任した、あるいは役員報酬の見直しによってこの月変に該当し、60日以上遡って手続きを行う場合には取締役会などの議事録の控えの添付が必要でした。原則通りに条件に該当したときに届け出ればそもそも不要ではあるのですが、なかなかそうはいかないもの。新たに顧問先となり、賃金台帳を見直していると、時折届出がされていないケースを見かけます。私も過去に2度、このようなケースで議事録を添付して手続きを行ったことがあります。

さて、この議事録の添付が「「行政手続コスト」削減のための基本計画」(平成29年6月厚生労働省決定)に基づき、不要となっています。他にも該当するケースがあり、詳細は以下の日本年金機構のホームページにも掲載されています。
【事業主の皆様へ】届出等における添付書類及び署名・押印等の取扱いの変更について

恥ずかしながら私自身も、今年の4月から顧問先となった企業さまに該当する役員の方らがおられ、この6月の報酬支払い時に月変に該当するために手続きを行おうと準備をしていた際に、このページに行きあたりました。もう少しで「議事録のコピーを送ってください」と依頼するところだっただけに、情報不足で無駄な負担をおかけするところでした。

遡及して手続きを行う際の賃金台帳や議事録の添付は不要です。ご参考までに。
   
2019年07月04日 09:49
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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