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ブログ(日々雑感)

相続で新しい制度が始まりました

御所にて(20190703)
7月1日から、相続について新しい制度が始まったことをご存知ですか。

その制度とは、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」といわれるもの。今までは、被相続人が亡くなった場合、その被相続人名義の口座が遺産分割の対象となった場合、その分割が終了するまでは、相続人単独ではその口座から預金を引き出すことはできませんでした。そのため、残された遺族が当面の生活費や、あるいは葬儀に必要な費用を準備できなかったりといった問題がありました。

今回の制度は、ひとことで言ってしまえば相続預金の一定額までの引き出しを認めますというもの。設けられた制度には次の2つがあります。
①家庭裁判所の判断により払戻しができる制度
②家庭裁判所の判断を経ずに払戻ができる制度
ですが、①については家庭裁判所に遺産の分割の審判や調停が申し立てられている場合に、裁判所が認めた一定額まで払戻ができるというので、少し訳アリの状況下での制度とも言えます。身近で利用しやすい制度としては②の方で、こちらは相続預金のうち、口座ごとに次の計算式で求められる額については、家庭裁判所の判断を経ずに、金融機関から単独で払戻しを受けることができます。
預金額✖1/3✖払戻しを行う法定相続人の相続割合
例えば、全銀協のホームページに掲載されている事例を引用すれば、相続人が長女、二女のふたりで、相続開始時の預金額が1口座の普通預金600万円であった場合、長女が単独で払戻しができる額=600万円×1/3×1/2=100万円となります。ちなみに、同一の金融機関から払戻しを受けることができる金額は150万円が上限となっています。

制度利用には、一定の書類が必要であり、払戻しまでには時間も必要とのことで、金融機関の窓口ですぐに引き出せるということではありませんので注意が必要です。やはりもしもの時に困らないように備えるのであれば、自分名義の口座に常に一定額の預金を準備しておくのがおススメです。
   
2019年07月03日 12:23

平成28年➡平成29年で4倍になったもの

02)あじさい(20190702)
厚生労働省のホームページに6月30日にリリースされた記事における数字が、本日のタイトルです。さて4倍になってものとは。

これは、労働基準監督署が定期監督または申告に基づく監督を実施し、割増賃金の不払いに係る指導を行い、1企業で合計100万円以上の未払賃金の支払いがなされたものの集計総額です。100万円未満については集計対象となっていないため、実際にはもっと多額と思われますが、平成28年度が約127億円であったのに対し、平成29年度は約446億円であったとのことです。

確かに最近ネットのバナー広告などでも、「残業代は取り返せます」云々といった見出しや、その経験談をつづった記事を見かけることが増えました。一説には消費者金融で問題となった過払利息の返還が落ち着いたことから、今度は未払賃金に社会の関心が移っているとの話を聞いたこともあります。いずれにしても、現実に未払賃金がある以上、それを支払ってもらいたいというのは、働く側にとっては切実な問題です。

現在の法律では賃金の時効消滅は2年、よって未払い請求も無制限に遡れるという訳ではありません。また、そもそもこういった問題が生じないようにすることが重要で、使用者側としては出勤簿や残業時間の把握や管理、賃金計算のチェックなどを行い、キチンと処理しておくこと、のちのちの労使トラブルのタネにならないようにしておくことが重要です。

勤務表や休暇台帳を作成していない、あるいは賃金台帳を作成していないなど、まだまだよく耳にします。労働者のモチベーションのためにも賃金トラブルはできるだけ避けることが重要です。
 
2019年07月02日 16:50

有給休暇中の賃金はいくら

ポーチにて(20190701)
先日、こんな質問を受けました。
「有給休暇ってその名の通り、給料を払いながら休める日ということだと思うんですが、では給料はいくら払えばいいのか」

有給休暇中の賃金については、労働基準法第37条第7項に次の様に定められています。
「就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより
①労働基準法第12条で定める平均賃金
②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
③健康保険法で定める標準報酬日額に相当する金額(ただし、この場合には労使協定が必要)

によって支払わなければならない」
と定められています。さて、みなさんが有給休暇を取得した時にはどうなっているでしょうか。多くの人は、「有給休暇で休んでも、給料は変わらない」という人が多いのではないでしょうか。それは、皆さんの会社が②の方法で賃金を支払っているためで、特に月給制の場合には、通常の労働をしたものとして、特に賃金の控除と加算をしていないことによるものです。

ところが、アルバイトやパートのように、給料が時間や出勤日で決まる場合には少し状況が変わります。月給の場合と比べて賃金の変動が大きいため、アルバイトやパートの人が有給を取得した場合、一般的に①の平均賃金を支給されるケースが多いかと思います。平均賃金の計算は過去3カ月間に支払われた賃金の総額を、その間の総日数(労働日数ではありません)で割った値になります。例えば時間給1000円で各月10日間、1日5時間働いた月が3カ月間(総日数92日間)続いたと想定した場合、平均賃金は150,000÷92=1,630円となります。ただ、この計算式では総日数で割るために、出勤日数の少ないパートやアルバイトの人にとっては不当に低くなることがあります・

そこで、例外として賃金総額÷出勤日数の60%で平均賃金を求めることが認められています。先ほどのケースでいえば、150,000÷30×0.6=3,000円となります。最終的には原則通りで計算した金額と、この例外で計算した金額と比較し、高い方を平均賃金とすることができます。ちなみにこの計算計算方法は、休業補償で賃金が支払われる場合も同様です。

パートやアルバイトの方の有給休暇中の賃金、正しく計算されているか一度確認してみてはどうでしょうか。
 
2019年07月01日 14:54

今年で1150年

菊水鉾(20190630)
いよいよ明日7月1日から1ヶ月間、京都では祇園祭が行われます。

祇園祭のはじまりは、平安時代に疫病や災いの退散を祈った「祇園御霊会」とされていますが、今年で1150年目となります。令和元年に1150年目というのは、偶然とはいえこれも一つの巡り合わせなのでしょうか。
そのため今年はいろいろな催しが開催されるようで、またいつもとは少し違った祇園祭が楽しめそうです。

今年も鉾が立ち、祇園囃子が聞こえ始めた頃に、いつものところに粽を買いに行こうかと思います。それにしても、古からの伝統を受け継いで1150年も続いているって凄いですよね。
そんな文化に身近に触れることができるのは幸せなことかもしれません。
 
2019年06月30日 13:44

これから活躍する小物

扇子(20190629)
近畿地方もようやく梅雨入りしたかと思えば小型ながら台風接近、湿った空気が一気に入ったせいか今日は非常にジメジメした蒸し暑い一日でした。これから続く蒸し暑さ、皆さんは何か対策をしていますか。

皆さんそれぞれあるかと思いますが、私にとって欠かせないのが「扇子」。もっとも簡単にどこでもほんの小さな涼をとれる優れものです。手動というところは痛しかゆしですが、意外に使えるものです。初めて使い始めたのは学生の頃、京都に遊びに来た両親の案内を1日した御礼にと買ってもらったものでした。以降、生命保険会社の営業員さんから貰った物や、何かの景品でもらったものなど、あまり拘りなく、手元にあるものを使っていました。その分壊れるのも早かったですが。

そして今愛用しているのは、数年前に誕生日に家族からのプレゼントとして贈ってもらったもの。もう長く使っていますが、痛みもなく、まだ香りも残っていて、使うと何となく落ち着きます。これから本番の蒸し暑い季節、今年もお世話になりそうです。
 
2019年06月29日 12:08

熱中症は労災の対象となる、ならない

嵐山駅(20190628)
夏本番ともなれば熱い日々がやってきます。そして毎日聞くことになるのが「熱中症」による死亡事故などの二ュースです。ではもし仕事中に熱中症になったとき、労災保険は使えるのでしょうか。

まず結論からすると労災保険の対象になります。その根拠として、労働基準法施行規則別表第1の2、これは業務上の疾病を規定するものですが、ここに「暑熱な場所における業務による熱中症」がちゃんと明記されています。よって、労災の認定基準である「業務起因性」と「業務遂行性」が認められれば、労災保険で治療を受けたり、万が一の場合には死亡補償を受けることもできます。

厚生労働省のホームページでは、平成30年の職場における熱中症による死傷災害の発生状況を公表しています。それによれば死亡者数は28人、死傷者数(死亡者数と休業4日以上の業務上疾病者数を加えた数)は、1,178人といずれも前年比で2倍となっています。死亡者の半分が建設業界ということで、7月~8月に屋外で仕事をするのは命がけとも言えるのかもしれません。

ちなみに、労災保険情報センターでは熱中症の認定要件で一般的認定要件として
1.業務上の突発的又はその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る原因が存在すること
2.当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの時間的間隔等から災害と疾病との間に因果関係が認められること
3.業務に起因しない他の原因により発病(又は増悪)したものでないこと
とされています。最終的には職場の状況や労働時間、作業内容や本人の健康状態などから総合的に判断されるようですが、ベストなのは熱中症にならない対策を講じること。熱中症は命にかかわる問題ととらえて、労働者本人だけでなく、事業者も労働者を守る対策が必要です。
 

 

2019年06月28日 11:56

住民税の納付通知書は届いていますか

八坂の塔(20190627)
会社勤めの方は、今月分(6月分)の給与明細に「住民税特別徴収額の通知書」が同封されているかと思います。会社によっては個別に渡すところもあるかもしれませんが、私が給与計算業務を請け負っている企業さまは、今月分の給与明細に同封させていただきました、会社勤めの場合には、毎月の給料から住民税が徴収され、会社が翌月10日までに各市町村に納税することになります。これを特別徴収といいますが、では自営業の場合にはどうなるのでしょうか。

自営業の場合、住民税の納税通知書は当然のことながら、各個人宛に6月初旬から中旬にかけて送られてきます。かくいう私の手元にも京都市から送られてきています。そして届いた後でまずおススメしたいのが、今年の確定申告書と見比べて、住民税額決定の根拠となっている金額が正しいかどうかを確認すること。各種の控除額については、特に住宅ローン控除やふるさと納税(寄付金控除)を受けることができる場合には適用されているかどうかをチェックしてください。合っていますか?

また、特別徴収は毎月の給与からの天引きですが、普通徴収の場合には年4回の納付となります。送付されてきた納付書も、1回で納める場合と4回で納める場合の両方が同封されています。4回で納める場合の納期は6月末、8月末、10月末、翌年1月末と決まっています。今年の場合は6月末と8月末が日曜日に当たるため、納付期日はそれぞれ7月1日、9月1日となります。どちらにしても払うものですが、少しトクをした気分になります。

ただし、年4回で払うので1回あたりの支払額は多くなります。回数は少なくて手間は省けるけど、金額は多い。どっちもどっちというところでしょうか。それよりも、忘れずに7月1日までに納めないと。
 

 

2019年06月27日 10:34

デジタルからアナログに戻れる対策を

北の大地(20190626)
みなさんが働くオフィス、今やパソコンのない風景は想像ができません。でももしこれが使えなくなったときの対策はできていますか。

一言でパソコンが使えなくなったといっても2通りの状況が考えられます。1つ目は単に特定のパソコン自体のトラブルで使えなくなった場合。ハードの障害であったり、そのパソコンにインストールされているソフトが利用できなくなるといった状況。この場合は、他のパソコンを利用したり、ソフトウエアを再度インストールするなどといった方法でトラブルを回避することが可能です。被害も限定されますので、それほど大騒ぎというものではありません。

ところが、会社によっては社内システムでネットワーク化され、そのシステムが社内業務に欠かせないものとなっているものがあります。銀行のオンラインシステムや、病院の電子カルテや会計システム、在庫管理や販売管理など企業によって様々ですが、こういった社内システムによって皆さんも仕事をしていませんか。さてそのシステムが突然使えなくなった場合にどうするか、これが2つ目の状況ですが、考えたことがありますか。

システムの規模や障害の程度によって取るべき対策はいろいろですが、BCP(事業継続計画)の中で、システム障害時の対応策を定めるところもありますが、そこまで大袈裟でなくとも、やはり何らかの対策を決めておく必要はあります。システム化された仕事も、もとは人がしていた仕事です。その頃にしていた仕事の方法や手順に戻れるように準備しておくことも一つの方法です。例えば医療機関では、電子カルテが使えなくなった場合には、以前使っていた紙カルテが利用できるように、用紙を備えているところがあります。直近のデータが確認できないと何もできないという場合には、システムは使えなくとも、バックアップデータだけは参照ができるようにしておくことも一つの対策です。

いざという時、デジタルからアナログに戻れる対策も立てておきませんか。
 

 

2019年06月26日 07:08

お金の流れを明確にすることは最低のルール

石塀小路(20190625)
少し前のことにはなりますが、独立開業後にお誘いを受けて所属していたある団体から脱退させていただきました。

理由はいくつもあったのですが、最大の理由はお金の流れが明確でなかったこと。毎年一定の年会費を集め、イベントがあるたびに相応の参加料を徴収していたにもかかわらず、一度も会計報告がされなかったことです。例えどんな組織であっても、多くの人からそれなりの費用を募り、それを元に活動をしたことで資金を支出したとすれば、その出入りはキチンと報告しなければなりません。ある意味で当然のこととでありながら、それがなされないというのでは、その活動自体に疑念を持ってしまいます。

みなさんも身近な例でいえば、複数人が集まっての飲み会をしたとき、会計で割り勘をしたとしても、元の金額と一人当たりの金額は明確です。カンパを募って何かのお祝いをしたときも、その費用の使い道は明らかにされますよね。どんなことであっても、お金に関してはキチンと処理されることが前提で、それを信用して相手に渡すものです。

当初、その活動目的や設立の主旨に共感するものがあっただけに、少し残念な結果に終わってしまいました。でも裏を返せばこれもまた勉強になったことも確か、今後はちょっと立ち止まり、考えてから参加することですね。
 

 

2019年06月25日 11:52

給与計算業務から感じる平成で起きた変化

あおもみじ(20190624)
請負業務の一つに給与計算業務があります。ちょうど今の時期は、20日〆末日払の企業分を終え、20日〆翌月10日払の計算、あるいは末日〆翌月10日払の準備に取り掛かります。

そんなに多くの企業さまの給与計算を請け負っている訳ではありませんが、ある時、給与計算をしていて気がついたことがあります。それは全ての企業様にいえる共通点、年功序列による給与体系を採用している企業が一つもないということ。今世の中の主流は年功序列型の賃金体系ではなく、職務遂行能力をより重視した賃金体系にかわりつつあります。ではなぜ年功序列型の賃金体系が維持できなくなったのでようか。

年功序列型賃金の前提となるのは、終身雇用制度があります。入社して定年退職するまでの期間を一つの区切りとしてとらえ、その期間で賃金を保障するという考え方。必ずしもその時々の仕事量と賃金が比例するわけではありませんが、若い頃に頑張った分の給料は、定年までには支給されるという暗黙の了解がありました。ところが、平成の時代の間に、その前提が大きく崩れました。もっとも大きな理由の一つが超がつくほどの少子高齢化。若い人が減り、平均寿命が延び、高齢者が増え続ける今の時代。右肩上がりに給与が上がれば企業の人件費が膨らみ続けることになります。

また、自分のスキルにあった仕事や企業への転職も今や当たり前の時代、周りの人が会社を退職することも驚くことではありません。働く側が終身雇用を意識しない時代に、それを前提とする賃金体系ではいい人材を確保することはできません。自ずからスキルを評価する賃金にその仕組みが変わるのは必然的なことです。

我々は、一つの会社にとらわれるのではなく、スキルを身に着け伸ばして、年功序列ではなくスキルで評価を得られるようになることです。会社で仕事をして給与を得るのではなく、スキルで仕事をして給与を得ることができるように自分を磨いておくことが重要です。
 

 

2019年06月24日 20:38
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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