時効と労働基準法の関係、意外にあるある
今回の民法の改正は多岐に及びますが、労働者として私たちの生活に影響が及ぶかもしれないことに、労働基準法で定める時効が考えられます。時効とはその状況が一定期間継続した場合、その状況を事実として認めてしまおうというもの。その結果として権利が発生するものを「取得時効」、反対に権利が消滅してしまうものが「消滅時効」です。よく日常会話の中で、「そんな昔のこと、もうええやん。時効や時効・・・」というのは、消滅時効ともいえるでしょう。
さて、労働基準法で定める事項には、大きく分けて4つあります。
①賃金の請求権・・・2年
②退職金の請求権・・・5年
③災害補償(労働基準法による休業補償や障害補償など)・・・2年
④その他の請求兼・・・2年
上記のとおり、未払いの給与があっても2年を経過すれば時効によってその支払を請求することはできません。同じように退職金は5年、病気やケガなどで働けなかった期間に対する休業補償や療養補償、解雇予告手当などは2年を経過するとその請求権を失います。このように今は2年もしくは5年の時効までの期間、民法改正によって、民法の特別法の位置づけにある労働基準法の時効がもしかしたらすべて5年に統一される可能性があります。
もし5年となると、過去の未払い賃金の請求期間が大幅に延びることになりますが、これは企業によって大きなリスクになります。未払い賃金が生じていないか、あるいは生じないようにしていくことが求められます。それともう一つ、有給休暇の繰越が5年まで認められるとなると、今は最高で20日×2年で40日が限度ですが、これが×5年で100日まで繰越ができることになります。今年4月からの義務化と併せ、より計画的に取得していくことが必要になるでしょうね。