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ブログ(日々雑感)

「長時間労働」と「医師面接指導」について

ふらわー005(20190524)
労働安全衛生法では、長時間労働による労働者の脳や心疾患の発症を予防することを目的として、労働者に医師による面接指導を受けさせることを事業主に義務付けています。

医師による面接指導の条件となるのは以前は次の通りでした。
【面接指導が義務化される条件】
①1ヶ月の時間外労働・休日労働が100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者であること
②その労働者から申し出があったこと
【】面接指導またはそれに代わる措置が努力義務とされる条件
①1ヶ月の時間外労働・休日労働が80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者であること
②その労働者から申し出があったこと

医師による面接指導は、企業の規模を問いませんので、条件に該当すれば受けさせる義務もしくは努力義務が生じます。そしてこの条件が働き方改革によって時間が100時間から80時間に引き下げられました。また、事業主は時間外および休日労働時間を適正に把握し、 超過勤務時間が1月あたり80時間を超えた労働者本人に対しては、速やかに当該超えた時間に関する情報を通知しなければならなくなりました。この通知の方法としては、該当する労働者に対してメールなどを利用して個別に通知したり、また給与明細に時間外・休日労働時間数が記載されている場合にはこれをもって労働時間に関する情報の通知としてもよいこととなっています。

なお、この面接指導は高度プロフェッショナル制度の対象者をのぞき、おおよそすべての労働者に適用されます。管理監督者や裁量労働制で働く人、派遣社員からパートタイマーまで、労働時間を把握することが事業者には求められることになります。対象者の範囲にはくれごれもご注意を。

 

 

2019年05月24日 16:08

保険診療の公平性をもっと考えるべき

真如堂にて(20190523)
21日、麻生財務大臣がこんな発言をしました。
「よく言われる費用対効果。高額の医療をやって存命された、存命期間が何年です、だいたい数か月のために数千万の金が必要なんですか、とよく言われる話ですが」

新しい白血病の治療薬が保険適用されることになったことを受けて、マスコミから意見を求められたときの発言です。ニュースやネットなどでも報じられていたため、御存知の人も多いのではないでしょうか。この発言の背景にあるのは、その価格が3000万円もすること。高額療養費の対象となるため、もしこの治療薬を使った場合の自己負担は約60万円、残りは健康保険、つまり公費負担となることです。

高額の治療薬は抗がん剤などでもあり、最近よく知られるようになった「オプジーボ」、こちらの価格は1090万円もします。ただ、実際に患者が負担するのはこちらも最高で約60万円となります。こういった高額の治療薬は保険財政を圧迫するという意見は以前からあります。国の財政を預かる立場の麻生大臣の発言も、そういった状況を憂慮してのことなのでしょうか。

とは言え、白血病もガンもいつ自分がなっても不思議ではありません。そもそもすべての人が均等に医療を受けることができるようにという目的のためにあるのが公的保険制度のはず。少なくとも人の命を費用対効果で判断することがいいものか、とも思いますがどうでしょう。仮に保険適用外となれば、お金持ちしか使えない薬となってしまいます。自国の国民が治療を受けられず、かの国から富裕層が治療のためにどっと押し寄せるというこになりかねません。

そもそも保険適用するしないという問題よりも、もっと考えるべき医療保険制度の矛盾は存在しています。医療機関で公平に保険診療が受けることができるように、自己負担の在り方も含めて検討してもらいたいものです。

 

 

2019年05月23日 14:12

働き方改革の波は朝ドラにも

懐かしい花(20190522)
今日の朝日新聞朝刊の1面にこんな見出しの記事が掲載されていました。
「朝ドラ月~金に NHK、来春から働き方改革で」

見出しの内容のとおり、働き方改革の実現にはドラマの収録時間の短縮が必要とのことから、放送回数を現在の「毎週月~土」から「毎週月~金」とし、土曜日はその週のダイジェスト版を放送するとのこと。来年春の放送分から変わるようですが、こんなところに影響があるんですね。

先月から本格的に始まっている働き方改革、私も顧問先で「有給義務化」と「労働時間の制限」についていろいろと話をする機会が増えました。特に有給義務化はすべての職場に適用されるため、相談も多く受けます。大手企業ならいざ知らず、この人手不足の現状では、特に小規模経営の現場では厳しいという声を聞きます。「そんなに職人さんが休んでもうたら、うち商売できひんわ」という経営者さん、つい最近もお会いしました。それでもいろいろとお話しして、「じゃあ、まずは1日試してみるわ。自分が1日現場に戻ったらなんとかなるかぁ」と。

そもそも有給休暇とか、労働時間の考え方が浸透していない現場は少なくないのかもしれません。そんな経営者さんと向き合うのが私たちの仕事でもあります。そんな時、幸いにもサラリーマン経験の中で得た様々な状況の実体験が役に立っています。顧問先をよく知って「売り上げや効率を下げることなく、働き方改革を実現する」そんなご提案を心がけていきたいと思います。

 

 

2019年05月22日 08:16

「安全配慮義務」とは

花びら(20190521)
安全配慮義務という言葉をご存知ですか。

これは事業者には労働者が安全かつ健康に働くことができるように配慮する義務があることで、労働契約法第5条には次のように定められています。
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」

「安全」という言葉から、もしかすると多くの人は、関係するのは工場や建設現場といったケガや病気のリスクの高い職場を連想して、事務職や接客業のような職場ではあまり関係ないと思われるかもしれませんが、これはすべての職場において求められるものです。事業者は労働者に対して働く場所を指定し、業務内容を指示し、勤怠を管理して事業を行っている以上、労働者に対して健康や安全に対して十分に配慮しなければならないのです。もちろんこの配慮義務には「心のケア」が含まれることはいうまでもありません。

では事業者にはどういった点について配慮しなければならないか、業種や職場によって異なりますが共通して言えることは次のようなことです。
①健康診断の実施
 従業員に対して定期的な健康診断を実施し、必要に応じて作業内容の転換や労働時間の短縮などの対策を行うこと
②勤務時間の管理
 長時間勤務の抑制、深夜業務就業者の健康配慮など、過重労働にならないよう労働時間の管理を行うこと
③安全衛生教育の実施
 機械や有害物質を使用する場合、その有害性や取扱方法等に関する教育を行うこと
④設備等に対する危険防止対策
 転倒・転落防止や、セーフガードの設置など安全装置や事故防止対策を行うこと
⑤快適で衛生面に配慮した職場の維持
 オフィスや食堂、トイレ、休憩室などについて衛生面で必要な配慮を行うこと

こういった配慮義務を欠いたことによって労働者が病気になったりケガを負った場合、場合によっては企業に損害賠償義務が生じるといった判例もあります。するべきことを怠っていた、起きることがある程度予測できたのに、何ら対策がされなかったということがあると、安全配慮義務を怠ったと判断される可能性があります。

みなさんの職場でも安全配慮がされていないようなことありませんか。早めの対策を会社に相談しましょう。

 

 

 
2019年05月21日 20:23

有給休暇はいつまで使えるのか

寂光院境内にて(20190520)
4月1日から取得の義務化が始まった年次有給休暇。その取得には一定の期限があります。

年次有給休暇とは、雇入れの日から6ヶ月間継続勤務し、そのうちの8割以上出勤した場合に付与されるものです。最初に付与されるのは10日間、その後継続勤務の年数が1年延びるごとに加算され、6年6ヶ月以降は毎年20日間の年次有給休暇が付与されることになります。また週の所定労働時間が30時間未満のパートタイム労働者については勤務日数に比例して付与されることになっています。

仮に勤続7年目の場合には毎年20日間の有給休暇が付与されるのですが、すべてを取得するというのは現実的に難しいという人が多いかと思います。ではその未消化となった有給休暇はいつまで繰り越して使えるのか。有給休暇について定めている労働基準法第39条には何も書かれていません。ではどこにその期間について書かれているかといいますと、115条の規程にこう書かれています。
「この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。」
有給休暇についてはこの前半の「その他の請求権」に含まれるため、その請求権は2年、つまり付与された年の翌年まで繰り越せるということになります。

そのため有給休暇を管理する台帳では、当年に付与された分と繰り越された分を分けて記載し、取得する場合には繰り越された分から先に利用することで、少しでも時効によって消滅する日を少なくするようにします。これについては特に法律に定めれている訳ではありませんが、繰り越し分から取得することを前提とした行政からの通達が過去にあります。

もし、就業規則で「年次有給休暇の繰越は認めない」と書かれていても、先の労働基準法第115条があるため請求権が消滅することはありません。皆さんの会社ではどのように管理されているか、確認してみてはいかがでしょうか。

 

 

2019年05月20日 07:55

おけいはんがループバスを運行しています

ポーチにて(20190519)
4月1日から、おけいはんこと京阪電車がループバスを運行していることをご存知ですか。

バスを運行している区間は、七条駅~京都駅の間で7時から21時15分まで15分間隔で運行されています。京阪電車の各駅と京都駅を結ぶ市バスは運行されてはいますが、当然のことながら直通運転ではないため、相応の時間が必要です。一方でこのループバスは七条駅~京都駅間はノンストップで運行されるため所要時間は5分ほど、この区間は時々歩くのですが、15分~20分ほどかかるだけに乗ってみる価値はありそうです。

ちなみにお値段は市バスと同じ230円ですが、京阪七条駅での京阪電車からの乗り継ぎと、「ザ・サウザンド キョウト」「京都センチュリーホテル」の宿泊客が利用する場合には、乗継割引券を利用すれば100円で乗車することができます。自宅から京都駅に行く場合、東福寺駅でJRの乗り換えて行くと410円でしたが、このループバスを利用すれば370円と40円おトク、ただし京都駅構内での乗り継ぎを考えると微妙なところです。

京阪沿線の観光から京都機へ、あるいは京都駅から京阪電車へといった乗り継ぎには便利であることは確かです。機会のある方は利用されてはどうでしょうか。

「京阪七条-京都 ステーションループバス」~京阪電鉄のサイトはこちら

 

 

2019年05月19日 07:32

選択肢の拡大、それともいずれは・・・

真如堂(20190518)
いよいよ70歳超への議論が始まります。

今日の朝日新聞朝刊の記事によれば、政府は年金の受給開始を選択できる年齢を70歳超にまで広げるための法改正案を、来年の通常国会に提出する方針を固めたとのことです。現在の年金の受給開始年齢は原則として65歳ですが、それぞれ前後に5年間繰上げもしくは繰下げを選択できるようになっています。60歳から70歳の範囲で選ぶことができる仕組み、これを60歳から70歳超に拡大するための改正となりますが、70歳超を何歳とするかは今後検討されるとのこと。

現行制度では65歳よりも早く受給する場合には1ヶ月早めるごとに0.5%減額され、逆に65歳より遅く受給する場合には1ヶ月遅くするごとに0.7%増額された年金が終身続きます。仮に60歳から受給する場合には満額の70%、70歳から受給する場合には満額の142%となるわけですが、現実には多くの人が早くもらう方を選択しています。70歳超まで拡大することにどれくらいの効果があるのかは未知数といったところでしょうか。

少子高齢化が今後も進む状況では何らかの対策は必要なんでしょう。ただ、現役世代にとっては毎月の年金保険料の支払いは、受給者が受けている年金の負担と同時に、将来年金を受けるための権利を得るためとも言えるのが現在の年金制度。今後、その時の制度で得られるはずの権利が、改正後では得られなくなるということが続けば、ますます将来が見通せなくなります。

もっとも今回の改正、受給開始年齢を60歳~70歳超とすることで、いったんは現在の60歳から64歳までの選択肢は残ります。ただ、そう遠くない将来に原則70歳から支給とし、選択できる年齢を65歳~75歳とするための布石なのでしょうね。人それぞれなんでしょうが、60歳代をどう生きるか考えないといけないのかもしれませんね。

 

 

2019年05月18日 05:47

2023年までに準備が必要です

寂光院(20190517)
今年の4月から本格的にスタートしている安倍首相肝いりの「働き方改革」、2023年4月には中小企業にも大きな影響が想定される事項があります。

それは残業時間に対する賃金の割増率が変わること。現在は原則として1日8時間・1週間40時間を超えた場合、その超えた時間については25%の割増賃金を支払わなければなりません。この割増率は中小企業では何時間残業をしても一律となっています。ところが大企業はこの割増率がすでに2段階となっており、月に60時間を超えた時間数については60%以上の割増率で割増賃金を計算することになっています。現在中小企業では猶予措置期間となっていますが、これが2023年4月から中小企業にも適用されることになります。

考え方は毎月の賃金計算の起算日から残業時間を加算していって、60時間までは25%、60時間を超えた部分からは60%の割増率で残業手当を計算するという仕組みです。働き方改革では残業規制についても大企業では今年4月から、中小企業でも来年4月から、残業規制が導入され、原則として月45時間・年間360時間までしか残業できません。よって労使協定による変形労働時間制、もしくは特別な事情による場合などしかあり得ないということになります。

もっとも、この60時間を超える時間に相当する割増賃金については、割増賃金の支払いに変えて、一定の換算率で計算された時間数分の代替休暇を付与することができます。例えば、60時間を超える労働時間が40時間あった場合、40時間の25%に相当する10時間に相当する休暇を付与することができます。仮に1日の所定労働時間が8時間の事業所であれば、労働者は次のような選択が可能です。
➀40時間分をすべて金銭で受け取る
②代替休暇を1日取得し、残り2時間分(残業時間8時間分)を金銭で受け取る
③代替休暇を半日単位で2回取得し、残り2時間分(残業時間8時間分)を金銭で受け取る
④代替休暇を半日単位で1回取得し、残り4時間分(残業時間16時間分)を金銭で受け取る

もっとも、割増賃金の支払いを代替休暇の取得とするためにはまずは労使協定の締結が必要になるため注意が必要です。

労働者の健康管理の面からも、代替休暇は有効です。事業主には勤務時間の適正な把握がより一層求められることになりますが、今からどういった制度を規定するか検討されてみてはどうでしょうか。

 

 

2019年05月17日 13:37

SUINA室町に行ってきました

大原の初夏(20190516)
本日は午後から京都府からの委託事業に関する会議に参加してきました。

この事業は京都府から京都府社労士会に平成27年度から委託されている就労改善に関するアドバイザー事業です。今年度府内で37人のアドバイザーの一人としてご指名をいただき、1年間務めさせていただくことになりました。事業の詳細をお伝えすることはできないのですが、働き方改革でお悩みの事業主さんのお役に立てればと思います。

話は変わりますが。この会議の場所は最近(といっても3月中旬ですが)オープンした京都経済センターの会議室で行われました。以前は京都産業会館があった四条室町東に、「京都経済100年の計」として建替えられた施設です。京都の経済団体が一拠点に集結し、京都商工会議所をはじめとする各種業界の組合や団体が入り、会議室やホールなども備えています。この四条室町界隈は祇園祭の際には周辺にいくつもの山鉾が建てられる場所でもあり、ガラス張りにルーバーで覆われた景観に配慮した色合いのモダンな建物です。今日初めて中に足を踏み入れたのですが、内装も落ち着いた感じで、以前の産業会館からすると大変身といった感じです。

ちょっと面白いのはこのビルの2Fには「ポケモンセンターキョウト」が入っていること。我が家の子供達も小さい頃にハマっていたポケモンですが、まだその人気は変わらないんですね。京都経済の本丸にテナントが入っているのはなんとも不思議な感じがしました。

この京都経済センター、商業施設名は「SUINA室町」といいます。ホームページにその名前の由来がかかれていました。SUINAは京ことばの「粋な」からきているとのこと、なるほどそんな場所になるといいのですが。

 

 

2019年05月16日 19:18

ふるさと納税の対象が指定制度になりました

絵馬(20190515)
高額返礼品や地場産品とはおおよそ関連のない品物を返戻品をするなど、いろいろ問題が指摘されていたふるさと納税制度が大きくかわることになりました。

昨日の総務省のホームページに「ふるさと納税に係る総務大臣の指定」が掲載されました。これは地方税法の改正を受けて、総務大臣が次の基準を満たす団体についてふるさと納税の対象として指定する制度に改正されたことによるものです。その基準とは
①寄附金の募集を適正に実施する地方団体であること
②(①の地方団体で)返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす地方団体であること
・ 返礼品の返礼割合を3割以下とすること
・ 返礼品を地場産品とすること


総務省は以前に「返礼割合3割超の返礼品及び地場産品以外の返礼品をいずれも送付している市区町村で、平成30年8月までに見直す意向がなく、平成29年度受入額が10億円以上の市区町村」として全国の12市町を公表していました。そのうちの3市町(静岡県小山町、大阪府泉佐野市、佐賀県みやき町)と和歌山県高野町が上記要件を満たさないとして今回指定されませんでした。また東京都は申請自体をしなかったとして指定されていません。今回の指定は今年の6月から来年の9月までの1年4ヶ月間について認められたものですが、43市町村は今年の9月までの4ヶ月限定の指定となりました。先の4市町ほどではないものの、条件を満たしていないことから、例えて言うなら執行猶予つきで認められたような形です。

ご存知の通り、ふるさと納税をすると寄付金控除として税金が軽減されたり、地場産品の返礼品を受け取ることができるのがメリットですが、今年の6月以降は納税先が指定を受けているがどうか注意が必要です。本来あるべき制度から逸脱し過ぎた市町を除外したような形にはなりましたが、個人的にはやむを得ないと思います。もっとも、これらの市町であっても、災害などの万が一の時の受け入れは可能とする仕組みはあってもいいのではとも思いますが、いかがでしょうか。

 

 

2019年05月15日 07:25
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ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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