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ブログ(日々雑感)

新規学卒就職者の離職率、「3年30%」

サロマ湖(20170922)
厚生労働省のホームページで、平成26年4月の新規就職者の離職率が公表されました。学卒者で3年以内の離職率が32.2%、この数字どう思いますか。

「学卒者の離職率、3年で30%」というのは、私が前職で採用担当者をしていた頃にもよく言われた数字です。実際に平成7年以降、多少の上下はありますが、学卒者の3年以内の離職率は30~37%で推移しています。

そして、この数字は企業の規模によっても大きく違います。従業員1,000人以上の企業では25%であるのに対し、30~100人は40%、5~29人で50%、5人未満の場合には60%にもなります。

大手企業の場合には、ある程度の離職者を織り込んで採用をしているところが多く、それほど大きな影響はないのかもしれません。しかし、中小企業ではそこまでの余裕はなく、せっかく採用した若手社員が早期に退職していくことは、企業の将来に大きなリスクとなります。また、退職する側にとっても、マイナスとなります。

この原因、一番大きいのは「ミスマッチ」ではないでしょうか。大手企業は、企業のブランドが社会に浸透していて、それを理解して応募してきた多くの学生から採用者を厳選できます。しかし中小企業では、大手に比べれば数少ない応募者の中から、「とにかく採用したい」という企業側の思いと、「とにかく就職したい」という学生の思いが優先されます。そのため特に学生は、「その企業が何をするのか、就職して何ができるのか、自分に合っているのか」というポイントをおざなりにしがちです。その結果、実際に就職してから「こんなはずではなかった」ということになるのでしょう。

中小企業では、まず学生にしっかり企業ブランドを伝える必要があります。また、学生が自社の仕事に向いているのかどうかを見極めて、採用する責任もあります。大手企業であれば様々な部署・業務があり、適性に応じた配置転換も可能ですが、中小企業ではなかなかそうはいきません。職種が限定されればされるほど、仕事の内容を正確に伝え、特に慎重に採用する必要があります。私は、特に学部生には何度も面接をして、会社の事業内容を具体的に伝え、またその学生がやりたいことをとことん聞くようにしていました。企業側の「まずは採用、そのあとで教育」だけではミスマッチを生む可能性は大きくなります。

もちろん、「3年30%」の理由はミスマッチだけではありません。ただ、そのきっかけの多くが採用活動・就職活動の中にあることは確かではないでしょうか。

「新規学卒就職者の離職状況(平成26年3月卒業者の状況)を公表します」に関する厚生労働省の資料はこちら

※写真はサロマ湖(北海道・佐呂間町)

2017年09月22日 05:27

公的年金等受給者の扶養親族等申告書と個人番号申出書が送付されています

幣舞橋(20170921)
日本年金機構から平成30年分の「扶養親族等申告書」と、平成29年分の扶養親族等申告書にかかる扶養親族等の個人番号(マイナンバー)についての、「個人番号申出書(平成29年分扶養親族等について)」が送付されています。

送付対象となるのは、老齢年金の受給者のうち所得税の課税対象となる人で、具体的な条件としては以下のとおりです。
1.65歳未満の人・・・年金受給額が108万円以上の人
2.65歳以上の人・・・年金受給額が158万円以上の人

この金額は、公的年金控除(65歳未満の人は70万円、65歳以上の人は120万円)に基礎控除(38万円)を加算した金額で、ここまでは所得税がかからない上限額を指しています。

扶養控除申告書は、毎年今の時期になると日本年金機構から送付されてくるもので、今年はハガキタイプからA4用紙へのサイズ変更がされていることと、返信用封筒に切手を貼って返送するという変更点があります。そして加えて、今年は「個人番号申出書(平成29年分扶養親族等について)」を提出しなければなりません

こちらは、あらかじめ日本年金機構が把握している扶養親族の氏名等が印刷されている用紙に、それぞれのマイナンバーを記載し、このマイナンバーが正しいことを証明する書類を添付して送付しなければなりません。添付する書類とは、マイナンバーカードや通知カード、マイナンバーが記載されている住民票などのコピーです。今回提出すれば、扶養親族に異動がない限り、来年以降は同様の手続きは必要ありません。とはいえ、少々手間が必要であり、その時間を考慮して、今年は少し早めに送付されてきているようです。

さて、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の施行で、日本年金機構から税務署に提出する源泉徴収票について、平成29年分からマイナンバーの記載が必要になりました。「あれ、昨年分は?」という疑問、ありませんか?

日本年金機構では平成27年に125万人分にものぼる個人情報流出を起こしました。外部からのウィルスが添付されたメールを職員が不用意に開いたことに端を発したものですが、当時は大きな問題となりました。ちょうどこの時期は、マイナンバーの施行に向けた準備期間でもあったのですが、この問題を受けて、日本年金機構はマイナンバーの利用開始時期が、法律の改正による経過措置によって先送りされました。(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 附則第三条の二)
この経過措置の期限が今年11月30日、つまり12月からようやく他の行政機関同様にマイナンバーを利用できることになるのです。

よって日本年金機構では、昨年もマイナンバーの記載は求めていたものの、事務としては利用できなかったということで、今年から正式に運用開始となるわけです。

この扶養親族申告書と個人番号申出書、問い合わせが相当多いようで、日本年金機構のホームページにもその旨が掲載されています。また、Q&Aや記載方法などについても併せて掲載されていますので、こちらを参考にされてはどうでしょうか。

「扶養親族等申告書」に関する相談の混雑状況について

「平成30年分公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」および「個人番号申出書(平成29年分扶養親族等について)」の提出について

※写真は幣舞橋(釧路市)
2017年09月21日 05:21

労働時間の適正な把握を求められています

ふらのチーズ工房(20170920)
今年の1月20日、厚生労働省が「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定しています。

このガイドラインの主旨は、「使用者には労働時間を適正に把握しておく義務がある」ということです。そのために、以下についての考え方や講ずべき措置を列記しています。
➀労働時間の考え方
②労働時間を適正に把握するために使用者が講ずべき措置
このうち、①労働時間の考え方について特に留意が必要かと思われます。例えば、次のような場合には、「労働時間」に当たるとされています。

【1】使用者の明示的・黙示的により労働者が業務を行う時間
明示的というのは、例えば上司が、「今日は、21時まで残業をしてほしい」「今週の土曜日は休日出勤をしてほしい」「この仕事が終わるまでは残業をしてほしい」という場合が該当します。黙示的とは、慣習として上司が帰るまで帰れないとか、定時後の一定時間は暗黙の了解で残らなければならないといった時間も、業務時間として取り扱わなければならないということになります。

【2】使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為や、後始末行為を事業所内で行った場合
例えば、就業前の着用を義務付けられた服装への着替え、当番制で決められた清掃、始業時に行う朝礼の準備、業務終了後の後始末に要する時間なども業務時間として取り扱うものとされています。ただし、この時間管理は現実として難しい面もあります。労働者が故意に必要以上の時間を要することもあり得ますので、妥当な範囲で一律10分といった時間を定めることも一つの対応策になります。

【3】使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められおり、労働から離れることができない時間
いわゆる「手待時間」と言われているもので、例えば昼休みに昼食が取ることができても、電話番などで離席できない場合にはこの「手待時間」に該当します。休憩時間とは、完全に労働から解放されなければ、休憩時間には該当しません。

【4】参加することが義務付けられている研修や教育訓練の受講時間や、使用者の指示により業務に必要な学習を行っていた時間
労働者が自発的に任意で行う内部研修会や勉強会は労働時間に含まれませんが、使用者の指示によって行う研修は業務時間内外と問わず労働時間に含まれます。また、参加の可否が人事考課に反映される研修も、受講を黙示しているものとみなされる可能性があります。

本来であれば時間外勤務に該当する時間が、暗黙の了解で対象外としていることがあるのも現実です。今一度、上記のケースに該当する場合がないか、確認されることをおすすめします。

「労働時間の適正な把握のための使用者向けの新たなガイドライン」についての厚生労働省の資料はこちら

※写真はふらのチーズ工房にて(富良野市)

2017年09月20日 05:17

北の大地でリフレッシュしてきました

彩の丘(20170919)
14日から昨日まで、夏休みを使って妻と二人、北海道へ出かけてきました。

北海道へ行くのは12年ぶり、特に今回訪れた富良野~網走~釧路へは22年ぶりということで時間の流れを感じました。

やはり、何よりも外国人旅行客の多さです。どの観光地でも、どのホテルでも団体・個人の外国人を見かけました。以前、富良野では畑や農道に車で入ったり、木を傷つけたりする外国人観光客が問題になっている報道を見たことがありました。それが原因か、至る所に立入禁止の看板やロープが設置してあり、以前の牧歌的な光景が失われていることが少し残念でした。

それともう一つ、コンビニが増えました。以前は北海道のコンビニ言えばセイコーマート(Seicomart)がほとんどでしたが、今は3大コンビニエンスストア、特にローソン、セブンイレブンを多く見かけました。コンビニに限らず、全国チェーンの店も増え、違った意味での「都市化」が進んでいるように感じました。

とはいえ、やはり北の大地の自然の大きさは変わっていませんでした。
最終日(18日)には台風の直撃を受けて、飛行機が飛ぶかどうかハラハラする一幕もありましたが、心身ともに自然に癒されました。

早速、今日はお客様との打ち合わせで大阪へ。
また次の目標に向けて頑張ります。

※写真は四季彩の丘(北海道・美瑛町)

2017年09月19日 06:14

お知らせ

夕焼け(20170913)
いつもブログを覗いて頂いている皆さま、本当にありがとうございます。

明日9月14日(木)から18日(月)まで、少し遅めの夏休みをいただくため休業いたします。

メールでの問い合わせは、休業中も受け付けておりますが、お返事は19日(火)以降となります。どうぞご了承ください。
また、ブログも19日から再開の予定です。

北の大地にて大自然にふれてリフレッシュ、次への鋭気を養ってきます。

では、また19日に。


2017年09月13日 04:44

お金とのつきあい方

直指庵境内にて(20170912)
突然ですが、皆さんはお金といいおつき合いをしていますか?

お金といいおつき合いをしている人は、お金のことをよく知っていて、またお金が自然と集まります。逆にいいお付合いができていない人は、あまりお金のことを知らず、またお金が知らない間に手元から離れていきます。

お金とのいいお付合いとは?
まず、今自分の財布の中にいくらお金が入っているかを知っているか、ということです。知っている人は、しっかり手元のお金の管理ができている人です。逆に「いつの間にか財布の中のお金がない、何に使ったかも思い出せない」ということがよくある人は、お金の管理が上手くできていない、ということになります。

次に、今自分の資産がどこにいくらかるのか、借金がどこにいくらあるのかをちゃんと把握できているかということです。金額の大小や、貯金より借金が多いとかはここでは問題ではありません。問題なのは、その大小や有無の程度を知らないことです。どこに何がどれだけあるか、財布の中身以外のお金についての管理も大切です。

そしてもう一つ、日頃お金を大切に扱っているかということです。経験上、お金を大切に扱っている人は、お金の管理ができ、資産管理が上手い人が多いと思います。お金を大切に扱うとは、例えば財布の中でキチンと整理ができている、小銭を会社や自宅の机の引き出し等に雑に放置していない、などです。雑に財布をポンと投げたりする人がいますが、これではお金の神様が逃げてしまいます。もちろん、すべてがそうとはいいませんが、やはりお金に対する意識が雑であると、管理もできず、知らないうちに無くなっている、貯まらないということになります。

私のおすすめ、まずお金を大切に扱いましょう。財布に入れるお札の向きを合わせること、ちょっとしたことですがこれだけでも意識が変わります。コンビニのお釣りでも向きをあわせて渡してくれます。お金を大事に扱えば、意識が変わり、管理が上手くなります。

お金とのつきあいは、人とのつきあいに似ています。大切にすれば長く、いいおつきあいができ、縁が広がり集まってきます。ちょっとした意識改革から始めてみませんか。

※写真は直指庵境内にて(京都市右京区)

2017年09月12日 05:10

こんなところにもナンバリングが

金戒光明寺山門(20170911)
地下鉄や、私鉄ではすっかりおなじみとなっている駅ナンバリング、JR西日本でも平成30年3月から主要12路線300駅に導入する予定となっています。このナンバリング、もう一つ静かに進んでいるところがあります。

それは高速道路。首都高や阪神高速は既に導入されていたため対象外となっていますが、それ以外の全国の高速道路や、自動車道に対してアルファベットと数字で付番がされています。体系は馴染みのある鉄道のナンバリングと同じですが、大きな違いが二つ、
➀アルファベットは「E」で固定
②数字は高速道路ごとに付番される(鉄道は駅ごとに付番されているが、高速道路はサービスエリアやインターチェンジへの付番ではない)
という点です。

「E」は、高速道路を表すExpresswayの頭文字からとったものです。数字は、その高速道路に並行する国道がある場合にはその国道の番号から、ない場合には国道に使われていない番号を連番で付番しています。例えば、東名高速「E1」(国道1号線が並行)、京都縦貫自動車道「E9」(国道9号線が並行)、横浜横須賀道路「E16」(国道16号線が並行)といった具合です。

ただ、このルールだとちょっと不便なパターンを見つけました。それは同じ国道に複数の高速道路が並行する場合、同じナンバー付番されます。例えば、名神高速道路は国道1号線が並行するため、東名高速道路と同じ「E1」となります。また、この逆のパターンもあります。1つの高速道路に複数の国道が並行する場合、高速道路の区間ごとにナンバーが変わります。例えば、中央自動車道では、高井戸~岡谷までは「E20」(国道20号線)、岡谷~小牧までは「E19」(国道19号線)、双葉JCT~長坂JCTの間は「E52」(国道52号線)となるのですが分かり難くないですか?

「路線名だけでは分かり難い」という利用者からの声をきっかけに、導入が検討され、今年2月の法律改正からインターチェンジ周辺やジャンクションの道路標識、地図やカーナビへと順次導入が進んでいます。ただ、鉄道のように1つの番号がユニークではない点が、今後導入が本格的に進んだ時に、
・なんで同じ高速道路なのに番号違うの?
・なんで同じ番号なのに高速道路が違うの?
ということにならなければよいのですが。

高速道路ナンバリングの一覧はこちら

※写真は金戒光明寺山門(京都市左京区)

2017年09月11日 06:44

祗園で季節を知ることができるもの

薄(20170910)
今日は久しぶりに地元ネタです。

先週、お客様への定期訪問の帰り、少し歩いて帰ろうと祇園・縄手通りを歩いていたときのことです。
前方から着物を着た女性が3人、着物の褄を合わせて左手で持ちこちらへ歩いてきます。でもこんな昼間から舞妓さんがこの恰好で町を歩くことはまずあり得ません。「観光舞妓」とか「体験舞妓」という、舞妓姿になった観光客であることは察しがつきました。

以前は、「観光舞妓」や「体験舞妓」を本物と間違え、あまりよろしくない振る舞いが、祗園や舞妓のイメージを悪くするなどと問題になりましたが、今はあまり聞きません。その理由、おそらくそのほとんどが外国人(多くが中国人や東南アジア系の観光客)で、見た目ですぐわかることも一因ではないかと思います。

それと、そういった体験舞妓さん、本物と違うところがあります。よく言われるかつらや口紅の形の他に、本物の舞妓さんが必ず付けている「花簪(はなかんざし)」です。本物の舞妓さんが付ける花簪は、以下のように月ごとに決まっています。
 1月 松竹梅(7日は稲穂を添える)
 2月 梅
 3月 菜の花
 4月 桜
 5月 藤
 6月 柳
 7月 祗園団扇
 8月 薄
 9月 桔梗
10月 菊
11月 紅葉
12月 南座の顔見世歌舞伎興行のまねき

体験舞妓の人は、自分の好きなものをランダムについていることが多く、ひまわりとか招き猫とか、おおよそ舞妓さんの花簪とはかけ離れています。

舞妓さんの花簪は、単に飾りというだけではなく、祗園では季節を知るシンボルとして付けるのが古くからのしきたりです。私は、残念ながら夜に花街に行けるほどの甲斐性はありませんが、祗園界隈の人々はこの花簪で季節を感じていると、学生の頃に下宿先の大家さんから教えてもらったことを思い出します。

皆さんの周りにも、季節の移り変わりを知ることができるもの、探してみてはどうでしょうか。

2017年09月10日 10:37

過重労働解消のためのセミナーを受けてきました

飛行機雲(20170909)
一昨日、厚生労働省委託事業として東京リーガルマインドが実施している「過重労働解消のためのセミナー」を受講してきました。

大手広告代理店の事件をきっかけに、過重労働に対する行政機関の監督も厳しくなっています。今年4月からは全都道府県の労働基準局(47局)に違法な長時間残業の捜査・調査を専従して行う、通称「かとく」(過重労働撲滅特別対策班)を設置し、強制捜査権をもってにらみをきかせています。

では、その「過重労働」の定義ですが、これは労災法でいうところの「過労死ライン」と同じです。月に100時間超の残業、もしくは過去2~6ヶ月の平均残業時間が80時間超となった場合が該当します。

この過重労働、繁忙期や業務事情でやむを得ずせざるを得ないということもあるでしょう。でも、これが慢性的になり長期にわたって続くとどういうことになるか、おおよそ想像に難くありません。(セミナーでも取り上げられました)
➀仕事の質(生産性、品質)が劣化し、やがて顧客や消費者に影響を及ぼす
②労働災害による事故やによるケガ、慢性的な疲労による疾病を引き起こす
③病気やケガをした社員に対する損害賠償責任が会社に生じる場合がある
④離職者が増え、求人サイトなどへの書き込みによる風評により、新規採用も難しくなる
等が考えられますが、いずれも企業が存続すること自体が難しくなるようなことになりかねません。

また、ある調査では週労働時間が60時間以上の人の仕事への満足度は35%、裏を返せば3人に2人が会社に対して不満をもち、退職を考え始めるレッドラインを超えているとのことです。過重労働は、結局企業にとってもっとも大切な「人」を失ってしまうということです。

この過重労働を減らしていく、あるいはなくすにはどうすればよいか?
最もキーとなるのは、「経営者・管理者・労務担当者の意識改革」です。企業の目的は「いかに有効に人的資源を活用して収益を上げるか」というところにあります。有効活用の手段の一つには、「時間も少しでも長く」ということもあるでしょう。しかし、労働者の健康の確保なくして企業は存続しえないことの方が重要です。その点を経営者や管理者が正しい認識をもって取り組まないと、過重労働を減らすことはできません。

今は、適正な労働時間・労働環境の管理は、企業が配慮すべ標準仕様となっています。ここを怠ってしまうと、今後ますます人の採用も難しくなります。もし、まだ対応が遅れているというのであれば、早急に対策されることが肝要です。


2017年09月09日 10:49

21万7000組

京都市役所(20170908)
タイトルの件数、21万7000組、これが何の数字か分かりますか?

これは、昨年2016年に離婚した夫婦の数です。一時期と比較して減少傾向にはありますが、人口1000人あたり、1.73件、1日600組が離婚していることになります。

さて、いざ離婚というときには、財産分与や子供の親権・養育権等の話し合いが必要ですが、もう一つ、分割できるものがあります。それは公的年金です。以前は夫が会社員、妻は専業主婦という夫婦が熟年離婚した場合、夫は老齢基礎年金+老齢厚生年金が受給できるものの、妻は老齢基礎年金のみの受給となり、夫婦の年金に大きな差がありました。言い換えれば、専業主婦の離婚は女性に非常に不利な制度でした。

この不公平感をなくすため、平成19年4月から厚生年金の分割制度が導入されています。分割の方法は2種類、①「合意分割」と②「3号分割」があります。
➀合意分割
婚姻期間中の夫婦それぞれの厚生年金(報酬比例分)の加入実績を合算し、最高2分の1を限度に分割する制度です。例えば夫の報酬比例分が120万円、妻が60万円の場合、合算すると180万円となり、その2分の1を限度として分割すると、夫は90万~120万、妻は60万~90万の範囲で年金を分割します。この分割には夫婦間の合意が必要で、合意できない場合には家庭裁判所の決定を必要とします。
②3号分割
妻が専業主婦(3号被保険者)であった期間中の夫の厚生年金(報酬比例分)の加入実績には3号分割が適用されます。この分割には夫婦間の合意は必要とせず、夫の報酬比例分の2分の1を妻に分割します。ただし、この分割は平成20年4月以降の期間のみに適用されるため、それ以前の期間については➀の合意分割を適用します。

この2つの制度、どちらか一方しか使えないとか、どちらを使うとより分割分が増えるのかというものではありません。夫婦の厚生年金の「加入履歴」「専業主婦であった期間」「平成20年4月」といった要件で自動的に適用されます。以下に3つの事例を示します。

【事例その1】
夫会社員、妻専業主婦の夫婦が平成10年に結婚し、平成28年に離婚した場合
平成10年~平成20年3月までは合意分割、平成20年4月以降の期間については3号分割が適用されます

【事例その2】
夫会社員、妻会社員の夫婦が平成10年に結婚し、平成28年に離婚した場合
平成10年~平成28年まですべての期間について合意分割が適用されます

【事例その3】
夫会社員、妻会社員の夫婦が平成21年に結婚し、平成28年に離婚した場合
平成21年~平成28年まですべての期間について合意分割が適用されます

なお、合意分割で双方がもし合意できない場合には、家庭裁判所に年金分割の調停を申し立てることになります。調停でも合意できない場合には、裁判となり裁判官に決めてもらうことになります。これに対し、3号分割は合意は必要ありませんので、分割を請求する側が一人でできます。

全体の離婚件数の減少に反して、熟年離婚自体は増える傾向にあります。夫婦の共有財産である年金を分割するこの制度、できれば縁のないほうがいいですよね。

※写真は京都市役所(京都市中京区)

2017年09月08日 08:42
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