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ブログ(日々雑感)

ジェネリック医薬品軽減通知が届きます

哲学の道(20170813)
協会けんぽの加入者に対して8月17日以降、今年1回目の「ジェネリック医薬品軽減通知」が届きます。

「ジェネリック医薬品軽減通知」とは、もし薬局で調剤した医薬品(先発医薬品)をジェネリック医薬品(後発医薬品)に変更した場合、どれくらいの薬代になるかの見込み額を通知するものです。通知は、勤務先を経由することなく、直接対象者それぞれに届きます。その対象者の条件は、
➀20歳以上
②ジェネリック医薬品に切り替えた場合に、一定の軽減が見込まれる人

で、被保険者・被扶養者に関係なく、個々に通知されることになっています。

ご存知の通り、ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、独占的な製造・販売期間が切れた先発医薬品と同じ有効成分・効能があると国(厚生労働省)が認めた薬で、開発に必要な費用と時間がかからない分、3~5割程度安く販売されている薬です。国は増え続ける医療費抑制の一手段として、ジェネリック医薬品の普及を進めていますが、欧米諸国が6割を超えているのに対し、日本では2割ちょっととまだまだ普及していないのが現実です。

そこでまずはその効果を知ってもらおうと、取り組んでいるのがこの「ジェネリック医薬品軽減通知」という訳です。ジェネリック医薬品を使うことは、医療費抑制もありますが、私たちが支払う自己負担(3割)分のお薬代も安くなるというメリットもあります。

医師が変更不可としている場合を除き、薬局で意思表示をすることでジェネリック医薬品とすることができます。薬剤師に都度直接相談することもできますが、ジェネリック医薬品希望カードを提示する、或いは健康保険証にジェネリック医薬品希望シールを貼っておくことでも可能です。ちなみに私は、シールを貼っています。

通知が届いたら、どの程度の効果があるか一度確認されてはどうですか。
※写真は哲学の道(京都市左京区)

「ジェネリック医薬品軽減通知」のイメージはこちら


2017年08月18日 09:56

賃金支払いの5原則とは

2017大文字
サラリーマン、ウーマンに支払われる給与、労働基準法では一定のルールが定められていることをご存知ですか?

その一定のルールとは、「賃金支払いの5原則」とよばれるもので、労働基準法第24条に規定されています。簡単に言うと、賃金は①通貨で、②直接労働者に、③その全額を、④毎月1回以上、⑤一定の期日に支払わなければならないというものです。

➀通貨払いの原則
賃金は原則として通貨で支払わなければなりません。ただし、次の例外が認められています。
・法令で別途定めている場合(現在この規定はありません)
労働者が指定した金融機関への振込
・労働協約等で定めた通勤定期券等の現物給与
・金融機関が支払を保証している小切手
よって、例えば会社が従業員に特定の銀行を指定して口座を開設させて給与振込をする、といったケースは法律上、問題となります。

②直接払いの原則
賃金は労働者本人に支払わなければなりません。例え法定代理人である親でも、あるいは労働者が指名した代理人であっても支払うことはできません。また、賃金債権は他人に譲渡できますが、この場合であってもいったん労働者本人に支払う必要があります。ただし、単なる使者や法律による一部例外は認められています。

③全額払いの原則
使用者がいわゆるピンハネ等、労働者の同意を得ずに、勝手に賃金の一部を控除することはできません。ただし、次の例外が認められています。
・法律で定める場合(税金の源泉控除や社会保険料控除)
・労使協定で定める場合(組合費や社宅費など)
例えば、何かの積立を会社が企画して同意を得ることなく給与から控除する、ということはできません。

④毎月1回以上支払いの原則
毎月1回以上とされているので、1日から月末までの期間に最低1回は支払わなければなりません。ただし、
・臨時に支払われる賃金
・賞与
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(精勤手当等)
は対象外となります。

⑤一定期日払いの原則
毎月一定の周期的に到来する期日に支払わなければなりません。月給の月末、週給の毎週土曜日、毎月20日は問題ありませんが、
・毎月第2金曜日
・毎月10~15日の間
という不特定日となることは認められません。ただし、一定期日が土日となる場合の繰上げ、繰下げは認められます。

以上が「賃金支払いの5原則」です。給与はお金に関することで、ややもすると会社には言いにくい事柄でもあります。ただ、労働者にとっては生活の根幹にかかわる問題です。困ったときには労働基準監督署等に相談されることをお薦めます。

※写真は昨日の大文字送り火(京都市左京区)


2017年08月17日 07:27

今日は五山の送り火です

大文字山より
今日、16日は京都五山の送り火です。

この日は例年、近くの大文字山に登っています。昨年は都合が悪く登れませんでしたが、今日は自宅を7時過ぎに出発。自転車で15分ほどの銀閣寺の裏の登山道から登ってきました。

送り火当日である16日は、午後からは大文字保存会の方が準備に入るため、一般人は入山できなくなります。そのため、今日も老若男女、多くの人が朝早くから登っていました。

昨年は大雨のため全く見えなかった送り火、午後の天気予報は今のところは大丈夫そう。無事にご先祖様をお送りできればよいのですが。

祗園祭で始まり、送り火で終わるといわれる京都の夏ですが、暑さはもうしばらく続きそうです。みなさんも体調に気を付けて、残暑を乗り越えてください。

※写真は今朝の大文字山からの京都市内


2017年08月16日 09:48

「ねんきん定期便」の内容を確認していますか

法然院
毎年誕生月に日本年金機構から届く「ねんきん定期便」、みなさんは開いて内容を確認していますか。

ねんきん定期便は、平成19年に問題となった「消えた年金」「浮いた年金」がきっかけで始まったものです。平成21年から誕生月に送られてきますが、1日生まれの人は誕生月の前月に送られてきます。

この「ねんきん定期便」には、封書タイプとはがきタイプがあり、また通知される内容は年齢によって違いがあります。簡単に以下にまとめてみました。
- 封書タイプ
記載内容 35歳・45歳の人 59歳の人
これまでの年金加入期間
これまでの加入実績に応じた年金額 -
老齢年金の見込額 -
これまでの年金加入履歴
これまでの国民年金保険料の納付状況と
厚生年金保険の標準報酬月額等


- はがきタイプ
記載内容 50歳未満の人
(35・45歳の人を除く)
50歳以上の人
(59歳を除く)
これまでの年金加入期間
これまでの加入実績に応じた
年金額
-
老齢年金の見込額 -
最近の月別の状況


「これまでの年金加入期間」は、国民年金・厚生年金・船員保険の加入月数が記載されており、この月数の合計が300カ月以上あることが、将来年金を受給するための要件です。なお、この月数は平成29年8月から120カ月以上となりました。

50歳未満のねんきん定期便に記載される「これまでの加入実績に応じた年金額」には、あくまでも今まで納付した保険料をベースに計算された年金額が記載されています。そのため「たったこれだけ?」と少なく感じるかもしれませんが、今後継続して加入することで増えていきますので、慌てる必要はありません。

「老齢年金の見込額」は、ねんきん定期便作成時の加入制度に60歳まで継続して加入したとみなして計算されています。国民年金の場合は、60歳まで保険料を払ったものとして、厚生年金保険の場合は現在の報酬が続いたものとして計算されています。私のように脱サラした場合には、退職までに納付した厚生年金保険料と加入履歴を元に計算されています。
参考までに、平成27年度の年金受給者の平均受給額は、国民年金(老齢基礎年金)が5.5万円、厚生年金(老齢厚生年金)が14.5万円となっています。夫=サラリーマン、妻=専業主婦のケースで世帯としての年金受給額は24~25万円という数字のゆえんはここにあるようです。

さて、この2ヶ月の間に届いた私と妻のねんきん定期便、2つを並べて見込額を見るに、まだまだ相当の自助努力が必要なようです。「医者の不養生」ならぬ、「FPの不養生」とならないよう、ライフ&マネープランニングを考えないといけないようです。

※写真は法然院(京都市左京区)


2017年08月15日 09:32

社会保険労務士試験まであと2週間です

花(20170814)
第49回(平成29年)社会保険労務士試験は、8月27日に実施されます。あと2週間、受験される人にとってはラストスパート、お盆休みは関係ありませんね。

私は2度目の受験で第29回(平成9年)の試験に合格しました。この頃の試験は7月の最終日曜日、試験会場は全国主要都市のみ、試験は午前が記述式・午後が択一式で、私は大阪の近畿大学で受験しました。

社労士試験の大変なところは2つ、科目毎の足切り(合格最低点)と、長時間の集中力です。いくら全体で合格点を上回っても、1科目でも合格最低点を下まわると不合格になり、また特に午後の試験では、3時間半という長丁場を乗り切る集中力が必要です。

では、この2つを乗り切るためにあと2週間でできること、私が最後の1ヶ月にやっていたことをご紹介します。

まず、足切りにかからないためには基礎的な問題を確実に取ることです。そのためには、今更なにか新しいことに手を出して中途半端にするのではなく、今までやってきたことを、とにかく何度も繰り返すことを薦めます。特に、数字(日数、月数、年数、年齢、金額)や、以上以下・超未満といった単位、支給・加算・加入条件等、記憶がうろ覚えになっていませんか。おそらく今までの試験勉強で利用したテキストなどに一覧化されたものがあるはずです。これを利用して、リピート・リピート・リピートです。

次に長丁場を乗り切る集中力ですが、いまから2週間の間に少なくとも1回、本番の試験時間に倣って過去問を解いて、試験感覚(集中のしどころ)をある程度身に着けておくことです。私の場合、択一試験は最初の1時間30分で各科目6割程度を解く、10分ほど休んで、次の1時間20分で残りの4割を解く、残り30分でマークシートの記入・見直しとしていました。人それぞれの方法があるかと思いますが、ルーティーン化しておくと安心感にもつながります。人間の集中力は90分が限界とも言います。3時間30分をどう使うか、シミュレーションしておくこともポイントです。

もし、本番で難問が出たらという不安もあります。第29回試験も、記述の労務一般、択一の労基法・安衛法、労務一般が後に「超難問」と判定されました。でも、考えてみてください。こういったレベルの問題は、どの受験生にとっても難問です。大事なことは、それ以外の問題をしっかり取ることです。そのためにも基礎知識をきちんと整理しておきましょう。

残り2週間、まだまだできることはあります。何事もあきらめた時にすべてが終わってしまいます。受験生の皆さん、頑張ってください。


2017年08月14日 09:24

京都市での宿泊に税金がかかることになりそうです

山蔭神社
今日は恒例の地元ネタです。

先週、地元紙やネットのニュースで、京都市が2018年度中の宿泊税の導入を進めるという報道がありました。

宿泊税とは、旅館やホテルに宿泊した場合、一人いくらかの税金を徴収するもので、温泉を利用した時の入湯税に似ています。宿泊税は現在、東京都と大阪府で実施されていますが、京都市は
1.宿泊料の制限なく徴収する。(東京・大阪は宿泊料1万円以上)
2.修学旅行生には課税しない
3.民泊も対象にする

という点が異なることになりそうです。この秋の市議会で審議され、来年度に実施というスケジュールで進められます。

以前、京都市には4年ほどの期間でしたが、「古都税(古都保存協力税)」というものがありました。市内の一部寺社仏閣への拝観料にプラスして、文化財保護の名目で30円~50円を徴税するというものでした。当時一部寺院がこれに反対して拝観停止とするなど、紆余曲折の末に廃止されました。特定の寺社の拝観料に課税されること、観光客という外部の人からも京都市の税金を徴収すること、信教の自由などが指摘されていたと記憶しています。

今回の宿泊税も、観光客にも課税されるという点では類似しています。しかし、今回あらかじめ行ったパブコメでは市民の多くが「賛成」ということです。その大きな理由は、増え続ける観光客への対応です。ゴミの問題や、公共交通機関の混雑、民泊による周辺住民への負担など、市民生活への負担・影響が大きくなっています。これらの解決を図る費用として、「市民だけでなく、観光客にも一定の負担を求めてもよいのではないか」というのが大勢です。

金額は100円~300円で今後検討されるとのことです。観光客の皆さんに気持ちよく観光していただくためにも、ご協力をお願いします。というところでしょうか。

※写真は山蔭神社、料理の神様を祀る神社です(京都市左京区)


2017年08月13日 09:09

甲子園は想定外でした

海遊館
1週間ほど前から、「11日は甲子園に行こう」と、妻・娘と計画を立てていました。平日並みに早起きをして、準備万端、一路甲子園へ向かいました。

京阪電車、JR環状線を乗り継ぎ、九条駅で最後の阪神電車に乗り換える前に、朝食を買い、いざ改札口へ。「以外に混んでいないなぁ」と思いつつ、ふと改札口の電光掲示板を見たとたん、歩みが止まりました。

「ただいま、甲子園球場は満席です。前売り券をお持ちでない方は現在入場できません」

地元校が出場する等、1回戦屈指の好カードが集中し、かつ、お盆休み初日。それでもなんとか入れるだろうと、たかをくくっていました。

といっても後の祭り、もうどうにもなりません。気持ちを切り替え、娘の提案で海遊館へ。ゆったりと泳ぐジンベイザメに癒されました。これはこれでよかったのかもしれません。

後で見たニュースでは、11日は5時45分には満員になったとか。これは始発の電車でも間に合いません。観戦するなら前売り券を準備しておくのは常識のようで、事前のリサーチが足りませんでした。

何事も「段取り」は大切ですね。

※写真は海遊館(大阪市港区)

2017年08月12日 11:23

ふるさとの言葉

真如堂境内にて
今日からお盆休みでふるさとへ帰省する人が多いのではないでしょうか。それは同時に、ふるさとの言葉(方言)に触れる機会とも言えます。

私は高校卒業まで、岐阜県南部(西濃地方)の田園風景が広がる田舎で過ごしました。この時期は、ごく普通に自宅の裏の川にホタルがいたり、神社の大木の樹液に群がるカブトムシやクワガタを捕まえることができるようなところでした。今は親兄弟も関西に住んでいるため、そこに生まれ育った家はもうありません。よって盆正月に帰省することもないのですが、近くに住む親と話をすると、西濃地方の方言がいまだポンポンと飛び出してきます。妻や子ども達からすると、「意味がわからん」という言葉がたくさんあるようです。

そんな美濃の方言をいくつか紹介するとこんな感じです。
西濃地方のことば 意味
さぶい 今日はえらいさぶいね~ 寒い
ぬくとい 今日はえらいぬくといね~ 暖かい
やっとかめ やっとかめやね、元気やった ひさしぶり
あんき あんたにお願いすればあんきやわ 安心
くろのほう それ、くろのほうにおいといて 隅の方、端の方
お大臣 あの家はお大臣やしな~ お金持ち
たわけ たわけたこと言うな 馬鹿、アホ
どべ かけっこでどべやった 最後、ビリ
まめ やっとかめやね、まめやったかな 元気
~やもんで やっとかめやもんで ~だから
とごる コップの底にとごる 溜まる
こわい このせんべいこわいな~ かたい
だだくさ 物をだだくさにしたらあかん 粗末
つる つるんで手伝ってくれるか 運ぶ
ケッタ(マシーン) オレ、ケッタ通学やし 自転車


今、パッと思い出せるものを書きましたが、まだまだあったと思います。たまに観光客とおぼしき人達からこういった単語が聞こえると、地方出身者の共通項なのか、ふと振り返ってしまいますね。

ちなみに上記にある、「ケッタ」。自転車ですが、これは東海三県(愛知・岐阜・三重)で使う表現です。厳密には方言とはちょっと違うかもしれません。マシーンがつくと、ちょっとカッコいい自転車のことで、当時なら変速機付きやスポーツタイプの自転車のことを言っていました。今ならマウンテンバイクなども該当するのでしょうか? 懐かしい響きです。

皆さんのふるさとの懐かしい言葉、どんなものがありますか。


2017年08月11日 05:24

100万円を5年で貯めるときの毎年の積立額は? 現価係数でわかります

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ファイナンシャルプランナーが、「今あるお金が一定期間後に幾らになるか」「一定期間後に準備するためには毎年いくら積み立てればよいか」などといった金額を計算する時にしばしば用いる「6つの係数」があります。

私は勝手にこれを「FP6つの係数」と名付けて、その係数表をデジタル化してタブレット入れてあります。これによって必要な金額が計算できるのですが、この「6つの係数」とはこういったものです。

➀終価係数
元本を一定利率で、一定期間運用したときに、将来いくらになるか
【例】100万円を年2%で5年間運用したらいくら?
②現価係数
一定期間後に目標とするお金を得るためには、現在必要な元本はいくらになるか
【例】年2%で5年後に100万を得るには、今いくらの元本が必要か?
③年金終価係数
一定の利率で毎年一定額を積み立てた時、一定期間経過時にはいくらになるか
【例】毎年20万円を年2%で5年間積み立てたらいくらになるか?
④年金現価係数
一定期間にわたり、一定額を受け取るために必要な元金はいくらか
【例】毎年120万円を10年間受け取るとき、現在必要な元本はいくらか?
⑤減債基金係数
一定期間後に一定額を用意するには、毎年いくら積み立てればよいか
【例】10年後に1000万貯めるためには、年2%で毎年いくら積み立てればよいか?
⑥資本回収係数
現在ある元本を一定期間に取り崩すとき、毎年いくら受け取れるか?
【例】1200万円を年2%で運用しながら10年間で取り崩すとき、毎年いくら受け取ることができるか?

これらの係数を具体的に表すと、以下の値になります。(期間は5年の場合)
利率(複利) 終価係数 現価係数 年金終価係数 減債基金係数 資本回収係数 年金現価係数
1% 1.0510 0.9515 5.1010 0.1960 0.2060 4.8534
2% 1.1041 0.9057 5.2040 0.1922 0.2122 4.7135
3% 1.1593 0.8626 5.3091 0.1884 0.2184 4.5797
4% 1.2167 0.8219 5.4163 0.1846 0.2246 4.4518
5% 1.2763 0.7835 5.5256 0.1810 0.2310 4.3295


例えば、終価係数を用いる場合、
100万円を年利2%で5年間運用した時はいくらになるか?
100万円×1.1041=110万4100円

年金現価係数を用いる場合
5年間毎年20万円づつ受け取りたいとき、年2%で運用しながら取り崩すとき、いくらの元本が必要か?
20万×4.7135=94万2700円

となります。係数の値はいろいろなサイトで一覧化されたり、検索することができます。年金や貯蓄のシミュレーションをする際によく使われる係数です。こんなものがあるということを知っておくだけでも無駄ではありません。


2017年08月10日 07:51

国税の滞納額、8971億円

吉田神社参道
国税庁が平成28年度末の国税に関する滞納額を公表しました。その額、8971億円

プレスによると、滞納額自体は、平成11年以降18年連続で減少しています。平成10年度の滞納額は、なんと2兆8149億円、ざっと今の3倍超もあったというから驚きです。

さて、その平成10年前後とはどんな時期だったのでしょう?「そんなこと言われてもまだ生まれていない」という人も多いかと思いますが、こんなことがあった頃です。

平成9年は消費税が3%から5%に引き上げられたことがきっかけに、バブル崩壊後やっと回復基調にあった経済がまた逆戻りしてしまいました。また「金融不況」によって、当時4大証券と呼ばれた大手証券会社の一角であった山一證券や、都市銀行の北海道拓殖銀行が経営破綻しました。金融不安が連鎖し、特例措置でペイオフが凍結されたり、公的資金が金融機関に注入されたのがこの年です。

平成10年は金融危機を収拾しようと、金融機関が自己資本増強のため、いわゆる「貸し渋り」「貸し剥がし」を行ったことで、日本中が不況となりました。これにより多くの企業が減収減益となり、その問題の矛先が金融行政に向けられ、金融庁が当時の大蔵省から分離されたのもこの年です。

思い出しました? 破産した山一証券の社長の記者会見、記憶に残ってますよね。ペイオフという言葉が知られるようになったのもこの頃だったと思います。
この当時の時代背景からすれば、2兆円を超える滞納が生じていたことも、ある意味で納得できますね。

少し話は変わりますが、この滞納額に占める割合が最も多いのが法人税ですが、そもそもの法人税額の総額は、この平成10年前後よりも今の方が少なくなっています。その原因は法人税率の引き下げ。平成9年まで28~37.5%であった税率は、今や15~23.4%に引き下げられています。その分増えた収益は企業内に留保されて、なかなか労働者に還元されていないことはご存知のとおりです。

社会に広く還元するために税率を上げれば、企業は海外へ拠点を移したり、雇用を減らしたりする。それを避けるため、あるいは企業から直接労働者に還元するために法人税率を下げても、企業は内部留保する、まるでいたちごっこです。
※写真は吉田神社(京都市左京区)

「平成28年度租税滞納状況について」に関する国税庁の資料はこちら


2017年08月09日 08:13
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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