「それ以上です」との回答に・・・
「ANA、客室乗務員5000人の一時帰休を労組に提案」
「コロナで内定取り消し20人超 加藤厚労相「事業主は努力を」」
国内最大手の航空会社でさえもこういった手を打たなければならない状況、内定取消しをせざるを得ない企業が出てくることは想定されましたが、「やはり」という思いです。今回のように、企業の経営悪化を理由とする場合の内定取消しは、一定の基準を満たすことで認められることになっています。この状況が続けば、今後更に出てくるかもしれません。
先日、顧問先を通じてある飲食店のオーナー様からご相談を受けました。インバウンドの大幅な落ち込みと年度末の送別会のキャンセルなどで、売上は例年同時期に比べ70%近いダウン。お店の存続すら危ない状況の中で、「何か打てる手はありませんか?」とのことでした。現在取り得る方法の中で、我々社会保険労務士が「資金」という観点で提案できるとすれば、雇用調整助成金。その説明を簡単にした後にオーナー様から出た言葉には、一瞬回答が詰まりました。
「休業させることはできるが、その間の給料すら払うのがしんどい。雇用調整助成金を受ける以前に、雇用が維持できない」
雇用調整助成金とは、社員を一時休業させることで雇用を維持する代わりに、その間の給料の一部を助成してもらうものなのですが、もはや雇用の維持が難しいということなのです。同業の社労士からの情報では、飲食店や宿泊業にはこういった状況になりつつある事業者が少なからずあるようです。
事業の継続を図るために、状況が改善した後には直ぐに戻ってきてもらうことを条件に、一時解雇に踏み切ることを検討している事業所もあるようです。むやみやたらに公金による救済というのは、モラルハザードを招きかねないでしょうが、一定条件を満たせば、より早く企業なり個人を救済する仕組み、早くなんとかならないものでしょうか。このままでは、奈落の底に引き込まれてしまいます。
2020年03月19日 20:21