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ブログ(日々雑感)

生命保険・医療保険見直しのタイミング

京都御所にて(20180222)
生命保険や、医療保険に加入している人は多いと思いますが、加入してから保障内容の見直しをした人はどれくらいいるでしょうか。

保険はリスクに対して備えるものです。よって、リスクが大きくなったり、あるいは小さくなったりしたときには、その都度見直しが必要です。いつまでも加入した時のままということでは、無駄な保険料を払っていたり、またイザというときに充分な保障を得られないといったことが起きてしまいます。

では、具体的にどんなときに保険(保障額)を見直すといいのでしょうか。
まずは、保障のプラスを考えるべきタイミングとして、
➀結婚し、配偶者が仕事をしていない
配偶者に定期的な収入がない場合、自分に何かあったときの最低限の生活費の備えを残しておきましょう。
②子供が生まれた
子供が独立するまで(18~22年間)の教育費・生活費の備えが必要です
③会社を辞めて自営業を始めた
会社員に比べ、自営業者は障害や医療について社会保障が小さくなります。その分プラスしておきましょう。

逆に保障のマイナスを考えるべきタイミングとしては
➀子供が独立した
もう教育や生活費の不足分に備える必要はありません。その分は減額できます。
②離婚した
③配偶者に先立たれた
自分に何かあっても、生活に困る人がいなければ保険は不要です。
④相続等を受けた、宝くじの当選等で相応の資産を得た
そもそも自分に何かがあっても、残された家族が生活に困らないだけの資産があれば、保険の加入は不要です。
⑤ローンを組んで自宅を購入し、団体信用生命保険に加入した
万が一のことがあっても住宅ローンは団体信用生命保険から返済されます。

上記のようなイベントが発生したら臨機応変に見直すことで無駄を省き、また不足のない保障を準備することができます。もし、上記のタイミング毎に見直すのは面倒ということでも、契約更新時には必ず見直しましょう。

保険は、保障のマイナスのときには不要ですが、プラスする場合には改めて「告知」や「審査」が必要になります。保険会社から見れば、支払う保険金額が増えることになるため、改めて健康状態などをチェックするのです。よって、場合によっては増額はできないということもあり得ます。ただし、契約の更新はできるため、そのままの契約内容で加入を続けることは可能です。

保険は、万が一の時の備えですが、「帯に短き、襷に長し」、保障が多すぎてはムダ、少なすぎては意味がありません。今の保障がマッチしたものかどうか、今一度見直してみてどうでしょうか。

※写真は宗像神社境内にて、猫の日にちなんで(京都市上京区)

2018年02月22日 05:41

登記事項証明書の発券請求機利用のススメ

美瑛駅(20180221)
つい最近、社会保険の新規適用の手続きに必要な登記事項証明書を取得するために、法務局に出かけたときのことです。私の知らない世界がそこにはありました。

法務局で申請書を記載して窓口へ提出ということでは、時間もかかるだろうと、予めネットで申請書のフォーマットを取り出し、必要事項を記載して持参しました。以前に仕事で法務局に出入りしていた妻から「請求できる専用端末があるので、そちらですると早いかも」と言われてはいたのですが、せっかくのアドバイスも利用する気はあまりなく、申請書を窓口に提出するつもりで出かけました。

いざ京都法務局の2Fフロアに入ると、そこには「発券請求機を是非ご利用ください」の文字と誘導する大きな☞マークの立て看板、4台並んだ機械を利用している人もなく、ちょっと寂しげ。「不慣れでも後ろに並ばれることもないだろう、だったら使ってみよう」、興味本位で利用してみました。

入力はすべてタッチパネル方式、私の場合は法人に関する証明書のため、初めに企業名または法人番号による検索。次に必要な証明書を選択し、発行枚数を入力。最後に申請者名をカタカナで入力したら請求内容と発行に必要な印紙代を確認して請求ボタンにて確定。わずか1分ほどで終了です。プリントアウトされた引換証を手に、あとは印紙を買って待つだけと、印紙購入の窓口へ向かった途端、「一柳様」との呼び出し、あまりの速さに驚くばかりです。これは、結構使えます。

調べてみると、平成25年には既に設置されていたようで、正確にいつから導入されたかは分かりませんでした。私も10年以上法務局には行ったことがなかったため、このような便利なものがあることを知りませんでした。窓口の前の待合席には多くの人が座っているのを尻目に、ものの3分ほどですべて終了です。法務局を利用する場合には、「発券請求機」是非利用してみてはいかがですか。「書く」手間と、「待つ」時間を省けますよ。

※写真は美瑛駅構内にて(北海道・美瑛町)

2018年02月21日 06:32

マンションの多数決には3つの方法があります

金戒光明寺本堂(20170220)
今日は、マンションにお住いの人、もしくは購入を検討されている人への記事です。

マンションとは法律で、「2以上の区分所有者が有する建物で、人の居住のために利用する専有部分があるもの、およびその敷地と付属の建物」と定義されています。所有者が複数人いるというと、民法では「共有」という考え方があるのですが、マンションの場合には、「共有」とは異なり、区分所有という考え方を採用しています。また、共有と大きく異なるのは、所有の対象となっている物を変更(例えば修理する)したり、処分(例えば売却する)するときの決め方です。

マンションでは、区分所有者にかかわる物事を決めるとき、区分所有法という法律に定める方法で、その同意に必要な数が決められています。そのパターンは次の3つです。
➀普通決議・・・区分所有者数および議決権数の過半数の同意
②特別決議・・・区分所有者数および議決権数の4分の3以上の同意
③建替決議・・・区分所有者数および議決権数の5分の4以上の同意

ここで、区分所有者数とは、区分所有権を持っている人の数、議決権数は専有部分の「床面積の割合」の合計をいいます。例えば、10部屋のマンションがあり、それぞれ所有者が異なり、すべての部屋が同じ面積であれば、区分所有者数および議決権数の総数はそれぞれ10となります。しかし、もし1人が複数の部屋を所有していたり、専有部分の面積が異なる場合、区分所有者数と議決権数は必ずしも同数にはならない場合があります。もっとも、専有部分の面積に大きな差がない場合、議決権はすべての部屋で1づつとするところが一般的です。

そして、上記②の特別決議が必要な事項には大きく5つあります。それは
1.共有部分の重大な変更
2.管理規約の制定、変更、廃止
3.管理組合の法人化
4.義務違反者に対する使用禁止、競売、引渡請求
5.大規模な復旧
これらについては総会において区分所有者および議決権の4分の3以上の同意がなければ決議できません。1の「共有部分の重大な変更」とは、例えばエレベータを廃止するとか、マンションの景観を変えるような工事をいいます。また、5の「大規模な復旧」とは、災害などで受けた相当大きな被害の復旧工事が該当します。

また、③の建替決議、その名の通りマンションを建て替えるときに必要な決議です。こちらは区分所有者および議決権の5分の4以上の同意ということで、ハードルは非常に高くなっています。建て替えともなると、仮住まいの準備や2度の引越し、建て替え費用など大きな負担が必要となります。高度経済成長期に建築された多くのマンションが、今後建て替え時期を迎えるとき、この5分の4以上という数字が大きなハードルになることは間違いありません。

もしかすると、今後修理や作り替えの負担が問題になるのは、公共インフラよりもマンションの方がより深刻な問題になるかもしれません。

※写真は金戒光明寺本堂(京都市左京区)

2018年02月20日 13:03

ある顧問先企業で見た光景から

鴨川にて(20180219)
先日、京都市内のある顧問先企業へ月例の定期訪問で伺ったときのこと。制服を着た高校生が数人、オフィス内を平然と歩いています。そして最後に「失礼します」と元気のいい声で退出、さてこの高校生の正体とは。

あまりに自然に、また社員も誰も疑いの目もなく、「お疲れでした」と送り出すこの様子に、その理由を伺いました。この高校生、実は「職業体験」として学校の授業の一環で来ているとのことでした。その高校のホームページを見ると、確かに学校スケジュールの1月~2月に「職業体験」と書かれています。商業や高校のような実業系の学校ならいざ知らず、この高校は大学進学を前提とした普通科高校、私立校ならではのユニークな取り組みですよね。

大学生のインターンシップは、今や早期就職活動といっても過言ではありません。インターンシップを利用した直接的な採用はするべきではないという見解もなされてはいますが、後日の就職活動でインターンシップ先から内定を得るということは少なからず存在します。インターンシップは本体は就業体験、職業体験であるはずですが、実態は企業側が優秀な人材確保や、適性判断に利用しているのが現状です。

これに比べれば、この高校が取り組む職業体験は、本来あるべきインターンシップ、高校生のうちに、実際に仕事をする人を見て、仕事を経験するというのは、いい経験になるのではないでしょうか。顧問先の社員さんいわく、「すごくマナーもよく、しっかり挨拶もできる、大学のインターンシップでもうちに来てほしいくらい」と、ちょっと本音も聞こえたり。

この高校の取り組み、対象学年の全員か、希望者だけかはホームページからはわかりませんが、高校生を受け入れるとなると、企業側にもいろいろと配慮が求められ、どこの企業でもという訳にはいかないでしょう。しかし、教育の場としては貴重な体験、学校と企業が上手く連携して今後も続くといいのですが。

※写真は鴨川・夷川合流点あたりにて(京都市左京区)

2018年02月19日 06:28

10月1日から京都市での宿泊に税金がかかります

京都御所(20180206)
今月9日、総務大臣の同意を得たことで10月1日から京都市内での宿泊時に「宿泊税」が課税されることになりました。

この宿泊税については、条例案が検討されていた頃に一度このブログでも取り上げたことがあります(京都市での宿泊に税金がかかることになりそうです(2017.8.13))。既に東京都や大阪府では導入されていますが、大きな違いが一つ、京都市では原則としてすべての宿泊客がその対象となります。ちなみにどれくらいの金額が課税されるかといいますと、
ひとり1泊あたりの料金 税額
2万円未満 200円
2万円以上5万円未満 500円
5万円以上 1,000円


となっています。東京都や大阪府では、宿泊料金が1万円未満の場合には課税されず、また税額も100~300円までであることと比べると、京都市は結構な税額になっています

対象となる宿泊施設は、ホテルや旅館はもちろんのこと、民泊もその対象となります。税金を払うのは宿泊者ですが、最終的に京都市に収めるのは宿泊事業者。宿泊者の管理や会計事務などが行き届いているホテルや旅館は問題ないでしょうが、自宅の部屋や空き家を貸す民泊事業者まで果たして行き届くかどうか、難しいところもあるかもしれません。

なお、修学旅行や学校行事等に参加する児童や学生、その引率者には課税されません。今の時期、京都市内には多くの受験生も宿泊しますので、受験生も対象にできるといいのではと思います。受験票で確認すればそれほど難しくないでしょう。

宿泊客は、日帰り客に比べて滞在期間が長く、その分行政サービスを多く受けるため、応分の負担を求めるという考え方がこの税金の理由の一つです。今や、観光シーズンという時期や季節に関係なく、多くの観光客が訪れ、普通に生活している私たちの市民生活にも少なからず影響がでています。それを思えば、やむを得ないのですが、これが日本のあちらこちらで導入されるようになると、いずれランキングされて観光ガイドにも掲載されるようになるんでしょうか。

ふらっと気ままな国内旅行、気軽に行けなくなる時が来るかも?
☞「宿泊税条例を平成30年10月1日から施行します」はこちら

※写真は京都御所にて(京都市上京区)

2018年02月18日 09:26

「裁量労働制」は労働者のため、それとも使用者のため?

大通公園(20180217)
ここ数日、国会での安倍首相の発言の撤回と謝罪の弁で、アベノミクスの目玉とも言える「働き方改革」が揺れています。その「働き方改革」の根幹である、「裁量労働制」とは何か、正しく理解できていますか?

まず「裁量労働制」とは、実際の労働時間の長短に関係なく、予め労使で定めた時間を労働時間とみなして賃金を支払う制度です。使用者は労働時間を管理する必要はなく、労働者も仕事の進め方や、時間配分を「自分の裁量」で決められるというのが前提になっています。その裁量労働制は大きく分けると、「専門業務型」「企画業務型」の2つに分けられます。

「専門業務型」とは、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省が定めた業務に就く労働者に適用されます。情報処理システムの分析・設計業務や、デザイナー、プロデューサー、一部の士業など19業種が指定されています。また、「企画業務型」とは、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある場合に認められるものです。言葉で表現すると、限られた人にしか適用できないように思えますが、これが拡大解釈されているのが現実です。

後者の「企画業務型」、どう拡大解釈されているかといえば、まずその対象者。「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」というと、企業や部門のセンターラインにいる、中心的役割を担っている人というのが、法律の主旨です。そういった人は自分の裁量で仕事をすることができる、成果を上げることができるというのが前提となっています。しかし現実的には、そういった自分の仕事に対する裁量権がない人にまで範囲を広げて、「裁量労働制」として長時間労働をしている人が少なからずいます。ではそういった人たちの裁量権は誰が持っているのか、それは上司であり使用者ということになります。使用者のための「裁量労働制」となっているのです。またそれが裁量労働制だと勘違いしている使用者もいます。

働き方改革で進める裁量労働制は、この「企画業務型」の適用範囲の拡大とも言えます。今でさえ適正に運用されていないのに、このまま拡大してどうなるか、ということには大きな疑問符がつきます。もし、裁量労働制を広げるとするなら、やはり労働時間の管理や、無秩序に拡大して適用されないようにしなければ、残業代の支払いなしで利益を得る使用者のための制度、ということになってしまいます。

「専門業務型」も「企画業務型」のいずれも、適用するためのキーワードは「労働者の裁量にゆだねること」です。ここがしっかり運用されないと、労使相応にメリットがある改革にはならないような気がするのですが。

※写真はさっぽろ雪祭りにて(札幌市大通公園)

2018年02月17日 07:51

生命保険の保険料が下がることになりそうです

相国寺本堂(20180216)
大手生命保険会社の日本生命が、死亡保険の保険料を大幅に引き下げる方針とのこと。その理由と注意すべきこととはなんでしょうか。

今回引き下げとなる死亡保険とは、その名の通り被保険者(=保険の対象となっている人)が死亡、あるいは高度障害となったときに、保険金が支払われるものです。死亡保険は、保障期間によって大きく2つに分かれています。一つ目は定期型といい、10年とか20年、あるいは60歳や65歳までと期間を限定して保障するタイプ2つ目は終身型といって、期間や年齢に関係なく亡くなるまで保障するタイプです。今回保険料が引き下げられるのは前者、つまり定期型の方です。働き盛りの人が契約後10年とか20年、あるいは60歳や65歳で亡くなるリスクは高齢化や医療の進歩によって、昔に比べて小さくなってきています。その分、保険会社の保険金支払額も少なくて済むことになり、それが保険料の値下げに繋がるということが理由です。一方終身型は、時期が遅くなっているということはありますがいずれは人間は死亡し、必ず保険金の支払いは発生します。よって終身型は保険料の値下げとはなり難いのです。

今回の値下げは最大2割程度になるとのことですが、これはあくまでも新たに保険に入る、いわゆる「新契約」に適用され、現在加入している「既契約」には適用されないものと思われます。また、新契約であっても加入する年齢によってその値下げの幅は異なってきますので、あくまでも最大2割であって、すべて2割にはならないということにも注意が必要です。

死亡保険は値下げになりますが、その逆、被保険者が長生きすることで保険会社の支払いが増える保険、例えば医療保険や年金保険といったものは、今後保険料が上がっていくことが想定されます。長生きをすればするほど病気になる機会は増え、また年金の支払い期間も延びていく訳ですから、当然のこととも言えます。結局は、死亡保険と医療、年金保険でマイナスとプラスが相殺されてしまうのでしょうか。

以前にもこのブログでも取り上げましたが、民間の保険会社は「収支相当の原則」に基づいて保険業を営まなければなりません。入ってくる保険料と出ていく保険金のバランスを取ることが求められる訳ですが、公的保険の足りないところ、できないところを埋めるのも民間保険へのニーズの一つ。消費者目線では値下げは嬉しいのですが、保障の質は下がらないならないようにしてもらいたいものです。

※写真は相国寺本堂(京都市上京区)

2018年02月16日 06:27

言葉の力についてちょっと考えてみました

旭川冬まつり(20180215)
最近、新聞を読んでいたときに目に留まったある記事、

「私の折々のことばコンテスト」の結果発表

そのコンテストの主旨は「あなた自身の心に響いた「ことば」を探し、その思いを書くことで、自分にとって大切なものは何かに気付く、そんなきっかけを願うコンテスト」(コンテストのホームページから抜粋http://www.asahi.com/event/kotoba/)で、朝日新聞が主催して行われた結果が掲載されているものでした。

ひとつひとつ読んで言ったときに、思わず「あっ」と声が出た言葉。大阪の高校生の作品、
「これでいい」じゃなくて「これがいい」にしなさい
この言葉、私も子供のころによく母親に言われた言葉です。この高校生も物心ついたときからずっと母親に言われ続けたとの旨が書かれていました。ただ、その意味が少し私の時とは違っていたのですが。

高校生に対する母親の思いは、「妥協で選ぶのではなく、これがいいと思える本当に手にしたいものを選びなさい」ということ。自分で責任を持って選ぶことで、結局自分に帰ってくる、これがいいという選択を続けることで大切なものが見えてくるという思いです。

一方で私が母親に言われたこと、「これでいい、という言葉は相手がいるときにとても失礼なこと、相手の気持ちを考えて言いなさい」。よくありますよね、何かをいただくとき、選ぶとき、ついつい「これでいいです」と言ってしまうこと。でもこれは相手にとっては、「どっちでもいいの、そんな程度なの?」と受け取られてしまいます。

言葉というのは、書いたり、読んだり、聞いたり、心でつぶやいたりと様々な使い方がありますが、やはり一番影響が大きいのは声に出して相手に伝えること。そこにリズムがつけば歌にもなります。いつまでも心に残ったり、相手を傷つけたり、誤解を与えたりと、良くも悪くも使い方次第です。

言葉は人間の唯一無二のコミュニケーションツール、みなさんの心に残っている言葉にはどんなものがありますか?

※写真は旭川冬まつりにて(旭川市)

2018年02月15日 06:05

元号改正の影響が想定される業界とは

宗像神社(20180214)
平成は来年4月30日で終了し、5月1日から新元号へ改元となることが、昨年12月に行われた皇室会議で決定されています。では、この改元によって影響を受ける業界とは。

おそらく最も影響が大きいのがIT業界です。システムにおいて日付はあらゆるところに影響があり、切っても切れないもの。影響の度合いはシステムによって差はありますが、全く影響を受けないというものはまずありません。元号改正自体は、前回「昭和」から「平成」になったときに経験済。また、システム内部の日付は2000年問題のときに和暦から西暦に、西暦下2桁から4桁で管理する対応ができています。よって、改修自体に大きな影響はないとも言えます。

とは言え、想定されるのは、例えば画面から和暦で年月日入力をするような項目の場合が考えられます。こういった場合、元号はわざわざ「昭和」とか「平成」と入力するのではなく、多くは数字を入力して、その値から元号を表示する(例えば1は明治、2は大正、3は昭和、4は平成)といった仕組みになっています。もしくは、プルダウンメニューから選ぶといった仕組みもあります。改元されたとき、ここに新元号を(5は〇〇)追加して表示する必要があります。また、システムでは西暦で管理している日付を、和暦で印刷したり、画面に表示するというケースもまだまだ多くあります。こういった場合にも2019年5月1日以降は新元号で印刷する、表示するといった改修が必要になります。

システム屋にとって、元号改正のシステム改修自体は、それほど難しい作業ではありません。現に前回、「平成」になったときの改修を当時新入社員であった私でも対応できたほどですから。もっとも労力を要するのは、改修個所を見つけることと、改修後のテストです。もし、改修に想定外の労力を必要とする場合があるとすれば、新元号が3文字といった場合、これは大きなインパクトがあります。もっとも3文字の元号は過去に5回しかなく、それも1200年以上前の話ですから、これは現実的ではありませんね。

システム業界では、改元の対応は今回の話が出ている以前からすでに対応をしているところもあります。ただ、元号改正を実際に行ったことのないシステム、前回から30年も経っていることもあり、おそらく多くが該当します。そこに対応を入れるというのは、SEやプログラマーにとって不安や心配はついて回ります。

案外小さい影響で済むかもしれませんが、具体的に新元号が決まった後は、少なからず忙しくなることは間違いなさそうです。

※写真は、京都御所・宗像神社にて(京都市上京区)

2018年02月14日 06:08

企業のバトン、どうやって引継ぎますか

真如堂・三重塔(20180209)
日本の企業の99.7%は中小企業、業種によっても異なりますが、製造業で従業員300人未満、サービスや卸売業で100人未満の企業です。そういった企業のうち、少なからずぶつかるのが後継者の問題です。

大手企業でも、時折ニュースにもなるこの問題、最近では大塚家具が記憶に新しいところです。それぞれのお家事情があり、一概にどれがいい悪いとは言えませんが、後継者を決めるには大きく3つのパターンがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

【1】外部から招く
外部から後継者を招く場合、その組織にはない資産を併せて招くことができるというメリットがあります。その結果、新たなビジネスに進出することができたり、今までになかったような発想で商品を開発することができたりといったことが考えられます。反対にデメリットとしては、組織に合わないことで逆に後退してしまうということが想定されます。組織が保守的であると、変われないものです。

【2】社内から登用する
社内から登用する場合、自社内で培った経験や人脈、ユーザーとの関係などがもっとも滞りなく継承されるというのが一番のメリットです。後継者を支えるスタッフの信頼も得やすい、継続性という面では有効です。しかし、これが逆に大きな改革や思い切った意思決定はなかなかできにくい、もし前社長の影響がそのまま残ると、ある意味で傀儡となってしまう可能性もあります。

【3】世襲
これは方法によってはもっとも功罪が分かれる方法です。世襲による経営者の交代がうまくいっている企業、それはきちんとしたプロセスを踏んで相応の経験をしたのちに後継者となっているケースです。後継者となったときに社員が納得することが最も求められますが、逆にこれで失敗するケースはその反対とも言えるでしょう。ただし、その後継者が秀でた人である場合、より社員の帰属意識が高まり、一体感が生まれる、世代交代による社風の改革も進む可能性を秘めています。

3者3様、それぞれメリット・デメリットがあります。企業それぞれの考え方や文化もありますが、共通していることは、社長が変わったときに、いかに周りに優秀なスタッフがいるかということがポイントです。いくらいい後継者がいても、一人ではいずれ、どこかに限界があります。後継者とスタッフの育成、どちらも長い時間が必要なだけに、早く考え準備しておくことが大切です。

※写真は真如堂の三重塔(京都市左京区)

2018年02月13日 05:45
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